第6話『体育祭の陰で繰り広げられる、秘密の作戦会議!?』
学校イベント、それは“非日常”の名を借りたカオス。
なかでも体育祭は、走る、叫ぶ、倒れる、笑う、騒ぐのフルコース。
しかしその裏で、わたしたちはすでに“戦略会議”を開始していた――
そう、勝ちに行くんじゃない。笑いに行くのだ。
「みなさん、来週の体育祭に向けて、委員からのお知らせです」
委員長のアナウンスが流れる中、あかりは静かに拳を握りしめた。
「この日を待っていた……!」
「何が始まるの……?」
「革命だよ、みつき」
ひよりは一枚の紙をテーブルに広げた。そこには手描きの作戦名が踊っている。
『体育祭 バカ四天王作戦:ウケて勝て!』
「“勝て”って入ってるけど、目的は笑いじゃないの?」
「勝つために笑わせるのよ!相手の腹筋を破壊して、戦意を喪失させるの!」
「えっ、それもうスポーツじゃなくて心理戦……」
「まずは借り物競争の札に細工する」
「え、犯罪じゃないよね?」
「『借りてきた猫のような顔』とか書いて、先生が混乱するのを狙う」
「借りられた先生がいちばん混乱すると思う」
「玉入れでは、ひよりの妄想力を生かす」
「わたしに任せて!玉をドラゴンの卵に見立てて、召喚陣を描く!」
「……それ、玉入れじゃなくて黒魔術だから」
「大丈夫、前回の召喚では校長が召喚されたし!」
「それが“大丈夫”の根拠になるとは思えないんだけど!?」
「そして最後は――リレーのアンカーであかりが全力でボケる!」
「走らないの!?」
「走るよ?でも途中でズッコケて、アフロのかつら落として、パーンって風船割ってゴール!」
「……盛りだくさんすぎて内容が渋滞してる……」
「でもこれが勝利の方程式。いや、“笑利”の方程式!」
「上手いこと言った顔してるけど全然うまくないぞ」
「ちなみに、衣装は私が用意しました!」
そう言って、こよみが持ってきたのは――
・やたらリアルな馬のかぶりもの
・バナナの着ぐるみ
・体育祭なのにシルクハット
「これ、使っても怒られないやつ?」
「先生の前でだけ静かにしてれば、だいたい許される」
「その理屈で通るなら、今ごろ私たち全員、学年代表だから!」
教室の片隅で繰り広げられた、笑いへの執念が詰まった作戦会議。
だがその裏で――
「……あの子たち、また何か企んでますね」
生徒会副会長・霧島さんが静かにメモを取りながらつぶやいた。
「去年、風船300個を飛ばして注意されたのに、まさかまた……」
果たして、“バカたち”と“真面目サイド”の攻防戦が、今年も幕を開けるのだった。
イベントのたびに問題を起こす――それが“わたしたち”の伝統。
でも、誰よりも全力で楽しむのも、また“わたしたち”。
次回はいよいよ体育祭本番!?
笑いと汗と、ちょっとしたハプニングが入り混じる、一日が始まる!
お楽しみに!