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第7話:新たな試練と家族の絆

リリアが5歳になり、エレーナとウィリアムの生活は充実していた。

「ママ、今日は何のお花を摘むの?」

「そうねぇ、今日はガーベラにしようかしら。リリアは何色が好き?」

「リリアは黄色が好き!太陽みたいで明るいから」

「じゃあ、黄色のガーベラを摘みましょうね」

母娘で花摘みを楽しむエレーナ。リリアの笑顔は、エレーナの何よりの宝物だった。

そんなある日、ウィリアムが深刻な表情で帰ってきた。

「ウィリアムさん、どうしたの?」

「エレーナさん……実は、大変なことになったんだ」

ウィリアムは、町の領主から届いた手紙を見せた。

「この町に、伝染病が流行っているらしい……」

「え……!?それじゃあ、お店はどうなるの……?」

「当分の間、営業は自粛するしかないと思う。でも、生活のことが心配だ……」

ウィリアムの言葉に、エレーナも不安を覚えた。でも、彼女は意を決して言った。

「大丈夫よ、ウィリアムさん。私たちは今まで、いろんな困難を乗り越えてきた。きっと、この試練も乗り越えられるわ」

「エレーナさん……君の強さに、いつも助けられているよ」

二人は固く手を握り合い、困難に立ち向かう決意を新たにした。

伝染病の影響で、町は活気を失っていった。エレーナの花屋も、開店できない日が続いた。

「ママ、どうしてお店に行けないの……?」

「ごめんね、リリア。今はお外が危ないから、お家にいないといけないの」

「そっか……でも、リリアはママとパパと一緒ならがまんできるよ」

リリアの言葉に、エレーナは娘を強く抱きしめた。家族の絆が、何よりの支えだった。

食べ物や日用品も不足し始め、エレーナたちの生活は苦しくなっていった。

「ウィリアムさん、節約しないと……」

「わかってる。でも、君とリリアには、ちゃんと食べさせないと……」

ウィリアムは、少ない食事をエレーナとリリアに譲った。エレーナは、夫の優しさに涙した。

「ウィリアムさん……あなたこそ、ちゃんと食べてください」

「パパ、リリアのおにぎり、食べる?リリアは平気だよ」

家族みんなで、困難を分かち合った。励まし合い、助け合う、その絆は強くなるばかりだった。

ある日、リリアが熱を出した。

「ママ……頭が痛いよ……」

「リリア!しっかりして!」

エレーナとウィリアムは、必死でリリアを看病した。医者も呼べない状況で、二人はリリアのためにできる限りのことをした。

「リリア、負けないで……ママもパパも、リリアのそばにいるから……」

「リリア……君は強い子だ。必ず良くなると信じてる……」

必死の看病の甲斐あって、リリアの熱は下がっていった。

「ママ……パパ……」

「リリア!良かった……もう大丈夫よ」

「よく頑張ったね、リリア。パパは君を誇りに思うよ」

リリアを間近で失いかけた経験は、家族の絆をさらに深いものにした。

「ウィリアムさん……私、リリアには平和な世界で育ってほしい……」

「わかってる、エレーナさん。僕たちが、リリアのために平和を作るんだ」

二人は、力を合わせて前を向いた。リリアの未来のために、今を乗り越えようと。

そして、月日が経ち、町に明るい知らせが届いた。

「エレーナさん、聞いて!伝染病の危機が去ったんだ」

「本当?よかった……!」

「これで、また花屋を再開できる。みんなを笑顔にできるね」

ウィリアムの報告に、エレーナは喜びで胸がいっぱいになった。苦しい日々を乗り越えて、再び希望が見えてきたのだ。

「ママ、これからはまたお花と一緒だね!」

「ええ、そうよ、リリア。みんなに希望を届けられるわ」

「僕たち家族で、この町に笑顔を咲かせよう」

エレーナ、ウィリアム、リリアの心は一つだった。苦難を乗り越えて、さらに強くなった家族の絆。

花屋の再開日、店は多くの人で賑わった。

「エレーナさん、再開おめでとう!あなたの花に、みんな励まされていたのよ」

「お客様……ありがとうございます。これからも、精一杯お花を育てます」

エレーナの花は、人々に勇気と希望を与えた。ウィリアムとリリアも、エレーナを支えた。

「ママの花、みんな喜んでるね」

「ああ、エレーナさんの花は、人の心を癒やすんだ」

「私、パパとママみたいな花屋さんになりたい!」

「リリアなら、きっとなれるよ。パパとママが全力で応援するからね」

微笑み合う家族。試練を乗り越えて、さらに強くなった絆。

「ねえ、ウィリアムさん。私たち、この町であの時花屋を始めて本当に良かった」

「そうだね。苦しい時期もあったけど、君と一緒に乗り越えられた。それに……」

ウィリアムは、リリアを見つめた。

「花屋があったから、私たちはリリアにも恵まれたのよね」

「パパ……ママ……リリア、花屋のお手伝い頑張るよ!」

花に囲まれた幸せな家族。エレーナの人生は、まさに満開の花のように、美しく輝いていた。

「ウィリアムさん、リリア。私、あなたたちと一緒なら、どんなことでも乗り越えられる気がする」

「僕たちは一心同体だからね。これからもずっと、家族で幸せな人生を歩もう」

「うん!リリアは、ママとパパが大好き!」

抱き合う家族。愛と信頼に満ちた絆。

エレーナの物語は、大きな困難を乗り越え、新たな一歩を踏み出した。これからも、彼女は愛する家族と共に、人生の花を咲かせ続けるだろう。

店先に並ぶカラフルな花々。その中央で微笑む、エレーナ、ウィリアム、リリアの家族。

彼らの幸せは、まるで美しい花束のよう。季節や時代が変わっても、決して色褪せることはない。それは、家族の絆が生み出す、奇跡の花なのだから。

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