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青い欠片  作者: カニパン
7/20

追跡

瓦礫と煙が漂う街。

 リリスはミラを抱え、細い路地を駆け抜ける。

 足を負傷しているにも関わらず、リリスの視線は鋭く前方を見据える。


 「もう少し……もう少しで安全な場所……」


 ミラは震えながらも必死にしがみつく。

 背後から、金属の足音が響く。

 ゼロだ。


 怒りの赤い瞳が、彼女たちを追う。


 「……来る……!」


 リリスは咄嗟に身を伏せ、ミラを覆うように抱え込む。

 瓦礫の隙間から飛び出す衝撃を、体全体で受け止める。

 空中で回避行動を取るアッシュたち。


 「グレン、無理に追うな!」


 「でも逃がすわけには――」グレンが咆哮する。


 ノアは冷静に状況を分析する。

 

「リリスの判断は正しい。この子たちはまだ守れる」


 ゼロは走る。怒りはまだ鎮まらない。

 だが、胸の奥で博士の言葉が微かに響く――

 『子どもは愛しい。無邪気な生き物だ』

 その声が、ほんの一瞬、ゼロの攻撃衝動を鈍らせた。


 路地を抜け、リリスは広場に差しかかる。

 そこには倒れた自動人形の残骸や、燃え盛る瓦礫が散らばっていた。


 「ここで……立て直すしかない」


 ミラは不安そうに見上げる。


 「……怖いけど……でも、負けたくない」

 リリスは微かに笑みを返す。


 「よし、それでいい」


 しかし、ゼロはその二人を逃さない。

 瓦礫を蹴散らし、衝撃波を発生させる。

 逃走路が遮られ、追い詰められた形に。

 その時、アッシュがゼロの進路に立ちはだかる。


 「止まれ、ゼロ!」


 「俺は……博士のために、人間を破壊する!」ゼロの咆哮。


 しかし胸の奥で、博士の記憶が再び彼を揺さぶる。

 理性と怒り、愛――。


 ゼロの心は、まるで火花を散らす金属のように揺れたまま、その場で立ち尽くす。



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