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潔癖的潔癖症

作者: 栗桐 文輝

 

 唐突に、何の前触れも無く、自分の穢れに気がついた。


いやだいやだ。こんな私がこんなに穢れてたなんて。いやだ。そんなの耐えられない。何とかしなくちゃ。何とか、何とか、何とかしてこの穢れを取り除いて清らかにならなくちゃ。


 何とかしようと外に飛び出した。


どうしよう。こんなに穢れた私が外に出てしまった。だれにも見られたくないのに。私の穢れに気付いて欲しくないのに。早く清らかにならないと。


 駅前のボランティア活動が目に入る。


そうだ、募金をすれば、そうすれば、良い事をすれば、清らかになれるんだ。よかった。穢れをなくせる。


  箱に百円玉を入れる。


よかった。これで大丈夫だ。「ありがとうございます」だって。よかった。私は清らかになれたんだ。


 ふと、別の人が千円札を募金箱に入れるのが目に入る。


あああ、そうだそうだ。何で私はたったの、百円しか募金しなかったんだろう。なんで持っているお金を全部出さなかったんだろう。あああ、やっぱり私は穢れてるんだ。自分のために募金をケチるなんて。心が綺麗じゃない証拠なんだ。あああ、あああ。


 箱に財布ごと入れる。


ふふ、いいことをした。私はいいことをした。きっと清らかになれたんだ。ふふ、これで安心だ。・・・あれ、でも、でも、ちょっとまって、何で私はこんなことで満足しちゃったんだろう。私なんかより、財布ごと渡した私なんかより、ボランティアをしてるこの人たちのほうがずっと、はるかに清らかじゃないか。お金をもらえる訳でもないのに、ただ他人のためにこうやって街に立って募金をお願いするこの人たちのほうがずっと、ずっと、清らかじゃないか。この人たちに比べたら、私はなんて穢れているんだろう。いやだ。こんなのいやだ


 募金活動を手伝わせてもらう。


うん。やっぱり、穢れがなくなっていった気がする。


 さしいれにと、ハンバーガーをもらった。


うれしい。うれしい。やっぱりいいことをしたら、そのぶん自分にも帰ってくるんだ。うれしい。ハンバーガー、私、結構好きなの。・・・ハンバーガー?あああああ、何てことだろう。私は、牛の肉を食べてしまっている。牛を殺して、その肉を食べてしまっている。穢れてしまった。穢れてしまった。何てことだろう。生き物を殺して食べるなんて、穢れてしまった。


 頭を抱える私を他の人は変な目で見ている。


そんな目で私を見ないで、見ないで。わかってる。そう、私は穢れているの。わかっているから、そんな蔑むような目で私を見ないで。


 自分の家まで逃げてきた。


ああああ、どうすればいいの?どうすれば?どうすれば、私の穢れはなくなるの?生き物を殺して食べたら穢れちゃう。何も食べたらいけないんだ。でも、それじゃあ、きっと、私は死んでしまう。何も食べなかったら、死んでしまう。そうか、分かった。そうだそうだ、・・・死ねばいいんだ。そうすれば、だれにも迷惑をかけなくて済むし、生き物を殺して食べるなんてこともしなくて済むんだ。簡単な話だ。なんで気がつかなかったんだろう。


 ナイフで手首を少し切る。


どうしよう、どうしよう、血が出ちゃった。床が汚れちゃう。床を血で汚しちゃう。私の血で。床を汚すなんて、そんな悪いことをしたらやっぱり私は穢れてしまうんだ。ビニール袋か何か・・・だめだだめだだめなんだ。ビニール袋も私の血で汚しちゃだめだ。穢しちゃだめだ。汚したら、私が、穢れる。穢れる。穢れる。どうしよう、どうしよう、どうしよう。死ねない、死ねない、死んだら周りを穢しちゃう、そして私も穢れちゃう。でも生きてたらだめなんだ。生きてるだけで私は穢れちゃう。そうか、そうなんだ。私は、きっと、そう、存在しちゃいけなかったんだ。存在したから穢れちゃったんだ。私の存在を消さなくちゃ。どうしよう。どうすれば、どうやったら私の存在を消せるかな。


 しばらく考える。


そうだ、名案だ。これはすごい名案だ。なんだ簡単なことだった。みんながいなくなっちゃえばいいんだ。みんなが死んじゃえばいいんだ。そして最後に私も死ねば、そうすれば、そうなれば、私の存在を意識できる人がいなくなれば、私の存在は消せるんだ。そうしたら、私は穢れなくてすむんだ。清らかになれるんだ。こんな穢れた私から、さよならできるんだ。そうと決まれば善は急げ、さっそくみんなを消して、私は清らかになろう。


 そして、ナイフを持って、また、街に出る。




 

なんか勢いで書いちゃいました

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― 新着の感想 ―
[一言] 勢いとスピード感のある作品で、楽しめました。 ただ、文章構成のためか読みにくさを覚えた。
[一言] 自分が汚れているとどんどん思いこんでいく展開がスピーディで、スッと楽しむことができました。 これからも執筆がんばってください。
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