赤壁の守護者2
気が付いたとき、茜は自室の布団の上に転がっていた。
先程までの悪魔は、夢だったのかと思い込もうとしたが、直ぐに気が付いてしまう。
茜の手には真っ赤な杖が握られていた。
サッと顔が青くなるのを感じる。
誕生日パーティーの途中、突如現れたあの醜い悪魔が私達に何かをしたということだけは覚えている。
「パパ!ママ!」
茜は自分のことはさておいて、誕生日パーティーの間、つまりは悪魔が現れたときに一緒に居たパパとママが心配になり、自室を飛び出してリビングに向かった。
ドタバタとリビングに向かうと、そこには、机を囲んでお茶を飲むパパとママ、そして、何故か小さく、どちらかと言うと可愛いと言える容姿になった悪魔が居た。
「やあ、茜ちゃん。本当に申し訳ない。ちょっと僕は焦りすぎていたみたいだ。ところで杖は君の手に馴染むかい?」
やたら丸っこくデフォルメされた悪魔は、績苗家の食卓にすっかり溶け込んでいて、さも当然かのように挨拶をして来た。
「?」
茜は自分が寝ている間に何が起きていたのかと、首を傾げながら両親に説明を求め、視線を向ける。
「彼は悪魔、Evilを名乗っていたけど、俺達に敵意が有るわけではないらしい。まあ、茜が起きてくるまでは疑っていたけども、起きてきてくれたってことは、即座に俺達に危害を加えるって訳ではないみたいだ。」
「茜ちゃん、ママ達は先に悪魔さんに話を聴いていたわ。少し難しいかも知れないけれど、重要な話。茜ちゃんもこっちに来て話を聞いてね。」
パパも、ママも、真剣な顔をして、私を見る。
チラリと見やると、悪魔はニヤニヤと笑っていた。
悪魔の回りくどい長い話をパパとママが噛み砕いて教えてくれた。
悪魔の話、私の話、世界の話。
彼は、私が産まれた日、即ち、旧世界終わりの日に、赤嶺町に赤い壁を貼ったEvilそのものなのだそうだ。
彼は、亀裂から出てきたその時に、私を見付けたらしい。
目の前の悪魔は、魔法を操ることができ、人類にしては比較的悪魔の力、魔法との適性が高かった私に目を付けた。
魔法の力を譲渡する対象として。
そして、私がある程度、つまりは12歳の今日まで待って、ようやく今日、悪魔の魔力そのものと言える杖を私に託したのだそうだ。
杖を作るために悪魔は力を使い果たし、私を守るために維持していた赤い壁の結界を維持する力すらもなくなったのだと言う。
それが意味することは、今まで結界があって干渉できなかったEvils達が、赤嶺町に侵入してくる可能性が高いということであり、対抗できる力を持つのは悪魔の杖を持つ私だけなのだと言う。
ちなみに、悪魔が小さくなったのは怖がられない見た目に合わせたかららしい。