第7話『体育祭当日!笑って走ってすっ転んで!?』
ついにやってきた体育祭本番。
笑いのために作戦を練り、友情を試し、体力を忘れた少女たち。
果たしてこの日、彼女たちは――
笑い死に寸前の先生を生み出すことになる。
「みなさーん!元気にいってみよー!」
朝のグラウンドに、担任の先生のやる気が響き渡る。
しかしその声をかき消すように、ひよりの声が叫ぶ。
「よし!みんな、アフロ装着!!」
「アフロっていうか、頭に乗ったモップみたいになってるよ!?」
「それが味なんだよ、あかり!モップ系アフロ、流行るから!」
「流行らせんな!!」
一種目目、借り物競争。
「よし……私の札は……“青春”!?え、物じゃないんだけど!?」
あかりは思わず絶句する。
「大丈夫、青春ならそこらへんに転がってるわ!」
ひよりが自信満々に叫び、なぜか生徒会長の腕を引っ張ってくる。
「青春代表、連れてきましたー!!」
「ちょっと待って、なんで俺!?青春って何!?てか俺、青春とかそういうキャラじゃないし!!」
先生の笛が鳴る。
得点にはならなかったが、笑いは取れた。つまり勝ちだ(※個人調べ)。
玉入れ――
それは玉を入れるだけのシンプルな競技のはずだった。
だがひよりが玉を“召喚獣の卵”と言い張って投げ出した時点で、普通ではなくなった。
「いけ!我が忠実なるドラゴンたちよー!!」
「だから普通に入れてって言ってるのに!!」
逆に一個も入らず、観客席に全て飛んでいった。
「でもほら、観客が拍手してるから成功!」
「どこを基準に成功とするか、もう哲学なんよ!!」
昼休み、作戦会議のときが来た。
「午後のメインはリレー。ここでやるしかない……!」
「うむ、我らが奥義、“すっ転びバナナ走法”だな」
こよみが神妙な顔でうなずく。
「バナナの着ぐるみで走るあれ……?」
「そう。すべては“ゴール手前で見事に転び、靴だけ先にゴールする”という芸術」
「……どうしてそこに命かけてるの?」
そして、運命のリレー。
あかりはアンカーとして走る。
風を切って、靴を鳴らして――
ズシャアッ!!
「きゃー!?あかり!?って、え、靴だけ!?」
そう。あかりは見事にゴール目前で転び、靴だけが勢いよくトラックを滑ってゴールラインを越えた。
「作戦成功ぉおおお!!」
「誰か……誰かツッコんであげて……!!」
結果、リレーは最下位だったが、全校生徒の記憶にはしっかり残った。
生徒会副会長は、ため息をつきながらメモを取る。
「“体育祭、またやらかした。靴が単独ゴール”……来年の議事録に書いておこう……」
「記録より記憶に残る」を全力で体現する我らがバカたち。
でも、ちょっとだけ体育祭らしかったのでは……?ね?
次回は、文化祭の準備でまた騒動の予感!?
波乱の“委員決め”が始まります!
お楽しみに!