第49話 『怒涛のリハーサル!空飛ぶひよりと燃える舞台』
「舞台」って、本番だけがすごいんじゃないんです。
リハーサルこそが、すべての地獄の源です。
演者の混乱、スタッフの叫び、進まない演出。
そしてもちろん、空飛ぶ女子高生――?
今、文化祭前日の“狂気の総仕上げ”が幕を開ける!
(前日放課後・体育館)
みつき「集合ー! 今日がリハーサルラスト! 全員集中して!」
ひより「イェーイ! リハーサルってことは、飛んでいいってことだよね!」
まどか「いや待って。飛ぶって、何を……?」
こよみ「……やっぱり昨日の“空飛ぶ演出”を本気にしてたのか」
あかり「ひよりちゃん、空飛ぶ練習、してたよ?」
いおん「昨日の帰りに“すべり台からジャンプ”してたもんね!」
まどか「本当にやってたの!?」
(リハーサル開始)
しおん「では、第一幕『星の王女、目覚めの詩』、カーテンオープン」
ひより「(王女風に)……我が名はルミナス=ステラ・カノープス。
銀河系第七階層・叡智の星より目覚めし者――!」
みつき「(演技指導)もっと口調をゆっくり、威厳をもって!」
ひより「了解!! 威厳モードいきます!」
(※威厳モード=中二病全開)
ひより「……おおぉ、銀河の旋律よ……舞い降りたまえ我が瞳に!」
こよみ「……逆に早くなってる」
まどか「(台本読み)“空から降り立つ”って……これ、どう再現するの?」
あかり「体育館の上から、滑り下りてくるしかないよね!」
いおん「よーし、ロープ吊ろうぜ! 宙吊りひより!」
みつき「吊っちゃダメーっ!!」
(しばらくして)
まどか「……もう脚本変えない?“空から降り立ったように”ってナレーションだけで……」
みつき「それな。命がけの演出、文化祭じゃなくて戦場でしょ」
しおん「……私の構想では、3階バルコニーから滑空する予定でしたけれど?」
みんな「もっとダメーーーー!!!」
(演出調整)
こよみ「スポットライトの色、もっと深い青にしたほうが宇宙っぽい」
いおん「銀紙で星を吊るしてみたよー!」
まどか「衣装のリボン、もう少し小さくしないと動きづらいかも」
あかり「背景パネルに、流星描いたよ。キラッてなってる」
みつき「(感動)……なんか、すごい。それっぽい」
ひより「……私たち、ほんとに舞台やってるんだね……!」
しおん「当たり前よ。だってこれは、私の“幻視”だったはずの宇宙が、現実になってるのだから」
(最終確認)
まどか「タイムスケジュール確認。開演は明日10:30、リハーサルは9時入り」
こよみ「大道具設置、照明チェック、マイク確認……全部手順表に書いておいた」
あかり「お弁当も持ってくるね! “スペースおにぎり”!」
いおん「おぉー! 星型?」
しおん「私の魂はもう、明日の銀河に飛び立っているわ……」
みつき「問題は、ひよりが明日“本当に飛ぶかどうか”なんだけど……」
ひより「任せて! わたしの羽根は準備万端だよ!!」
みんな「羽根じゃない! 安全確認してから言って!!」
誰かが言ってた。
舞台は“準備が8割、本番が2割”。
でもこの7人のばあい、準備が8割“暴走”、本番が2割“奇跡”。
――さて、次回はいよいよ本番。
観客の前で、彼女たちはどんな“銀河”を魅せるのか。
最終話:『舞台は銀河、演じるは友情!――わたしたちの星空フィナーレ』




