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産むし 増えるし 地に満ちる 私がママになるんだよ!!  作者: ボンジャー


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第四十四話 詐欺師とエルフ 其の二

 初めまして皆さま、私名前は、、なんだっていいでしょう。


 所詮、奴隷に名前なんて、有って無い様な物なんですから。


 そうなんです。私、獰猛で狂暴と名高いオークの奴隷として売られた者なのです。


 オークは酷い連中です。毎日のキツイ労働と体罰の日々で、ボロボロのボロリンチョ。遂には何が気に入ったか分かりませんが、一人のオークに気に入られ、体を求められてしまいました。


 でも仕方ない事なんですよ。飢え死にするよりかは、例えオークであっても。奴隷として生きて行けるならまだましな方です。


 私を売った両親はどうしているでしょう?ん?両親?はて?どんな顔してましたっけ?おかしいな?思い出せない?


 まあ、いいや。所詮は娘を売る様な親、どうせその金で酒でも飲んでるんでしょう。娘を売った金で飲む酒は美味いか!お父さん&おっかさん!


 話を戻しましょう。幸いと言って良いかは分かりませんが、私を求めて来たオークは、かなり私を気に入ったと見えて、私を傍に置いていました。そのお陰で、少しはマシな物を食べる事が出来ました。


 過去形なのは、その境遇も更に酷い事態に会って崩壊したからです。彼に連れられて出た、小競り合い(確か遠くの村を支配下に入れるとか言ってましたか)の帰り道、私は最悪な連中に浚われたのです。


 あいつ等は鬼ですよ。通常のオークも酷い生活してますが、あいつ等はその上に、体罰なんて言葉では言い表せない惨い事をしてやがる連中でした。


 そう言う連中に捕まった後ですと、彼は優しかったなぁと感じました、ホントに心底そう思います。ベットの上でも(藁布団でしたが)それなりに優しかったなぁ、彼。


 それはもう筋肉モリモリマッチョマンな彼が、おっかなびっくり私を抱くのは、あれはあれで味わいのある物で、、、、、ん?私、そんなに男性経験ありましたっけ?彼が初めての相手では?


 おかしいな、さっきから?私誰に態々、心中でご報告などしてるんでしょう?誰が聞いてるの?誰に説明してるの?


 なーんか忘れてる気がする?しょうがないか、、、こうして自分の気持ちを整理しないと、頭が如何にかなってしまいそうですものねぇ。


 攫われた私は、私を浚った相手である「痩せ狼」共から必死の思いで逃げ出し、なんとか逃げ込んだ森で、親切な御仁に命を拾われました。


 もう数か月になりますか。当て所もなくなく、森を彷徨っていた私は、「もう死ぬ、、ごめんね坊や若しくはお嬢さん」と、お腹の子に謝りながら死ぬのを待っている所を、不思議な二羽のカラスに導かれ、ここにたどり着いたのです。


 驚かれます?そうなんですよ、私はお腹に彼の子がいたのです。あれだけやれば、出来る物は出来るのが当然でしょう。


 いつもだったら、妊娠した位では、私一向に驚いたり、まごついたりなど致しません。なんせ五十人以上も生んだ世界の地球だったらギネスに乗る、、、、、?


 ギネス?なにそれ?、良いや!妄想でしょう、妄想!でも五十人?そんなに人間が産める訳ないじゃないですか!第一、今回が初産ですよ私は!


 なーに馬鹿な事、考えているんざんしょ!本格的に混乱してるな私、、、


 


 「何を一人で百面相してるんだね?」


 「あれ!これはすいません!どうにも近ごろ、頭に引っかかる物がありまして、、つい」


 恥ずかしいとか見られたな。今、私の顔芸を指摘したのが、私の恩人である、奇特で親切な御仁であります。


 、ボロボロの私を導いてくれた二羽のカラスの飼い主(本人の弁では友達に借りているだけだそうですが、ペットって貸し借りする物ですかね?)でもありまして、ご自分の飼っているカラスが余に騒ぐモノだから急いで来てみれば、死にかけの私が居たので保護してくれたのです。


