第14話『走れ!ツンデレうさ耳と焼きそばパン戦士!』
高校生活、ふたたびの体育祭――!
仮装リレー、スタート地点には「焼きそばパン戦士」。
フィニッシュ地点には「病弱なフランス人形」。
どこに勝算があるのかは、まだ誰にもわからない!
「よーい、ドン!」
号砲と共に、まひるが爆走――ではなく、小走りで出た。
「いけぇぇぇ、まひるー!焼きそばパンを信じてぇぇえ!」
「走りづらい!この焼きそばパン、思ったより武器にならない!」
「武器じゃないよ!装飾!」
まひるの手には、でかすぎるフェイク焼きそばパン(段ボール製)がしっかり握られていた。重量感だけは本物だ。
「つっかえる!腕がまわらない!」
走りながら、まひるが焼きそばパンを観客に投げた。
「いらない人に当たってるー!」「痛い!これホントに段ボール!?重っ!」とざわめく観客席。
「まひるー!いいぞー!迷惑行為でも目立てばOKだー!」
バトン(うさ耳の形の棒)を受け取ったのは、ひより。
「よっしゃああああ!ピンクうさぎ、行っきまーす☆」
スタートと同時に、謎のBGMが流れ始めた。
まさかのBluetoothスピーカー内蔵スーツ。しかも爆音。
「ちゃらっちゃっちゃっちゃ~~~♪(某魔法少女の変身BGM風)」
「それ著作権的にアウトじゃない!?」
「似てるけど違う!“オリジナル風”だから大丈夫!」
軽やかに跳ねながら走るひより。うさ耳が風を切って揺れる。
「うおっまぶしっ!うさ耳のELワイヤーが目に――っ!」
他の選手たちを惑わせながら、うさ耳光学兵器(?)で先行していくひより。
次はこよみのターン。
「……バトン、受け取った」
「がんばれー!黒うさぎー!無表情でギャップ狙いー!」
「やかましい!」
地味に全力疾走するこよみの姿に、観客席からはなぜか黄色い声援。
「こよみ先輩、カッコいいー!」「無表情で走る姿が、なんかすごい!」「うさ耳が揺れてるの、尊い!」
「は……?!」
まさかの“推される側”に突入してしまったこよみは、内心動揺しながらも真顔で全力。
しかし、本人だけが知らない。背中のうさ耳、実は斜めにズレてて、若干折れていた。
「……うさ耳……がんばれ……」
そして――最後のバトンが、くるみに渡る。
「えっ、もう!?え、まだ心の準備が――わわわ!」
フランス人形コスのくるみは、アンカーにまったく向かない足取りでスタート。
スカートが長すぎて、裾を踏みながらヨロヨロ走る姿に、観客は爆笑。
「かわいいけど遅い!」「全力で転びそう!」「守ってあげたいNo.1!」
「は、はしってるのに!なんでこんなに歓声が“守りたい系”なのっ!」
最後は全員で手をつないでゴールイン。
「ぜー……はー……これが……青春……」
「うさ耳、飛んでったけどね……」
「焼きそばパン、地面に溶け込んでた……」
結果は――仮装ポイント加算で、まさかの準優勝!
「なぜか表彰台が、一番悔しそうな顔してるね私たち……」
「仮装頑張ったのに……」
「仮装頑張った“から”だよたぶん……」
体育祭でも安定のバカっぷり。
うさ耳と焼きそばパンが宙を舞い、フランス人形が疾走した結果、青春だけは残った!
次回、第15話はちょっと落ち着いて――と思いきや?
**『修学旅行前夜!誰がいびきでバトルロイヤル!?』**を予定!




