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蠢きの魔
「おい!鬼怒羅の大将が怪我してんのや!誰も動く奴は居てへんのか!おどれら、我悪羅の稲村なんぞに手先にされよって、恥ずかしゅう無いのんかい!ええっ!こら!」
工藤が怒鳴ると、一人が前に出て来た。鬼怒羅の特攻隊長、日坂と言う男だった。
「わし等・・誤解しとったんですわ。石井、稲村に、橋本はんが伊藤はんに負けたんで、引退するっちゅうて聞いて。あの伊藤はんとの一方的な喧嘩見て、橋本はんもカシラの格好つけへんよって・・そう思ったんですわ。せやけど、今晩の喧嘩見て、よお分かりました。あの喧嘩は、伊藤はんが真に雷神2代目として相応しい人がどうか、橋本はんが確かめた喧嘩やったって」
「お前等・・」
橋本が、笑った。
工藤が少しにやっとした。そして、静かな声で言う。
「よお・・分かってるや無いか・・・早う病院連れてき・・。」
「はい・・」
鬼怒羅は叉一つになって、帰って行った。




