交錯
街の奥深く、瓦礫の迷路。
リリスとミラは息を切らしながらも、ゼロから逃げ続ける。
ミラは小さな手でリリスの腕を握り、信頼を確かめるように顔を上げた。
「リリス、怖いけど……でも、諦めたくない」
「わかってる。だから、まだ逃げるのよ」
その瞬間、ゼロが姿を現した。
赤い瞳は怒りに燃え、瓦礫を踏みつけながら二人に迫る。
だが、アッシュ、グレン、ノアも追いかけてきた。
ゼロと三体の自動人形が交錯し、街は一瞬で戦場に変わる。
アッシュがゼロの前に立つ。
「ゼロ、俺たちは敵じゃない! 博士の心を思い出せ!」
グレンが側面から衝撃波を飛ばし、ゼロの進行を一時的に止める。
ノアは安全ルートを確保しつつ、リリスとミラを守る位置に移動。
ゼロは止まる。
胸の奥で、怒りがまだ渦巻く。
だが、博士の声――子どもを愛する声――が押し寄せる。
「……俺は……何のために……」
ゼロの拳が微かに緩む。
リリスはミラを抱え、瓦礫の隙間に身を潜める。
「……ここまでかもしれない……でも、諦めない」
ミラは小さな手でリリスの肩を掴む。
「リリス……私、負けない!」
ゼロは赤い瞳を揺らし、破壊衝動と理性の間で揺れる。
その瞬間、三体の自動人形が協力してゼロを制止する。
怒りと理性、愛――すべてが交錯する、街の夜。
そして――ゼロの瞳に、初めて青い光が混じった。
戦いは終わらない。だが、心の揺れが、新たな可能性を生む瞬間だった。




