第8話『文化祭準備スタート!委員決めで殴り合い!?』
体育祭が終わったと思ったら、間髪入れずにやってくる文化祭準備。
普通ならクラスで話し合って、すんなり決まる……はずなんですが、
このクラス、常識が通じないんですよ。
「それでは文化祭の出し物を決めましょう。意見ある人ー?」
学級委員のまひるが手を挙げた瞬間、空気が変わった。
「お化け屋敷!」
「メイドカフェ!」
「クイズ迷宮ダンジョン!」
「スライム牧場体験コーナー!」
「ちょっと待って!?最後の誰!?」
あかりが困惑して振り向くと、ひよりがどや顔で親指を立てていた。
「牧場主はわたしで、スライム役は……うーん、こよみで」
「何その配役!?ていうか“役”ってなに!?」
提案が乱立しすぎたので、話し合いは早々に崩壊。
そして始まる――
委員決めのバトルロイヤル。
「じゃあ文化祭実行委員、立候補いるー?」
「……」
誰も手を挙げない。あまりに沈黙。
その空気に業を煮やしたまひるが机を叩いた。
「よし、あみだくじだ!」
「出たー!全責任を運に委ねるタイプの民主主義!」
こうして決まった文化祭実行委員――
まひる(確定)、ひより(確定)、そして――
「え、なんでわたし……?」
「おめでとう、あかり。君は実行委員に選ばれた。今この瞬間から運命共同体だ」
ひよりが唐突に肩を組んでくる。
「ちょっとまって、私なにもしてないのに!?」
「だってあかりは“ツッコミ要員”という重要ポジションだし」
「ツッコミ専門の委員なんて聞いたことないよ!!」
休み時間――
あかり、ひより、まひるの3人は作戦会議。
「で、結局、出し物は何にするの?」
「そこなんだよねぇ」とまひるが頭を抱える。
「女子に人気のあるメイドカフェと、男子に人気のあるお化け屋敷が拮抗してて……」
「じゃあ合体させよう!」
ひよりが笑顔で爆弾発言。
「メイドが幽霊で、お客さんに呪いをかける“呪詛メイドカフェ”!」
「怖いよ!?ていうか保護者から苦情来るやつ!!」
「お茶の代わりに黒い液体を出して、食べると『呪われました』って札が出るんだよ!」
「だからそれ、文化祭じゃなくて儀式だから!!」
一方、クラスの男子たちは“トリックアート展示”を提案していた。
それはそれで良い案だったのだが――
「よし、最終決戦で決めよう」
「勝負だ!」
提案者たちは、なぜかジャンケンによる“決闘”で最終案を競うことに。
勝ったのは――
「……呪詛メイドカフェ!?」
「やったー!じゃあ衣装は黒ドレスで、照明は赤ね!」
「もうホラー映画の撮影現場になってない!?」
その日、職員室では担任の先生が頭を抱えていた。
「“呪詛メイドカフェ”……それはさすがにまずい……」
しかし、提出された企画書にはこう書かれていた。
テーマ:異文化交流によるおもてなし体験
「……詐欺かな?」
クラスの企画は“呪詛メイドカフェ”に決定。
もはや文化祭ではなく、文化“災”の予感。
次回は衣装作りと演出会議。
問題しか起きない準備パートをお楽しみに!