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第三十四話 過去よりの贈り物

 突如出て来たファンタジー世界に似合わない対髭達磨用決戦兵器と言う言葉で、皆さま?マークが出ていると思いますのでここでご説明。


 無残にもバラバラにされ、歴史の彼方に消え去ったエルフ帝国では有りますが、髭を筆頭に帝国の支配に襲い掛かって来た帝国基準で蛮族軍団に対して無策で有った訳では有りませんでした。


 髭達磨との長い長い戦争の最中には、敵中枢に対する魔法による戦略爆撃や、地形改造攻撃などの現代地球レベルでも文句を付けられない大規模殺戮を持って、先行文明の恐ろしさを嫌と言うほど彼らに思い知らせておりました。


 ですが敵も然る者、地下深くに要塞都市を建設し、人間さんと言う無尽蔵の人的資源を使い消耗戦を挑んで来る相手に限られた戦力の帝国は先細り遂には破れました。


 龍頭大地に有った樹氷の都。其処はまだ髭達磨との間が良好であった頃にはリゾートとして、髭達磨との戦争が始まった頃には本国から移された研究学園都市として運営されていた場所でした。


 この都市。奇跡の力の研究とそれを用いての兵器生産が行われていたと書物には有ります。此処が陥落していなければ、もしかしたらエルフ帝国は今も存続し、私なんぞ存在もしていなかった事でしょう。


 戦争の最終盤に遂には自沈した帝国艦隊旗艦、総白金張りの装甲帆船獅子鷲号や、髭達磨が用いる要塞破壊生態兵器に止めを刺した巨大弓、極星等は此処の研究で生まれた物でした。


 そうそう髭達磨が何に騎乗していたか言ってませんでしたね。あいつ等竜に乗るんですよ。どうやって居るんだかは分かりませんが、彼らは大型の竜を飼いならし、翼竜を空中戦力に、地虫を地中採掘に、突撃の要として鎧竜を使ってくるんです。


 その殆どは長い闘いの間に帝国と相打ちになっておりますが、彼らまだ飼育と配備を行っているのでしょうし、何時かはこの生態兵器群と戦う時もあるでしょう。


 ですので、石と木で戦う事になるで有ろう我ら蛮族エルフには文明に抗う手段が必要なのです。其れこそが、息子がなーんにも知らずに飾りに使っていた鉱物。


 その鉱物は、永遠の氷と資料には書かれていました。凍てつく冬の概念自体を結晶化し、既存の物理法則を捻じ曲げて相手を砕く超兵器。


 概念ですから物理的な影響を受けず、高温で加工する事ができる上、大量生産可能と言う夢の鉱物、、、と言って良いかはわかりませんが鉱物です。実験結果では高速で射出した場合、当たった黒鉄が砕けた、、、、凍り付いて砕けたそうです、、そうですので対髭達磨用としては最高の物でしょう。


 これが完成した時には勝利が見えたと研究者は書き残しております。ですが、、、、、


 


 「この有様では持ち出しも出来なかったんでしょうねぇ」


 私は残された研究資料をパタリと閉じました。辺りには未だ残る氷漬けのエルフとオークの死体が散らばり、惨憺たる有様の研究所でため息をついております。


 「貴方もさぞ無念であったでしょう。そんな顔してるんでかすから」


 目の前には無念の顔をした氷の彫像。この都市最後の太守にして、研究主任であった、梢の大君が当時そのままの形で立っております。


 バッサリと袈裟懸けにされた肩口は生々しく、切りつけた相手であるオークの手を掴み二人仲良く氷のオブジェ、、、此処で何が有ったかそれだけで分かろうと言う物です。


 「まあそんな顔しないで下さい、ご先祖様。貴方たちが残した物は、我らが有効活用いたしますから」


 此処で語り掛けても、当の昔に魂は大いなる方の御許に行ってるので、無駄でしょうが、一応言います。この顔そう言いたくなる程凄い形相なんですから。



 樹氷の都の最後は盛大な自爆でした。攻め寄せて来たオークを都の中心まで引き寄せた末、守備隊は研究途中であった永遠の氷の魔法を解放し、侵略軍事、氷の中に閉じ込めたのです。