 保護された時はホントに死にかけていて、意識も飛び飛び、前後不覚と言う奴でしたから、寝かせて戴いていたベット(ちゃんとした奴ですよ!布団は羊毛!)から起きて驚きました。


 見渡して見れば、ルーン文字の織り込まれたタペストリーが彩り、横長の炉が部屋の中央にドーンと居座り、赤々と燃える薪は部屋を暖め、そばでは美味しそうな大きな串に刺さったお肉が炙られているのですから。


 そこは家と言うより、お屋敷です。お部屋の装飾も見事の一言。石造りの床にはしっかしりした厚みのある絨毯がしかれ、使い込まれた剣や盾が前述したタペストリーの間に飾られており、配置されている重厚で年季の入った家具が家主の性格を表している様でした。


 「やあ、起きたようだね」


 呆然としていた私に、話しかけてきたのは、これまた重厚な椅子に掛けていた恩人さんでした。完全に混乱していた私は、御礼も言うの忘れてその人を見つめるだけでしたが、恩人さんは、怒る風でもなく、角杯を片手に続けてくれました。


 「森で倒れていたのを、見つけた時は駄目かと思ったんだけど、どうやら大丈夫そうだね。なに心配しなくて良いよ、ここは安全さ」

 

 「はぁ、有難うございます。あの、どのような高貴なお方か存じませんが、この様な過分な事をして頂いても、私、御返しする事など、とても出来ません。どうかお許し下さい。私は、、、その、、奴隷の身分でして、、」


 びっくりしましたよホントに。気付いたら夢の国に居た様な物です。ですから、私の口から出たのも、そんな怯えた様な言葉でした。だって相当な身分の人のようでしたから。


 恰好を見れば分かります。雪国らしく分の厚い上着には、下品にならない程度の刺繍がしてありますし、チラリと除く下着もあれは絹製でした。しっかりした洋袴も模様が織り込まれていますし、右手の指には金の指輪がしてあるんです。


 どう見ても貴族です。オークの土地である筈の場所に何故に人間の貴族?とは、その時は思いませんでした。後で聞いてみれば、しょっちゅう小競り合いが起きたり、何だか良くわからない宗教に汚染されていく人間社会が嫌になり、傭兵として雇用していたオークの伝手で、ここに隠遁しているのだとか。


 この時は、そんな事知りませんから、必死でしたよ。何とか憐れんで貰って、せめて体力が回復するまで、体を休めたかったからです。


 私の言葉に、恩人であるその人は、なぜか目を丸くしながら、気にする事は無い好きでやった事だと、寛大にも言って下さいました。後「効き過ぎたかな?」「しおらし過ぎて、逆に気持ち悪い、ホントにアレなのか、、、」とか小さく言ってましたが、何の事でしょ?

 

 兎も角、恩人である彼は、寛大にも、暫くは此処で暮らして良いとまで言ってくださいました。世の中捨てたもの物ではないですねぇ、ここまで人に親切に、それも役にも立たない女の奴隷である私に自分の生活空間を提供して下さる方がいるとは。


 行くところも無い身の上ですし、私はその話に飛びつきました。いえ、だからと言って食っちゃ寝してはいませんよ。出来うる限りの家事はしておりました。


 然し、この家は不思議ですねぇ。何処からあれだけ食べ物が湧いてくるんしょ?恩人さんなんて、毎日、蜂蜜酒を飲んで、特大のヤギ肉を食べてます。ご相伴に何度も預かりましたが、実に美味しい。お酒は飲んでませんよ!これでも身重ですから。


 北の冬は早い物で、外はほぼ毎日雪に閉ざされていると言うのに、お家の中はいつも暖かく、掃除のし甲斐が無いことに、何処もピカピカで、手入れが行き届き、責めての恩返しにと、家事を買って出た私も手持無沙汰で暇です。


 「適当で良いよ」と恩人さんはお言いになりましたが、そこはそれ、命を救って貰った上に、こんな素晴らしい生活までさせて頂いているのですから、私も張り切っているのですが、ホントに良いのかな?こんな事してて?



