表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/18

第2話 人間不信になりました

こんな生活を繰り返していたら、そりゃあ 人間不信 にもなる。

クラスメイトの笑顔も、先生の優しさも——目を合わせた瞬間に心の声が聞こえてしまうからこそ、信用できなくなった。


だから、俺は 極力人と目を合わせないようにしている。

授業中はノートに視線を落とし、黒板を直接見ることすらしない。

廊下では うつむき、足元だけを見ながら歩く。

昼休みは 誰とも話さず、屋上でひとり。


——結果、すっかり ぼっち になった。


「目を見れば人の心が分かる」と言えば聞こえはいいが、実際は 都合のいい部分 しか分からない。

俺が知りたいのは、もっと深い部分 なのに。


そんな生活を続けていた俺だけど、最近、少しだけ変化があった。


「佐倉くん、おはよう!」


橘ひかり。

クラスの中心にいる、明るくて人懐っこいタイプの女子。

俺とは正反対の人間だ。


なのに、なぜか彼女は ぼっちの俺にも気軽に話しかけてくる。


「……おう」


目を合わせないようにしながら、適当に返事をする。

以前なら、こういう会話はすべて避けていた。でも、ひかりは何度避けてもめげない。

だから最近は、もう諦めて適当に相槌を打つようになった。


「ねえねえ、聞いてよ! 今日、英語の時間に先生が——」


ひかりが楽しそうに話しているのを横目に、俺は黙々とノートを取る。

うっかり目を合わせたら、心の声が聞こえてしまうからな。


……まあ、ひかりの場合、聞こえても大したことは考えていないことが多いんだけど。


「それでね——あれ? 佐倉くん、聞いてる?」

「聞いてる聞いてる」


適当に相槌を打つと、ひかりは満足したように頷いた。


「ならいいんだけど! じゃあさ、放課後ちょっと付き合ってくれない?」

「は?」


急な誘いに、思わず顔を上げる。


「やった! 目が合った!」

「……っ」


しまった。

ひかりと目が合ったことで、心の声が——


『佐倉くん、やっぱり目がきれいだなあ。もっとちゃんと見てくれたらいいのに』


……は?


思わず目をそらす。


「何、なんか変な顔してるよ?」

「いや……」


ひかりの心の声は、時々よくわからない。

たぶん深い意味はないんだろう。

そう思い込むことにして、俺は溜め息をついた。


「それで、何の用なんだよ?」

「それはね〜……ナイショ!」

「は?」

「いいから、放課後までのお楽しみってことで!」


そう言って、ひかりはニコッと笑う。


……なんだか、嫌な予感がする。


放課後


「……で、なんで俺、こんなところにいるんだ?」


俺が連れてこられたのは、学校近くのカフェだった。

しかも、ひかりだけじゃない。なぜか風間までいる。


「お前もいたのかよ」

「……橘に呼ばれた」


風間はいつも通り無口だが、その横にはカフェのメニューが置かれていて、すでに頼んだらしいパフェが運ばれてくるところだった。


「でさ、佐倉くん!」


ひかりが俺に向かって身を乗り出す。


「このお店、めっちゃ可愛くない? ここのクリームソーダが超おすすめなんだよ! ほら、佐倉くんも頼んでみなよ!」

「いや、俺は——」

「俺はもう頼んだ」


風間が当然のようにパフェを受け取りながら言った。


……こいつ、こういう店も普通に来るんだな。


「佐倉くんも何か頼まなきゃダメ! せっかく来たんだから、楽しもうよ!」

「……はぁ」


なんで俺、こんなことになってるんだろうな……。

「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、レビュー、感想、下の評価を5つ星よろしくお願いします!

していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新が早くなるかもしれません!

ぜひよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