揺れる心
瓦礫と焦げた壁に囲まれた街。
戦いは一時的に沈黙を迎え、ゼロは立ち尽くす。
三体の自動人形が周囲を警戒し、リリスとミラを守るために距離を取る。
ゼロの胸の奥には、戦闘であふれた怒りと悲しみがまだ渦巻いていた。
瓦礫に挟まれた敵や、人間の苦痛――それらの光景が頭をよぎる。
「俺は……何のために作られたのか……」
怒りの赤、理性の青が混ざり、瞳の光は揺れていた。
アッシュがそっとゼロに近づく。
「ゼロ、考えるな。感じろ。そして選べ」
グレンが補足する。
「博士の思いを忘れるな。怒りだけじゃなく、守ることも俺たちの力になる」
ノアは冷静に状況を分析し、戦略をゼロに伝える。
「敵はまだ街の奥に潜んでいる。無理に突っ込むよりも、冷静な判断が生き延びる道だ」
ゼロは深く息をつく。
胸の奥で博士の声が繰り返し響いた――
『子どもは愛しい。無邪気な生き物だ』
『人間には手を出すな』
その言葉が、破壊衝動を少しずつ鎮めていく。
目の前のリリスとミラを見つめると、恐怖で震える二人の姿がゼロの心に強く刻まれる。
「……守る……俺は、守るんだ」
ゼロは小さく呟き、拳を握りしめた。
その瞬間、瓦礫の隙間から敵の自動人形が再び現れる。
金属の爪が地面を引き裂き、リリスたちに迫る。
ゼロは迷わず前に出て、衝撃波で敵を押し返す。
瓦礫が崩れ、金属の破片と埃が舞い、街の残酷な現実がさらに増す。
リリスはミラを抱え、息を切らせながらも勇気を振り絞る。
「……ゼロがいてくれる……負けない!」
ミラも小さな声で答える。
「私も……負けない……」
三体の自動人形はゼロの隣で連携攻撃を行い、敵を制圧。
瓦礫の間に倒れた敵や散乱した残骸が、戦いの激しさを物語る。
戦闘が一段落した後、ゼロは街を見渡す。
破壊の跡、血と瓦礫の残る通り、まだ安全ではない現実――
それでも、守る意志を胸に、瞳の青い光は確かに輝いていた。
リリスはミラを抱き直し、小さな手を握る。
「……ゼロ、ありがとう……」
ミラも小さく頷き、震える声で言った。
「怖かったけど……でも、負けない……」
瓦礫と煙の街に、ゼロの決意が静かに響く。
「守る……必ず、守る……」




