第12話『撤収!友情とボンドとガムテープ!』
文化祭の大盛況な裏で、
忘れてはならない“後始末”という名の現実。
撤収作業に集うバカたち――
今日も平和に、そして全力でガムテと格闘します。
「じゃあ、撤収作業、始めますか……」
文化祭の熱狂から一夜明けた教室に、
妙な静けさが漂っていた。
「ていうか、呪詛の痕跡がすごい……」
こよみが、壁に貼られた無数の“呪”の文字ステッカーを見て、ため息。
「貼るのはテンションでいけるけど、剥がすのって一気に現実だよね」
「“後悔”ってこういうことだね……」
「よっしゃー!ガムテ用意した!あとは剥がして貼って巻いてやるだけだ!」
ひよりはなぜか気合が入っている。
「いや、体育会系ノリでやることじゃないから!」
「なんならガムテで壁そのもの巻いてるやつ誰よ!?机と融合してるじゃん!」
「それ、たぶんまひるだよ」
「なんで!?!?」
「あっ、待って、それ飾りじゃなくて本物のドライフラワー!」
「うわっ、ごめんごめん、机にガムテで固定されてたから、いらないやつかと……」
「それまひるが持ち込んだやつ!おばあちゃん家から!」
「いや、それ持ってくる方もおかしいだろ!」
「こより先輩、これどうします?」
「“黒呪の聖杯”ってラベル貼ってあるけど、これ……」
「……私のマグカップです」
「マグカップ!?ラベルひどくない!?」
「ていうかそれ今朝もコーヒー入れて飲んだよね!?なんで展示物になってんの!?」
「雰囲気あったからつい……」
「展示と私物の境界がゆるすぎるんだよ、うちのクラス……!」
「……とりあえず終わった?」
「うん。教室、なんか、普通の世界に戻ったね……」
まひるがぽつりと言った。
呪詛の旗も、黒板の“ようこそ魔界へ”のチョーク絵も、
全部きれいに消えた。
だけど――
「なんか、寂しいね」
「うん、ほんとに」
「また来年、やろうか。今度は“祝福カフェ”とか?」
「それも呪われてそうだけどな!!」
文化祭は終わっても、
残ったのは、ガムテと、笑いと、妙な一体感。
呪詛のメイドカフェは幕を下ろし、
次はいつもの日常が戻ってきます。
――けど、戻ってきた日常もやっぱりバカばっかり!
次回は「体育祭編」スタート!
**『始動!リレーと策略とピンクのうさ耳!』**をお楽しみに!




