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産むし 増えるし 地に満ちる 私がママになるんだよ!!  作者: ボンジャー


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第三十六話 争いの歴史その二

 良く眠れましたか、雪原狼の毛皮は暖かかったでしょう?デカい個体で農耕馬位にはなるので利用方法は多い生き物ですが、生態は不可思議、あいつ等なに食べて大きくなってるんですかね?大雪原には餌に成る草食動物なんていないハズなんですが?


 彼らは、生き物と言うより精霊に近いのでしょうね。過酷で残酷生きとし生けるもに牙を剥く自然の一側面が生物の形を取っていると言った具合です。原初の生き物は概ね、物理法則を無視する所を持っているのでそれが正解でしょう。


 さてお話の続きを致しましょう。


 エルフとドワーフの戦争が、自然休戦を挟みダラダラと続いていた頃の事です。


 首都が隣会うどころか、足元と天井通しという、地球世界の南北戦争より近い両者の争いは、大陸各所に広がっておりました。


 川から水を流し込む、穴を塞いで煙で燻す、観測できた限りの入口を封鎖して兵糧攻めするエルフに対して、徹底して地下に都市を掘り下げ、菌類の栽培と謎生物養殖で食料生産を始め、地下から飛び出し、とんでもない所から奇襲を繰り返すドワーフ。


 どちらも決定打に欠ける争いはいつ果てる事無く泥仕合。首都を直撃しようにも、縦横無尽に迷路化された地下道で全滅する戦士たち。真下にあるせいで最終攻撃の隕石落としや地形破壊を行えないエルフ。


 何処から飛び出しても忽ち集結してくる軍勢に穴に押し戻され、先に感ずかれれば、魔法使いによる鉄砲水攻撃で区画事押し流され、真上にある敵の居城を歯噛みしながら睨むしかないドワーフ。

 

 何時しか両者、都市機能を別の場所に移動させ白金の都と黒鉄城塞は年がら年中市街戦をする都市へ変わっていきました。


 捨てちまえそんな都市!とお思いでしょう?出来な理由があるんですよ。エルフは信仰の問題でもある世界樹を守らざるを得ず、ドワーフとしても、強力なエルフに安定して出血を強いれる以上、要塞を手放す事等考えられなかったのです。


 完全にエル〇レムです。


 この事態打開に両者はその偉大な文明を兵器開発と量産に注ぎこみ始めました。


 ただ両者長命種ですので、地球の人間さんの様に、飛行機飛ばして数十年で核兵器なんて超スピードで自分たちの生存を脅かすレベルにまで行けませんでしたが。


 樹氷の都はそんな兵器開発の最前線でした。龍首地峡を封鎖した以上、大艦隊で制海権を握っているエルフにとって、龍頭大陸は安全な場所と考えれられたからです。


 そこに現れたのが誰あろうオーク。


 大いなる方は基本的に創造物の争いなんて気にしませんので、当初の予定通り、極地たる龍頭大地にオークをおくり込みました。そんな事情を知らないエルフは殺気だった状態でオークと出会ったのです。


 極地で生きる生物と言いましても、そこは知的生物、楽な環境で生きれるならその方が良いのは当たり前。エルフが居住していない龍頭大陸の果てである、流氷漂う、角半島で数を増やしたオークは徐々に南下し、彼らに取って約束の地にしか見えない現在の大雪原に辿り着きました。


 今でこそ雪と氷しかない死の平原では有りますが、それは永遠の氷の魔法を暴走させたせいでして、嘗ては夏は避暑地に冬はレジャーにと、王侯貴族のみならず一般エルフにも開放された、それは見事な観光地だったんですよ此処。


 戦争の長期化に伴い、そんな楽し気な事をする者は居なくなりましたが、帝国が時間と技術を無駄に注ぎ込んだ土地はそのまま放置されていましたので、此処に辿り着いたオークたちが喜んで入植しようとしたのも当然でしょう。


 研究に没頭するあまり、外の事に気を払わなくなっていた樹氷の都のエルフたちが、なーんかおかしいなと思った頃には、大量の入植オークが、群れを成して精微にして優美な観光地を農耕地に変えていた所でした。

 

 金剛花咲き誇る草原は掘り返され、嘗てはエルフの貴婦人と青年貴族が船を浮かべた湖には、雑なカヌーが群れを成し、帝室御料林は焚きつけにされ、精霊馬遊ぶ木立は絶好の狩猟スポットに早変わり。


 これを目の当たりにしたエルフの怒りは如何ほどであったと思います?最悪のファーストコンタクトです。


 ですから人間さんは幸運なんですよ?大いなる方はオークの失敗に懲りたか、人間さんを出来るだけエルフが手を加えていない、龍尾亜大陸の熱帯や砂漠に配置しましたからね。


 そのせいでエルフと対立する前に疫病やら飢餓で群れ事死にかけていたそうすが、、、、でもまあ、その御かげと言うか何と言うか、エルフ帝国も哀れな思いまして、駆除から保護してやろうと言う気になったのですから何が幸いするか分からないものです。


