第50話(最終話) 『舞台は銀河、演じるは友情!――わたしたちの星空フィナーレ』
バカをやるだけの日常だった。
それがいつの間にか、誰かと何かを作り上げる“時間”になっていた。
これは、演劇でもない、ただの学園ギャグでもない。
舞台は“銀河”――
そして、主役は“わたしたち”。
(文化祭当日・開演30分前)
みつき「衣装OK、照明確認、台本準備……みんな、緊張してる?」
こよみ「してないわけない」
まどか「むしろ、胃の中がブラックホールです」
いおん「わたし、朝から4回トイレ行ったよ!」
しおん「私は魂を宇宙に預けたから、物理的な不安は消えた」
あかり「わたしはさっき、自販機で当たりが出たよ!」
みんな「それは関係ない!!」
(ひよりの楽屋)
ひより「……あれ? 緊張してないかも」
(鏡の中で笑う自分を見る)
ひより「みんなでふざけて、みんなで作った舞台だからかな」
(ノック)
みつき「ひより! そろそろ集合! 最初のセリフ、絶対飛ばさないでよ!」
ひより「え、飛ぶって“空飛ぶ”って意味じゃ……?」
みつき「違う!! セリフの“飛び”!!」
(開演)
(客席がざわつく。保護者、在校生、後輩、教師――)
司会「それでは、1年C組による創作劇『銀河最終戦争〜星々の友情〜』、開演です!」
(拍手)
(幕が上がる。照明が青く染まり、BGMが流れる)
しおん(ナレーション)
「遥か彼方の銀河に、静かに眠る王女がいた。名を、ルミナス=ステラ・カノープス」
ひより(登場)
「……我が名は、ルミナス。星々を照らす最後の灯火。今こそ、目覚めのとき――!」
(歓声)
(中盤)
まどか(敵役)
「星の秩序は終わった! 感情こそがすべてだ!」
こよみ(将軍役)
「それは違う。秩序と感情は共に在るもの。矛盾があるからこそ、世界は美しい」
(台詞がテンポよく進む)
あかり(天の巫女役)
「未来はきっと、くだらなくて、笑えるものです――」
(沈黙があって、笑いが起きる)
(いおん、アクションシーンで飛び込む)
いおん「宇宙パンチーーー!!」
みつき(舞台袖で)「アドリブすんなって言ったでしょおおお!!」
(クライマックス)
ひより「……もう争うの、やめよっか」
(舞台上、全員が集まる)
しおん(ナレーション)
「最後に残ったのは、誰かを思う気持ち。
それはきっと、宇宙すら包みこむ――“友情”だった」
(全員で手をつなぐ)
ひより「わたしたちの銀河、笑いながら守れたね!」
(照明が銀色に変わる。星々が吊られてキラキラ輝く)
(大きな拍手)
(舞台裏)
(幕が下り、全員が息を吐く)
まどか「……やりきった、かも」
こよみ「問題は多々あったけど、最後まで走ったことに意味があるわ」
しおん「そう、まさに“全力で銀河に突っ込んだ演劇”……」
いおん「うわーん! もう終わっちゃったー!」
あかり「終わったら、次が始まるんだよ」
みつき「そうそう。明日も、平和にバカしようね」
ひより「うん。だって、私たちは――」
全員「わたしたち、今日も平和にバカしてます!」
ここまで読んでくれて、ありがとう。
彼女たちのバカと笑いと全力の日々が、少しでもあなたの心に残ってくれたなら嬉しいです。
次はどんな季節が来ても、どんな日常が待っていても――
彼女たちは、きっとバカして笑ってる。
なにせ、これが“友情”ってやつだから。
―完―




