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『ようこそ!【Alternative Online】へ!まずは、貴方のプレイヤーネームを教えてください!』
おぉ…!おおおおおおおお!!
これが、夢にまで見た【Alternative Online】の中…!感動だああああ…!
この画面に入るまで、すっごい楽しみだったなぁ…!
両親にこのゲームを当てた事を報告したら、すっげぇ驚いてたなぁ…!ゲームに疎いお袋ですら、当てた事を喜んでくれたなぁ…!
勿論、勉強や進路を疎かにしないよう注意する事を約束した上で、このゲームをプレイする事を許可してくれた!
そっからはもう、機材の準備やら取説の説明、そして稲葉に報告をして(勿論、《お前より安く天の助けのお陰でゲットできたぜイェ~イwww》の煽りつきで)、ようやくこの世界にダイブ!
最早、キャラメイクに付き合ってくれるAI妖精さんですら、あまりの生き物感の強さに感動するレベルだぜ…!
『…あのー?』
「はっ!?し、失敬失敬…」
ごほん、改めて…プレイヤー名に関してなんだが…。
「一旦保留にしても大丈夫?」
『はい、分かりました!では次に、貴方のなりたい種族をお決めになってください!』
保留が受理されて、代わりに目の前にはとある画面が表示された。
そこには、人族やら獣人族やらと、多種多様な種族の一覧が表示されていた。
しかも、獣人の欄だけでも、どんな動物になるのかという一覧がビッシリ書かれている!どんだけ力入れてるんだ運営!!
「うぉすげぇ!?獣人だけでスクロールに時間かかる!?」
いいねぇいいねぇ!中々粋な事をしてくれるじゃあないか!興奮するぅー!!
『ジー…』
ハッ!?
い、いかんいかん。あまりの楽しみさに冷静さに欠けていた…。落ち着け俺、決めるべき種族はもう決めていたじゃあないか…!
よし落ち着いた。
改めて、獣人族の欄を取り消して、種族欄をスクロールする。求めている種族の名前がまだ出てこなくて、じれったくなった瞬間、俺はその文字を見つけた!
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・妖怪族
あ:青行燈
:青鷺火
↓
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あったあああああああ!やっぱりあったよ妖怪の文字が!!しかも結構多い!なんかマイナーレベルの妖怪まで記載されてる!運営マジですげぇ!最高かよ!!
事前に調べた情報だと、【Alternative Online】の世界では、妖怪たちはそれぞれ、『人型』と『妖型』という二つの姿に変わる事が出来る。まぁ要するに、普段通りの姿と戦闘モードに変わる事が出来るって事だけど……それを考えただけでもワクワクすっぞ!!
よぉーし、こっから決めていくとしよう!俺が妖怪として歩むべき存在を!
…と、意気込んだはいいけど。実はもうなりたい種族は決まっていたりする。
なので、俺は迷いなくその妖怪の名前をタップする。
『種族は、“唐傘お化け”で大丈夫ですか?一度決めたら、もうやり直しませんよ?』
「えぇ。それでお願いします!」
唐傘お化け。
妖怪とかお化けとかって聞かれて、真っ先に思いつくイメージが強いやつランキングでは、上位に位置する存在だ(俺調べ)。
唐傘という昔の傘が、捨てられた恨みで妖怪化したとされている存在で、見た目はその唐傘に、一つ目と口を貼っつけて、持ち手部分が人の一本足になっているという、シンプルながらにちょっと不気味な印象を与えてくる存在。それが唐傘お化けだ。
何故コイツにしたのか?それは、俺が妖怪を知るキッカケになってくれた奴だからさ!それに……いや、この話はやめておこう。
それに、事前に調べた情報によると、唐傘お化けは中々面白いステータスをしている。
なんと力が弱い。人型の時で過ごすと、常に自身の分身ともいえる唐傘を持つ事になるのだが…なんとこれより重い物を持てないっていうね!初期ステータスとしては破格のクソ雑魚性能!
だがしかし、MPと器用さは、初期ステータスの中では最高品質!それに次いで、耐久力も中々の物!何という典型的魔法使いタイプの妖怪!だが、肝心の攻撃力がクソなので何とも言えない!それが唐傘お化け!
だが、それが良い!
という事で、俺の種族は唐傘お化けに決定!鬼とか猫又とか天狗とかは、あとで頑張って仲間に出来るよう頑張らないとね!!
『では次に、メイン職業とサブ職業を決めてください!』
お、次のステージだな。ってうおぉ…これまた種族に負けない量だ!本当になんでもありだな、このゲーム!
だが、実はこれもまた同じく既に決めていたりするのだ!
てことで、これとこれをそれぞれ…はい皆さんご一緒に?せーのっ!
「ポチポチっとな♪」
『メイン職業を召喚士、サブ職業を鍛冶師にしますか?一度職業を決めたら…』
「大丈夫なので、お願いします!」
何故これにしたのかって?フッフッフ……あとで分かる!
因みに、職業を選択したら自動的にその職業に必須な“スキル”が付与される。
初期ステータスだと最大10個決める事が出来て、そこから先は、一定レベルを上げる事で、習得できるスキル枠が一つ出来るって感じ。要するに、次からは俺の閃きと努力次第って事だな!
『では次に、キャラメイクをしてください♪』
そうAI妖精さんが言うと、俺の目の前に鏡が現れて、俺の姿を映しだした。成程、こうして自分の容姿を決めるのか。
……俺ってば、いつの間に黒の甚兵衛を羽織ってるの?しかも右手には俺の分身体とも言える唐傘が…!
気づかなかったな…!
とまぁ、それはさておいて。容姿は…うーん、俺ってば一応顔立ちは整ってる方だとは思うから、あんまり動かしたりは…あ、いや。どうせならモノアイにしよう!
そう決めて、実際にやってみた。お、良い感じじゃないか?目の色は……青紫色にしてみよう。少し不気味寄りになるかも!
そんでもってぇー…髪の色どうしよ?折角のゲームだから、ちょっと現実離れした髪色にしたい…。
…お、そうだ。青色にしてみようか。赤色だと、それはそれで普通の唐傘お化けっぽくてイイネ!かもしれないけど…ちょっと変化球としてやってみよう!
早速実行!
「お…?おぉー……」
…普通にありだなこれ!でも…これ髪の色、青というより紺色とかに近い…ってうわぁ!?びっくりしたぁ!おま、髪色変わると傘の色も変化するのかよ!?知らなかったわ!
だ、だがまぁ…面白い発見は出来たな!よし!
あとは……これでいっか!よし、これでキャラメイク終了!キャラメイクだけは、専用施設に金を払う事で、自在に変更が出来るみたいだから、今は雑でもオッケー!
『では最後に、貴方のプレイヤーネームを教えてください!』
お、これで最後か!実は、名前を付けるのが苦手だから後回しにしてたんだけど…良い名前が思いついた!
「プレイヤーネームは、『雨天決行』で!!」
例えどんな困難という名の暴風雨が訪れたとしても、俺は唐傘だからな!全力で耐えきって、前に突き進んでやるのさ!!
そんな意味を込めてこの名前にした!
『では、雨天決行様。改めましてようこそ、【Alternative Online】へ!もう一つの人生を、どうぞごゆっくり、お楽しみくださいませ!』
よぉーし!やってやるぞ!いざ、出陣!エイ、エイ、オォー!!