 人間さんがこの地に降り立った時代は、戦争もエルフ優勢で推移しており、ぼっこぼこになり放棄を余儀なくされた白金の都の奪還が叶った時期で有った事も幸運と言えるでしょう。


 ですがオークには不幸な事に時期が悪かった。永らく続く戦争は一進一退の有様、首都は戦場、植民地は地下からのゲリラ攻撃に会い、皇帝は死亡して後任に揉めて帝位は空っぽ、誰もが明日の種族の危機をビンビンに感じてたのです。


 因みにアカガネ帝は戦死となっていますが、死因は帝宮に奇襲を受けた際、慌てて飛び出したせいで、階段を踏み外して首を折ったのだそうです。これ王族にだけ伝わる裏話ね。ほら幾ら見た目は若くても二万ウン千歳のお婆ちゃんでしたから、足腰が弱ってたんですよ多分。


 皆さまも気を付けて下さいね!歳をとるのは足腰からですよ!


 余計な話をして済みません。オークとエルフの最悪のファーストコンタクトの話の続きをしましょう。


 怒り心頭のエルフはかなりの兵力でオークを追撃これを平原から追い出し。ついでにサンプルとして、何人か捉えました。


 そしてサンプル研究の結果、出した結論は、同じ知的生命ではなく害獣認定。酷い話です。


 実際、オークは別に知能が低い訳ではないんです。この目で見、一緒に暮らしてみれば、彼らも立派な知的生命体。

 

 悲しいかな、その知能の使い方が闘争と生存に極振りされてまして、エルフの示した芸術や文化と言う物を理解できない。と言うか無駄と思ってしまうんですね。


 高慢で我こそ神に選ばれた種と宣言して取り下げないエルフと、生きる事全てに闘争を見出すオーク。分かり会える筈も無く。


 害獣駆除は徹底的に行われました。女子供も老いた者も殺して積み上げ火をかけて処理。帝国エルフに取って火葬は最大限の侮辱を込めた物ですから怒りの度は相当な物と分かるでしょう。


 ですがそこはオーク。生き残りは居ました。そして、ただでさえ人口の少ない上に戦争中のエルフに取りまして。龍頭大陸の隅々まで兵を派遣して虱潰しは出来なかったのです。


 後は分かりますね。逃げる、増える、再侵攻、撃退&虐殺、復讐を誓い逃走のコンボの始まりです。


 そしてそれを見逃すドワーフでは有りません。海上を封鎖する艦隊を潜り抜け、密かに細々と、ですが確実にオークに対して支援を行いました。


 始めは数で押しで、生来の腕力に任せ、骨と木で攻め寄せてきた害獣の群れは、何時しか雪原狼に騎乗し、粗雑では有りますが鉄製の武器と防具に身を固め、エルフの居留地を襲う様になったいきました。


 こうなって来ると部が悪いのはエルフです。相手は死を恐れず、寧ろ死ぬことを名誉と思って父祖の地を取り返そうと襲ってくるんですから、損害は上がっていくばかり。


 そこまでオークが苛烈に成った理由は、概ねエルフの冷酷な態度が原因ですが、ドワーフが要らん事吹き込んだのも一つの要因。


 オークの信仰に金の平原と言うのが有ります。父祖たちは楽園たる金の平原に居たが、邪悪で残酷な連中に追い出され、子孫たる自分たちは過酷な環境で生きる事になった。雄々しく生きた物は、死後父祖たちとその楽園を取り戻す戦いに参加すると言う物です。


 邪悪で残酷な連中、言うまでも有りませんねエルフ帝国です。サンプルに依れば、当初は素朴な精霊信仰しか持っていなかったオークにドワーフ、、、いえ髭達磨はこんな尚武な信仰を吹き込んだんですよ。


 当時は、目の前にホントに楽園の様に豊かな平原があったのですから、オークたちが目の色を変えて攻撃して来るのも当然でしょう。


 結果は見ての通り。オークがこの地に降りたち四百年程で樹氷の都は陥落しました。エルフ帝国も態々、害獣蔓延る地となった龍頭大陸を奪還する事は諦め、都は雪の下に沈んだのです。


 幸いと言って良いかは分かりませんが、オークをエルフ帝国との戦争の先兵にしようとした髭達磨の戦略も失敗してます。他種の下に付くなんてオークはしませんもん。


 龍頭大陸失陥から程なく、オークの略奪部隊は髭達磨領となっていた本土西方にも出没し彼らを相手に闘争を開始してます。エルフ帝国もオーク壊滅は諦めて、わざと封鎖に穴を空け素通ししたり、髭達磨領攻撃に便宜を図ったり取引したりするようになりました。


 こうしてオークはこの世界のプレイヤーの一人となったのです。


 髭の求める、御し易くそれでいて程よく戦争好きで、尚且つ自分たちの支援が無ければやっていけない、都合の良い存在は、人間さんの登場を待つことになります。


 



