第六十四話 生物兵器戦
どうも。格好よく宣言したと言うのに、義娘によるお尻へのお仕置き棒アタック、息子による長時間の正座お説教を食らって暫くヤサグレていたエルフの姑です。
問答無用でした。私が集落の入り口に入った所ですぐさま投網を投げられ捕縛&公開仕置きでバシーンとお尻をアタックされてしまいました。
酷い、、、だれも敬老の精神を持っていないのでしょうか?こんなにもプリティなエルフ妻のお尻を暫く座れないくらい叩く事はないでしょうに、、、とは言う物の、甘いですねぇ、手加減が見え見えです。
彼女の膂力なら尻の皮が破れるくらい簡単でしょうに。族長であるなら裸に剥いて外に暫く放りだす事くらいはしても良かったと思いますよ実際。
息子にしてもそうです。親類であるからこそ容赦なくこの母を罰するべきです。
いえ、私はマゾヒストではございませんよ。ただ出て行くなと言われているにも関わらず、混乱の中脱走し追撃部隊も振り切った馬鹿にはもう少しキツイお仕置きがあっても良いかなぁと思った次第でして。
本当に私は特別扱いして貰ってます。けれどその信頼を私は裏切らないといけません、口で説明してもアレの危険性は理解が難しいでしょうからね。
本来であればオークとエルフが手を組んで軍を起こした以上、敵何ぞ全盛期の人類帝国軍や髭の遠征軍くらいしか居ない筈なんですよ。それがあれです。
アレ、、、あの子をどうにかするにはかなり危険な手を使わざるを得ません。使いたくは無かったのですが手段を選んでいる場合ではないでしょう。
勿体ぶるな?せっかちいけない!少しお持ち下さいね?用意には時間が掛かりますので。
「だれか来てください!いえ、お尻冷やすようの氷の追加では無くて、、、、」
あー慎重に扱って下さいね!そこ!雑に箱を放らない!外気に当てない様に直ぐに屋内に持って言って下さい!保管庫の方もガンガン火を焚く!
これで終わり?そこら中にいるでしょ?なに、纏めると共食いするから駄目?そりゃそうか。
あら?そろそろ皆さまをお呼びしようかと思っていたところです。用意整ってございます!
気になる?気になりますよね?私が大見栄を切った禁断の最終兵器なんですから!ではお見せしましょう!後で食べようと思ってたので糞出ししてから絞めたのを貰ってきてます。
じゃーん!これです!何匹かで目刺しになってますが大きなイナゴでしょう?こいつが最終兵器です!えへん!
なによ皆さま白けた顔されちゃって、、あ!信じてない?良いのかなぁそんな事言って!これ来歴聞いた驚きますよ!
一匹近くでみせますね?どうこの顔の形何処か人間さん見たいでしょ?仮面なんちゃらそっくり、んで持ってその頭に冠を頂いている様な模様みえません?見えるでしょ?森ではそのまま冠バッタで通ってます。これの何が凄いか?そりゃイナゴですから繁殖力です。
皆さま、蝗害について聞いた事は?一度くらいあるでしょ?戦記物がお好きな方はご存じですよね?地球世界の現代に置いても、未だ完全に駆逐出来ず毎年多数の餓死者を出す黙示録の騎士の事です。
サバクトビバッタが有名ですよね?数えきれない程の群れで進行方向にある全ての植物を食いつくす死の群れになるバッタです。
此奴はそれの強化版、森の深層に生息する蝗害の化身、黙示録第五のラッパに出てくるイナゴ君です。森には地球世界では神獣と呼ばれる生物が生息している事は既にご存じでしょう?
ほらあれですよ麒麟のレバ刺し、此奴もその一つです。なんでそんな物が居て森が裸にならないか?そりゃ同じように神話上の捕食者が多いからですよ。
だから群になる前に此奴の数は抑えられているのです。なんで知ってるか?一度私の薬草園と果樹園をやられてるのです。子供たちの誰かかが森で拾って来たのを離したんでしょう。
あっと言う間に増えて危うく全部食われる所でしたが、後も大変な事になりました。必死に家族総出で虫取りしていたら、森の中から蜘蛛やらトカゲやらカマキリやらネズミやらの小型の捕食者が大挙してきてミニ怪獣大決戦を始めたんです。
思うにあれが森の防衛機構でもあるのでしょう。それで如何にか帝国時代からの貴重な草花を守れたのですが、彼らが去る迄屋敷中小動物の住処になり、朝起きればモコモコ毛玉塗れの糞尿塗れで一日中掃除に追われてしまいました。
ですがその程度の被害で済んだので幸運だったのでしょう。イナゴ君が本気モードになって、刺されると数か月は痛む毒針まで実装されていたら、私たちは生きていなかった可能性すらあります。
そんなイナゴ君ですが、群生相にならなければ見た目が少々キモイただのイナゴなので、貴重なタンパク質として重宝されています。
あぶり焼きが美味しい調理法、足を捥いで串にさして遠火でじっくり、定番の佃煮は大きさ的に無理があるかな?正し生活圏に生きたまま持ち込むのはNGなので、取ったらその場で絞める必要があります。後共食いするので籠に纏めて入れちゃ駄目。
図体がデカいので意外と鈍く子供でも捕まえられ、籠を一杯にした子供が夕方帰ろうとすると二、三匹しかいない事に気づき、泣いて返ってくるのは、森エルフの幼年時代の思い出の一コマになっております。
それでですね、これがもし森の外に出たらどうなると思います?それはそれは酷い事になると思いませんか?唯の蝗害ではない文字の通り空を埋め尽くす超蝗害になると思いませんか?
