追跡者
夜の街は瓦礫と焦げ跡に覆われ、風が吹き抜けるたびに灰が舞う。
ゼロと三体の自動人形、リリスとミラは静かに前進していた。
街の奥から、金属の擦れる音が聞こえる。
敵の残党がまだ潜んでいるのだ。
ゼロは眉をひそめる。
「……追ってきている」
アッシュが頷き、戦闘態勢を整える。
「無理に先に出るな。連携で制圧する」
瓦礫の間から、赤く光る瞳が次々と現れる。
倒れた敵の残骸に血が混じり、瓦礫の隙間で微かに呻く声も聞こえる。
残酷な現実が、街の暗闇に染み込んでいた。
ゼロは深く息をつく。
胸の奥で博士の言葉が響く――
『人間には手を出すな』
その言葉が、破壊衝動と守る意志の均衡を保たせる。
三体の自動人形はゼロの指示で敵の進路を遮り、リリスとミラを守る。
グレンが敵の動きを予測し、ノアが分析を声に出す。
「左から二体、瓦礫の間に潜んでいる」
「追跡は止められない。だが連携で封じられる」
瓦礫の間を飛び越え、敵の自動人形がリリスとミラに迫る。
金属の爪が空気を切る。
リリスはミラを抱き寄せ、背を盾にする。
「……大丈夫、怖くない……私たち、負けない……」
ゼロが怒りを爆発させ、前に出る。
衝撃波が敵を押し退け、瓦礫と血の粉が舞う。
残酷な戦場の光景を目にしても、ゼロは破壊ではなく守る意志を優先した。
ミラはゼロの行動を見て、小さな声でつぶやく。
「……守るって、こういうことなんだ……」
リリスも微かに頷く。
「怖いけど、ゼロとみんながいれば……負けない」
敵の残党は追跡をあきらめず、瓦礫の間を潜り込む。
ゼロと三体の自動人形は連携攻撃でそれを阻みつつ、リリスとミラを安全な位置に避難させる。
戦いが一段落すると、街は再び静寂に包まれる。
瓦礫に埋もれた残骸、血と埃が混ざる通り――
残酷さを目の当たりにしながらも、ゼロの青い瞳には確固たる守る意志が宿っていた。
リリスはミラを抱き、震える手を握りしめる。
「……ゼロ、ありがとう。怖かったけど、負けないでくれた」
ミラも小さく頷き、涙をこらえる。
「私も……負けない……」
夜空に漂う灰と煙の街で、ゼロは深呼吸をし、仲間たちを見渡した。
「……まだ先は長い。だが、みんなを守る」
赤と青が混ざる瞳に、決意と愛が確かに宿る。




