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第五十五話 学名 オークホイホイ肉食花

 食い意地の張った我が子は、小一時間程正座させてから解放しましたが、その後も私の頭脳は回転しておりました。そして一計を案じたのです。いつも通り小手先ではありますが、、、、


 オークを征服する上での一番のネックは数の差です。彼らは大きく我は少ないのが問題。


 ではどうするか?一番良いのはヒットアンドウェイを繰り返して数を減らす事です。ですが残った大部族は数もそうですが練度も中々の物。常在戦場の世界で生きている彼らに生半可な攻撃を繰り返しても此方が被害を出してしまいます。


ではどうするか?こうするのです。




 「円陣だ!円陣を組め!」


 「ちきしょう!何処から来てるんだ!」


 「卑怯者!出てきて勝負しろ!」


 北の荒野に住む連中はたんまりと蓄えている。そんな話が方々の港で広まり始めたのはここ最近の事。話を持ってきたのは、これもここ最近、俺たちの土地を訪れる事の増えたヒョロヒョロ野郎たち詰まりは人間だ。


 只でさえ痩せている俺たちオークの土地でも、北は「荒地」と呼ばれる程、住むには厳しい所なのだが、それでもそれなりに同族は住んでいた。「痩せ狼」共に年中襲われ、俺たちだって冬の厳しい時分にしか食わない木の皮を年中しゃぶる場所だが、先祖の土地から離れられないのが俺たちなのだ。


「「そいつらが羽振りが良い?冗談!ワハハ!テメェ俺らを揶揄うといい度胸だ!」」


 詰まらねぇ冗談を言った奴は即ボコボコにしてやったが、隠れて事の真偽っつう奴を確かめに出た物好きもいた。俺らも戦続きで懐が寂しかったからな当然だ。


 驚いた事に帰ってきた奴はお宝を満載した船で戻ってきた。食い物に酒それに山ほどの毛皮だ。何処かの誰かがご先祖様を怒らせでもしたのか、ここ最近大雪原が広がっちまったせいで、狼どもの群れはそっちに行っちまって毛皮も品薄だったから有難いなんてもんじゃない。


 俺たちは直ぐにそいつを締め上げた。


 「「どこでこんだけのもんを手に入れた!吐け!」」


 つい、力が入って絞殺しちまったがそこは良い。あの野郎、俺の手柄だなんだと自慢して回ってたからな良いきみだ。それに吐かせるもんは吐かせた。


 雪原の向こうにいた「痩せ狼」共。あいつ等が抱えていた女共の反乱にあってこの世からオサラバした事は聞いていたが、まさかその女どもが北を締め上げていたとは驚きだ。そんでその女共は「痩せ狼」共が隠していた狼の飼い方と捕まえ方を使って大儲けしているらいしのだ。


 商売の相手は人間だ。人間どもは女共が貯めこむ毛皮目当てに、こっちじゃとんと目にしなくなったもんを船に詰め込んできている。


 陸の上では人間共なんて一息で吹き飛ばせるが海の上じゃ昔みたいに美味くは行かなくなって久しかったからな、俺たちは大喜びで仲間を集めて船で北に攻めこんだ。


 馬鹿みたいに儲けたさ!俺たちがちょいと近づけばあいつ等は尻尾まいて逃げた。不細工団だとか名乗って北を締め上げてたそうだが本式の俺らに叶う筈がねぇんだ。


 そうなって来ると手を突っ込んでくるのがお偉方だ。あいつ等、戦、戦と俺たちをこき使って分け前一つ寄越しやがらない癖にこう言う時だと直ぐにしゃしゃり出て来るんだ。


 文句は言いたいが勝てやしねぇ。あいつ等は強過ぎるよまったく。周りにいる奴らも殺しが飯より好きだなんて言う俺たちから見ても、気が違っている様な奴らばかりなんだぜ。


 だから嫌々だったが俺たちは教えてやった。そしたら船を出せ!付いて来い!とさ、何様だあいつ等!だが逆らって死ぬのも面白くねえ、折角美味い飯にあり付けそうだってのに目の前で取り上げられるのもだ。


 俺たちは大人しくしたがったよちきしょう!そしたらクソに集るハエ見たいに族長共は集まって来るじゃねぇか。水辺に近い奴らは全部来てたんじゃねえかアレ?