 「はいお仕舞い。長いお話ご苦労さま」


 「どうも有り難う。勉強になったよ」


 エルフの長い話が終わると、聞いていた客人は礼を述べた。慣れぬ地ではまずその地の歴史を知る事が重要なのだから。


 「しかし、貴方も物好きな人ですね。こんな所まで来て私の話が聞きたいとは。人間さんにしては天晴な吾人です!どうです?ホントに家の家族になりません?嫁なら幾らでもいますよ?」


 「遠慮しておくよ。私に君の娘たちは勿体ない。それに今更再婚なんてのは子供達が五月蝿くってね」


  私本気です!そんな目をしたエルフに客人は笑って返した。


 「はれ?子持ちでしたか?お若いのに?まあ、この世界では普通か?奥様は流行り病か何かで?」


 「いいや、離婚さ。苦労を掛けさせ続けで愛想が尽きたと言われたよ」


 苦笑する客人。その目は遠い昔、エルフに取っても遥か過去を見ているようだ。


 「確かに。貴方軽薄そうですものね。相当女遊びでもしたんでしょう?」


 失礼な事を言うエルフに客人は肩をすくめる。


 「まあね。実はもう一人妻が居るんだが、これも可なりの焼きもちやきさ。お陰で生傷が絶えない。子供も三人いるがどれも腕白で困ってるよ」


 「あら、それはご愁傷さま。その奥様とはご一緒に暮らして居られるのですか?」


 「いいや。通い婚と言う奴さ。そう言えば随分あって無いな」


 遠い目をした客人はふと思い出した様に言う。

 

 「わーお人間さんにしてはやりますねぇ。駄目!やっぱり嫁の話は無し!家の子らは嫉妬深いんです。そのお嫁さんと取っ組み合いになりかねません。人間さんとエルフでは勝負に成りませんから、奥さんが可哀そうです!NTR駄目絶対!」


 「そんな事を言う奴は初めてだな。家の嫁は怖いぞ、君の娘達位百人来ても大丈夫だよ」


 「言いますね。チョット興味が湧いてきました。エルフで敵わない奥さんとは一体?」


 「会わない方が良い。特に俺の子供と一緒に居る時は」


 からかう様に言う客人。その顔を、若いとエルフは評したが、そうだろうか?年寄りの様にも、子供の様にも見える。ひょっとすると、彼はこの世界の誰よりも歳をとっているのかもしれない気がする。


 「さてと。もう行くよ。行く所があってね」


 「そうですか、ではお見送りを、、、、」


 「いや、結構。ではね白百合君」


 「あれ?私、名前を名乗りましたか?ここでは御婆か大婆で通っているのに?」


 「ああ、随分前に聞いているよ。蛇の御仁達と随分と面白い事をしたと言うじゃないか?悲しいなぁ、そう言う遊びには誘って貰いたいのだがねぇ」


 エルフが突然に自分の本当の名前を言った客人に驚いて居ると。客人は変な事を言ってきた。遊び?蛇の御仁?まさか!


 「お暇なんですか?こうして現世に、それも他所の世界にホイホイ遊びに来るなんて?」


 「なに神なんてのは暇な物なのさ、人が自分らの手を離れたら猶更ね」


 客人、、、客神と言った方が良いその男はニヤニヤとした笑いを浮かべ、やっと自分の正体に気づいたエルフを見つめる。


 「講師としては君と話していたが、実際に会うとまた、これが面白い。俺も雌馬になった事はあるが、女になった奴をみると、、、、ぷふ、、、馴染んでいるな?どうだ調子は?」


 「どんな御用ですか先生?まさか面談の為に此処まで御出でで?人に化けてまで?」


 ひっでぇ奴が来た。此奴がいや、、、この方が来ると絶対碌な事ならない。それは神話でも確定的に明らかなのだ。エルフは心中で毒を吐いた。何しろ相手は、、、、、


 「おい、おいご挨拶だな。碌な事にならないとは」


 心が読めるのか、、、、これだから神様と言う奴は。ああ失敗した。子供可愛さにこんな物にまで祈るんじゃなかった。エルフは思うがそれは後の祭りと言う物だ。


 「思ったんだが、オークが可愛そうではないか?陰険で悪辣なエルフに蹂躙されるだけでは?ん?そうお前も思うだろ?」


 「嘘つけ!遊びたいだけでしょ!大いなる方に許可取ったんですか?ここはあの方の世界ですよ!」


 飛び上がったエルフは指を突きつけ相手を詰る。それ位は言って良いだろう。どうせ凄い事言うつもりの相手だ。


 相手も段々と地が出て来た、遊び好きで悪戯好きな神格と言う側面が。


 「取りましたとも!あの御仁、お前さんが好き放題やるのも許してるんだ。俺のお遊び位許してくれたよ、なんでも試練扱いなんだそうだ。好きだねぇアブラハム系の奴はこの手の事。知ってたか?あの御仁、四文字の親戚だってよ」


 「うう恨みますよ神様!で!どんな試練なんですか!さっさと言って下さい!」


 こうなりゃ自棄だ!矢でも鉄砲でもカエルの雨でもなんで来い!そう言う気持ちでエルフは叫ぶ。


 「そう来なけりゃ!では言うぞ、、、、、、」






 

 


 

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