そうこうする内に、時は流れまして、春の訪れを前にして一番に寒い時期、私は産気づき一人の男の子を生み落としたのです。


 だんだんと大きくなるお腹を隠しても於けず、如何にか、子の産まれるまではこの、家に置いて欲しいと

恩人さんに頼んだ時は、流石に図々し過ぎるお願いに、叩き出されるかと思いましたが、なんと彼はOKと言って下さり本当に頭が上がりません。


 その上、産気づいた私の世話までして下さりました。お兄さまなんて、私の初産の時には、あの厳めしい顔を青ざめさせて、大慌てでしたが、この恩人は違いました。


 清潔な布から、お湯の用意まで準備万端。産後は私様に薬湯まで用意してくれるんですから、凄いを通り越して不気味なほどです。


 なんでそこまでしてく出さるんですか?とお聞きした時、大真面目な顔で「僕も経験あるからね」との冗談は面白くありませんでしたが、、、男が子供を産むわけないじゃん。


 あれ?まただ。誰だよお兄さまって?この子を産んでからと言う物、どうにも違和感が拭えません。何が不満だと言うのだ私?


 人様の家に転がり込み子供を産むんて言う、野良猫の親類行為をして於きながら、追い出されもせず、こうして母子共に健康。毎日飢えもせず、寒さに凍える事もなく生きて行けているのです。


 本来なら、森で、氷原狼のお腹に収まる所にこの幸運、不満を言えば罰が当たります。でもおかしい気がする。何がおかしいのだろう。


 先ほども恩人さん、、いえ、御主人様に、何、百面相していると言われたばかりですが、眉間に皺が寄ってしまします。


 うーん、、、あっ!坊やが泣いてる!考えに浸るのはこれまで!


 


 「おー、よしよし、どうしましたか?ちっちですか?あれしてない?ほら高い高ーい」


 はれ?泣き止まない?どうした事だこれ?これまで産んだ子はそう愚図る子はいなかっ、、、、いい加減にしろ私、私はこれが初めての子!私はアリじゃないの!百人近く子供産んだり人類はできない!


 「あっごめんさいね、怖い顔して悪いママですね?ほら。子守歌歌ってあげましょう」


 私の口からでるのは、何処か物悲し気な聞いたことも無い筈の謎の歌。エルフ語だと、頭の隅で誰かが言いますが、そんな事ある筈ないじゃない。


 私は売られた奴隷で、遠の昔に滅びた種族とは何の関りもない筈なんです。


 「ご苦労な事だね」


 いつの間にか、御主人様が、子をあやす私の後ろに立っておられました。今日は珍しく友人に会いに行くとおっしゃって、早くから家を空けてらしたのに、いつお戻りに?


 「今さっきさ。面白い歌だね?何語なのかな?」


 「さて?私の故郷の謎歌な物で、御聞き苦しかったですか?」

 

 頭に浮かんだ、ハナモゲラ語だとは言えず、そう言葉を濁しました。だって恥ずかしいじゃん、お風呂での熱唱を聞かれたみたいで。


 「そう言う物なのかね。まあ、良い。実は君に話はあるんだ。ああ、坊やは抱いたままでも結構、こっちに掛けてくれるかな?」


 なんですか突然に改まって?遂に追い出されるの?まってせめて春までは待って下さい!いま外に放り出されたら死んじゃう!


 「そう慌てない。君たちを追い出すつもりはない。寧ろ君たちには良い話だ。いま君は春まで待てと言ったがその後はどうするつもりだい?女手一つで、しかもこの北の地で子供を育てていけるのかい?」


 それは、まあ、、、根性?なーんか行ける気がするんです。なぜか知りませんが、この子もあと少し経てば、裸で外に転がして居ても、槍でも降ってこなければ死なない気が、、、、


 「それは、、、無責任過ぎるだろ。それではいけない。子供を飢えさせたり凍えさせたりして、君は平気なのか?」


 平気ではないです。出来うるなら、この子には安楽で有意義な人生を送って欲しいのが本音と言う物。ですが、私は所詮逃亡奴隷。今は御主人さまの庇護に預かれても何時かは出て行く身。でしたら親子共々、異次元のサバイバルバトルを敢行する他には、、、


 「段々効きが弱くなってきたな、、、、野生に帰ってきたなこれは、、、」


 なにか?


