第34話『植物大異変!サボテンは見ていた』
異変は静かに始まった。
教室の窓辺に置かれたサボテンから――。
(朝・教室)
「おはよー。って、……ん?」
ひよりが教室に入ると、窓辺に妙な光景が広がっていた。
「……サボテン、でかくなってない?」
そこに現れる、マイペース天然少女・野々宮あかり。
「うん、昨日“牛乳”あげたらすごく喜んでたの~」
「牛乳!?」
「うん。あとね、“古い教科書”も食べてた」
「サボテンって草食だったっけ!?」
(昼休み・教室)
しおんが興味津々に、成長したサボテンを観察していた。
「……これはもう、サボテンではなく“意思を持った緑色の異物”だね」
「そんなSF用語みたいな説明いらないよ!?」と、みつきがツッコむ。
「……まさか、うちの学校の“魔力の流れ”に反応したのか……」と、しおんがボソリ。
「魔力!? えっ、しおんって何者なの!?」と、まどかが青ざめる。
(放課後)
異変は加速する。
あかりの机周辺――サボテンがずらりと並ぶ。
「うふふ、かわいいでしょう? みんな、わたしの“緑のこどもたち”」
「完全に“農園主”の目になってるよ!?」
「むしろ“女王”って感じ……」と、ひよりが震える。
さらに、いおんが叫ぶ。
「うわっ! サボテンが……体育館まで進軍してるーっ!!」
「このままだと、文化祭のステージが緑の海に――!?」
(緊急作戦会議)
「サボテン鎮圧作戦、開始よ!」と、まどかが立ち上がる。
「ちょっと待った! サボテンだって生きてる! 対話だよ!」と、ひよりが叫ぶ。
「対話でどうにかなる相手じゃないでしょ!!」
「でも……あかりちゃんが泣いちゃうよ……?」
一瞬の静寂。
すると、あかりがそっと言った。
「ううん、大丈夫……もしみんなが迷惑してるなら、ちゃんと“植え替える”から」
「……なんて聖母なの……!」
「いや、問題の本質はそこじゃないんだけど!?」
(数日後・中庭)
中庭の片隅に、小さなサボテン園が誕生した。
「うふふ、みんなここでのびのび育ってね~」
「いや~、結果的に癒しスポットできたな」
「けど、あの子たちたまに“動いてる”気がするんだけど……」
「……まあ、平和ならいっか!」
あかりの“緑のこどもたち”は、今日も中庭で元気に光合成中。
次回は、宇宙からの侵略者が降臨――!?
『対決!ゼン・アルセリオ、宇宙一の料理人』をお届けします!




