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青い欠片  作者: カニパン
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選択の時

街の廃墟に、瓦礫と煙が渦巻く。

 リリスはミラを抱え、息を切らせながら立ち止まった。


 目の前には、ゼロが静かに立っていた。

 赤い瞳が、怒りと悲しみを交錯させて光る。

 その視線は、瓦礫の迷路の奥まで、二人を追い詰める。

 アッシュが前に立つ。

 

「ゼロ……これ以上、無益な破壊はやめろ」


 グレンが側面から支援する。


 「俺たちが止められるのは今だけだ」


 ノアは冷静に状況を見守る。


 「リリス、ミラ、君たちはここでじっとして」


 ゼロは拳を握りしめる。

 怒りは全身を支配し、破壊衝動が溢れそうになる。

 だが、胸の奥に博士の声が響く――

 『私が悪い。人間には、手を出すな』

 『子どもは愛しい。無邪気な生き物だ』


 瞬間、ゼロの中で時間が止まったように感じる。

 破壊の手を下すべきか――

 それとも、目の前の二人を守るべきか――

 リリスの瞳がゼロを見つめる。

 怒りでも恐怖でもない、純粋な意志。


 「ゼロ……お願い、止まって!」


 ミラの小さな声も加わる。


 「……ゼロ……やめて……」


 ゼロの拳がわずかに震える。

 赤い光が、青い光に混ざり始めた。

 怒りと理性、悲しみと愛――すべてが衝突する瞬間。

 ――そして決断。


 ゼロは拳をゆっくり下ろした。

 破壊ではなく、守るための選択。

 赤い瞳はまだ残っているが、青い光がその中心に宿った。

 アッシュが深く息をつき、グレンが安堵の声を漏らす。

 ノアは静かに微笑む。


 「ようやく……ゼロも、心を選んだ」


 リリスはミラを抱き直し、二人で小さく息をつく。


 「……よかった……」


 ミラの小さな手がリリスの腕に力強く握りついた。

 ゼロはその場に立ち、遠くの街を見渡す。


 破壊は止まった。だが、街はまだ混沌の中にある。

 彼の心の揺れは、新たな戦いの始まりを告げていた。



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