 「嫌、なんでもない。であるならば、なおさらだ。僕も一度助けた者がむざむざ死にに行くのを、見送る積りは無い。でっどうだろう?その子を養子に取りたいと言う者がいるんだ。今日出かけたのも、その話をする為さ。悪い話ではないだろう?」


 それは、、、有難い話ではあるのですが、、、、こりゃ!泣くな我が子よ!何を突然に大泣きする!うれし泣きか?


 「難しいかね?それが駄目ならいっそ、僕の子とするのはどうかな?向こうに断りをいれる」


 なんですか!ご主人の養子に迎える!それって詰まり、、、プロ、プロポー、、、、若しや私の魅力がご主人を誘惑した?いけない!私には旦那と百人を超える子供、、、、ええい!こんな時に何を妄想を!失礼しました。私興奮のあまりついトリップをして、、、、


 「いやそれはない。断じてない」


 ですよねー。そんな美味い話あるわけないよねー。


 「君には言って無かったが、僕は既婚者だよ。子供も多いんだ。だから今更一人二人子供が増えた所で、どうと言う事もない。隠遁している手前、暇をしていたんだ、子育てをするのも悪くない」


 おお、何と慈悲深いお言葉!ですがこの子と離れる訳には、、、


 「何、君を追い出すつもりはない。君も残ってくれて構わないよ。ただし母ではなく乳母としてだが、実は、もう何年かしたら、南に戻ろうかと思い始めていてね。その時、その子も連れて行く、妾腹の子として、向こうで商いをさせても良いと思ってるんだが、元奴隷の母が一緒だと外聞がねぇ」


 うっ、それはそうでしょう。ご主人は高貴な出です、凱旋されて奴隷の子をこぶ付きで拾って帰ったら、親族がなんと言うか、奴隷の私でも分かります。


 「分かってくれたかな?僕としては、うんと言って欲しいのだがね。その子は未来を、君は明日の生活の保障を得る。良い提案だと思うよ?」


 良い、実に言い提案です。私は抱いている我が子の顔を今一度じっと見ました。なぜでしょう?終の分かれになる筈でもないのに、頭の中には警告音が鳴っている気が、、、


 「どうした?答えを聞かせて欲しいのだが。その子を「俺」の子供として渡してはくれないか?」


 そうですね。そうですよ、この子には未来があるんです。何時かは子は我が手を離れる者、それが早まっただけです。ご主人様も、私を残してくれると言っておりますし、、、


 「はい。そのお話、御受けいたします。どうかこの子を宜しくお願いしたします。坊や、喜びなさい、これであなたは自由ですよ」


 こころの中には迷いと、わーにんわーにんが鳴り響いておりますが、これは未練と言う奴です。私は声にきっぱりと出して、ご主人様に我が子を差し出しました。


 「有難う。「白百合の姫君」ここに契約はなった。この子は俺様の子として責任を持って「英雄」にしてやろう」


 はい?今何を?白百合?姫?英雄?何を言ってるんですか?


 「あ!あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!騙したなぁぁ!詐欺師!返せ!その子はお前の物じゃない!返せ!殺してやる!」


 私は飛び掛かりました。そうせざるを得ません。詐欺です!全部!全部!詐欺なんです!糞が!このどぶカス神!


 「騙されるお前が阿呆なんだよ!ではな!おー、良し良し、良い子だ。これからお義父さんが立派な英雄にしてあげるからなぁ」


 「貴様!貴様!貴様!何がお義父さんだ!どうせ使い捨てるつもりだろう!」


 有らん限りの力を持って、我が子を取り返しそうと挑みかかるも全ての攻撃が、この糞を通り過ぎていきます。人間さんなら八つ裂きに出来る筈でも神には敵わない。


 「ではな!楽しかったぞ、主人ごっこは!お前奴隷に向いているのではないか?」


 息を荒げて飛び掛かり続ける私にそう言い捨て奴は去りました。その瞬間、今まで居た家も消え去っていきます。


 「ちっきしょーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


 雪深い森の中、私は叫ぶしかありませんでした。




 

 


 


 


 

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