第1話『開幕!春と制服と転校生』
春。
それは出会いと別れの季節―――とか言うけど、私たちにとっちゃ、ただの「制服が変わっただけのバカ継続期間」である。
というわけで、制服が変わっただけのバカたちによる、高校生活がいま、始まる!
第1話、転校生も出るよ!お楽しみに!
「おはようひより。今日も馬鹿そうな顔ね」
「あいさつで殴ってくるのやめてくれる、みつきちゃん?」
新学期の朝。
私は高校の校門前で、いきなり親友からダメ出しを食らっていた。
「ていうか、校門前に来たら普通、感動するとこじゃない? “ついに高校生だね……!” 的な」
「ひよりが制服着てると、高校というより“職員室に呼び出された中学生”に見えるのよ」
「それただの中傷じゃん!?」
通学路に咲く桜の花びらを手で払いながら、私たちはゲラゲラ笑った。
懐かしい制服から、高校の新しいブレザーに袖を通すだけで、なんだかちょっぴり大人になった気分。
「さて、問題は誰が同じクラスになるかよねー」
「さすがに四人全員同じはムリじゃない? あかりとしおん、どうかなー」
すると、後ろから「ひよりちゃーん!」と聞き覚えのある声。
振り返ると、天然娘・あかりがぶんぶん手を振りながら走ってきた。
「はー、まにあった~。朝からマンホールに落ちて遅れそうだったよ~」
「え、マンホールに!?」
「しかも2回!」
「リピートするな!!」
そしてその直後、静かに歩いてきた文学少女・しおんが、満足げにひとこと。
「春は、バカが増える季節……」
「増やしてるのはあなたです!!」
と、まあ。
見た目がちょっと変わっても、私たちは今日も今日とて、平常運転。
それからクラス分けの掲示板を見に行ったら――
「わーい!全員同じクラスだって!やったね!」
「……ある意味、学校にとっては災害かもしれないわね」
そして始まる、1年A組のホームルーム。
「えー、皆さんおはようございます。今日からこのクラスの担任になりました、立花です」
と、やたら爽やかな担任の自己紹介が終わったあと、
「では次に、転校生を紹介します」
……転校生?
「入学式前に転校って珍しいけど……どうせ普通の子でしょ」
私がそうつぶやいた瞬間、教室の空気が変わった。
スッ……とドアが開いて、そこに立っていたのは、
黒髪のショートボブに切れ長の瞳、整った顔立ちのクール系美少女。
「水無瀬こよみです。よろしく」
――私は固まった。なぜなら。
「あんた……こよみ!? こよみじゃん!! うわー!何年ぶり!?」
「……うるさい。あんた誰よ」
「忘れんなぁぁぁぁぁ!!」
その子は、小学校時代の“腐れ縁”。
私が過去に「体育倉庫に閉じ込めた前科」を持つ相手である。
「高校まで追いかけて来たのか、あんた……?」
「逆ぅぅう!! そっちが来たんだよ!!」
こうして、“最悪の再会”を果たした私と元同級生。
あの頃のバカバカしい日々が、また始まろうとしていた。
そして――
「えっと、あの……」
こよみの後ろから、今度はショートカットでやたら元気そうな子が現れた。
「私も一緒に転校してきました! 黒川いおんって言います! よろしくですっ!」
「え、転校生もう1人!?」
そしてさらに。
「わ、私も……! 御園まどか、です。よろしく、お願いします……っ」
地味めの眼鏡女子も、そっとお辞儀した。
……転校生、まさかのトリプル!?
開幕からカオスの予感しかしない私たちの高校生活。
この日から、私たちの「新たなるバカ騒ぎ」が始まった。
というわけで!始まりました!
『わたしたち、今日も平和にバカしてます。―2年目の大騒動―』第1話!
制服は変わっても、バカは変わらない!
そして追加される新キャラたち……これは、ますます収拾がつかない予感!
次回、第2話は「転校生トリオと昼休みの珍騒動」!
お楽しみに!