 三十人乗りの船が百は超えてたんだから、あいつ等も相当に乾いてたんだろうよ。細かい船ならもっとだ。頭数も千た二千じゃきかねぇ。あいつ等が集まったせいで、沿岸の村は奪われるだけ奪われちまった位だ。そのせいで一族総出で生きるか死ぬか沈みかけの船で来た運のねぇもんもいたからな。


 実際、北に付くまでに沈んだ奴もいたさ。だが止まらねぇ、どいつもこいつも血走った目で食い扶持を稼ぎに北を目指した。


 上陸しちまえばこっちのもんだ!腹いっぱい食える!そう思ってなきゃやってらんなかっただろうな。



 今思えば、それが狙いだったんだよ、あのクソ女どもは。上陸一日目の事だ。あれは船を陸に引き上げて野営地を作っている最中だった。


 先走った連中が三百程つれて内陸に入ってたが、そいつらの手足を括り付けられたズタボロの野郎が何人かで戻ってきた。手首に足首、見たこともねぇ程鮮やかな切り口だった。


 戻ってきた奴らは情けねぇ事に怯えていた。オークが怯えてたんだ。いくら食い詰めたもんでもオークがだぞ?信じられるか?どいつも「バケモンだ」「幽霊だ」とうわ言まで言っただ。


 張り倒して訳を聞けば、突然襲われて訳が分からないとだけしか言わねぇ。


 「他の連中はどうした?テメェらだけか?」


 「そうでさぁ。他のは皆連れて行かれちまった。なぁお頭方帰りましょうや?ここイケねぇよ。あいつ等はバケモンだ」


 情けねぇ。そん時はそうとしか思えなかった。大の男が百や二百やられただけで腰を抜かすなんざ恥だ。第一切り取った首を持たせて帰らせるなんざ、しょっちゅうやってる事だろうに、手や足を土産にされた位でビビるなってな。


 「帰りたきゃ、テメェらでけで帰れ!ただし妙な事、他の連中に吹き込みやがったらただじゃおかねぇぞ!」


 話を聞いてた族長の一人がどやしつけたのを聞いた時は俺も頷いたよ。あん時大人しく帰れば良かったんだと今になって思うがね。


 二日目の夜明けは最悪だった。昨晩に戻ってきた奴をどやしつけてた族長の一人が消えやがった。臆病風に吹かれたなんて思う奴は居ねぇ。その族長は二千から束ねる頭の一人だったんだからな。


 だがどいつもイヤーな気にはなった。ひょっとしたらあの臆病もんの言葉は本物かもしれないと一瞬どいつも考えたのさ。声にはださねぇ。そんな事したらテメェがビビッてると思われる。


 残された族長たちは互いに見回した後、何も言わずに進軍を決めた。それしかなかった、食い物より人数の方が多かったからだ。少なくとも村の一つも襲って食い扶持を奪う必要があった。


 俺たちは野営地に船の番をするもんを百程のこして川沿いに内陸を進んだ。昨日の事もある出来るだけバラバラになるのを避ける為、纏まってだ。


 昼頃には、お目当ての村、それもかなり大きな村を見つけて俺たちは喜んだ。腹が減ってたんだ。族長共が止めるも聞かずに俺たちは村に攻め入った。


 拍子抜けするほど簡単に村は落ちた。そこにいた連中は皆逃げちまったからだ。次の村その次の村でも同じ事おこった。


 それが行けなかった。


 「「こんだけ腰抜けの連中だらけなら態々纏まっている必要もねぇ」」


 そんな声がでちまった。族長達も馬鹿じゃねぇからそんなもんは何時もだったら無視するだろうが、生憎と今は寄り合い所帯だ。あちこちから湧き出す声を止めらんねぇし、勝手に抜け出す奴らも出て来る。


 そん位に襲った村はウメェ獲物だった。あれだけの稼ぎは先ずここ最近は目にしねぇ、それこそ大戦の戦利品でもないとな。


 だからどいつも我先にお宝を得ようとバラバラになっちまったんだ。ああそうさ、俺たちは間抜けだ。見られてるのを気づきもしなかった。


 


 


 


 


 


 

 


 

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