それを解き放ちたいと思っております。ええそうですオーク領にです。自滅する気か?ご安心下さい、如何に終末の生き物と言えど生物は生物、本番であるラッパの音なくしてこいつ等は凍土を超える程の超自然性を持ちえません。ちゃんと製造元に電話して仕様を聞きましたから大丈夫な筈です。
逆にいいますと、ラッパが吹いたら南極に逃げようと北極に逃げようと追いかけて刺してきますし、あらゆる食糧をバリバリ行くでしょうから、本気モードに出くわした方は諦めて下さい。
話を戻しますね。勝てないんですよ、我が子with寝取り女軍団。あの後我が子の戦闘力を見極めようと何日か偵察していたんですが、、、アレ無理。
刃が通らない、矢が刺さらない、全てかすり傷で、一振りでオーク飛び、騎兵を騎手ごと肉団子!皆さまの中には個人の暴力如きと英雄の姿に肩を空かされた方もいるかとは思います。
でもね。我が子は今の世に居て良い存在じゃないの、親として悲しいけど神代の英雄は相手に化け物が、同じ英雄がいてこそなのよ?
所詮、唯の暴力装置と思うでしょう。ですがこちらには火薬も大砲も無いのに、ヘクトールとアキレウスとヘラクレスが束になって突撃してくるのと同義なのよ?
毒?うちの子を殺す気!殺しちゃ駄目なの!媚薬?あのね、、、五歳なのよ!五歳!まったく!エロ星人しかいないのかしらん!真面目な話、発散方法を殺戮にして暴れるだけですよ。
となれば唯一の手段がスタミナ切れを狙う事ですが、エルフ準拠だとしても三日以上は暴れられるでしょうし、神から乳を受けた時点でどれ程頑張れるか予想不能の存在にあの子はなり果てています。
だから周りを切り崩すんです。皆さま、あの子を初めて見た時、あの子が何をしてたか覚えてるでしょ?
お腹一杯に甘い物を食べて寝てましたよね?あの子ね観察しますと、五歳児らしくご褒美や楽しい遊び(戦闘)で釣らないと言う事聞かないんです。
私に化けたロキは、定命の子供なんて躾けた事ない物ですから、巨人や神と同じく放任でもしたんでしょう。如何に体が大きく神の祝福を受けたとは言え、ハーフエルフである我が子は成長して行く定命の存在、神話から直で此方に来た上、能力を制限されているロキには手に余ったのでしょう。
ですので甘い物も遊びも手に易々と手に入らない状態に彼らの軍団を追い込むのです。それがイナゴ君の役目となります。
おやつは無い、遊び相手も居ないで駄々こねる子供を貴奴は制御に必死になる筈なので、そこに付け目を見出します!希望的観測?そうだよ!それ位しか私のオツムでは思いつかないの!悪いか!
しかも、かなり危ない賭けでして。下手こいてイナゴ君がここ北の大地から人類圏に流出すると人類圏がワヤになりかねません。そうなると人類激減、それを見た髭の人類圏侵攻、エルフ残党発見す!、エルフ・ドワーフ戦争再びとコンボが発生します。
対策はあります、イナゴ君が全てを食いつくす前にオーク領に凍土を引っ張っていくのです。やり方はご説明しましたよね?
そう力技です。この計画はイナゴに追われて出て行くNTR女とオーク軍団を凍土を引っ張りながら追いかける事になるでしょう。
途中で迎撃を受ければ全て終わりのリスキー極まる戦法ですが、やらなければ何れは我が子と真っ向切ってやり合う羽目になります。
それだけは御免です。子供たちが殺し合うなんて絶対に絶対に駄目。それなら私が死んでも如何にか、、、、なーんてね!
何よ!私がまた死にたがりを起こしていると?責任感じてるとでも?ないない!それは無い!
(ですがまあ、自分のお尻ぐらいは子供達にではなく自分で拭くべきではありますよね実際)