 生き残りはゼロ。最後の通信で「我ら帝国の礎とならん!皇帝陛下万歳!帝国万歳!」と本国に送っているんで、エルフ帝国には都市陥落の情報は残っていますが、そんな事する時間が有るなら一人でも逃げ出して、永遠の氷の製法を持ち出せなかったんですかね?エルフ帝国って、もしかして本当の名前は大日本帝国とか言いません?


 髭達磨に研究結果を奪取されるのを恐れて、門を開けてないのも間抜けです。それで大事な決戦兵器を使えないのでは意味がないでしょうが!


 まあ、龍頭大地に繋がる龍首大地峡を、魔法使いたちが半島に変えて封鎖するまで、髭はしつこく攻めきたそうですので、心配するのも分かるのですが、それでオークに後ろから殴り付けられているのではねぇ。


 「御婆、此処にいたのか、此処は気味が悪い早く帰ろう」


 「分かってますよ。ではね、ご先祖様」


 今回の探検は此処まで、広大な都市を汲まなく探検するのには時間が掛かりますし、何より人員が足りません。


 不気味な彫像立ち並ぶ街路を抜け、都市の中心、世界樹の子供がキラキラとした葉を茂らせる場所に戻った我ら探検隊は賑やかな村へと変わった此処で一休みしました。


 霧の森からの支援で毎日たらふく食べられる豚エル、、、、じゃない雪エルフの子供達は大変にお元気。支援の見返りとして、有り余る永遠の氷を採掘する場所でもある此処は、鉱山町といった感じです。


 

 

  ふー。少し疲れました。さあさあどうぞ、貴方も遠慮しないで入ってください。熱いスープは如何?雪原狼の骨髄で取れた奴です、慣れるといけますよ?温めた蜂蜜酒もどうぞ。お腹がポカポカしてくるので北の大地では必需品なんです。


 落ち着きました?では少しここでの暮らし振りででもお話しましょう。皆さまもここ来て驚かれた事でしょうが、ここ樹氷の都はドーム都市なんですよ。


 文献では雪に埋もれているなんて書いてありましたから、相当に頑張って掘り出す必要が有るかと思いましたが、場所さえ判れば野良エルフの膂力でもって入口を見つける事は簡単だったそうです。


 文明を否定した私でもこの都市には感謝してます。お陰で万年雪に閉ざされたここ大雪原でも比較的快適に暮らせています。


 この都市そのものが、解放された永遠の氷の魔法で、雪原を作っている原因ですから暮らし易いとと言っても寒いには寒いんですが、、、、まあ、吹雪に襲われないだけましと言う物です。


 今は夜で分からないのですが、昼は明るいのも良い感じ。流石はエルフ帝国の遺産、太陽光が届く親切設計です。これで都市の暖房機能が回復するとなお良いのですが、そうすると今度は永遠の氷、、、、長いですから永氷としましょう、、、の生産に支障がでますから回復させる訳にもいかないのですよ。


 永氷はどうやって作るのかですか?良い質問です。此処に来るまで嫌と言うほど不気味極まる彫像を見たでしょう?あれ何で片づけてないと思いますか?


 永氷はあの彫像周りに集まる性質があるんです。ですので彫像にお湯を掛けて放っておくと一月位で唯の氷が永氷に変わります。ご先祖様には冒涜かもしれませんが、何れ掘り出して一つにまとめ、集団墓地兼露天掘り鉱山ににでもしようと考えているんですが、、、流石に皆嫌がりますからね、、、追々やるとしましましょう。


 なんですか?その目は?人の心が無いのかですか?良いんです!ご先祖様方もそれを望んでますよ!ですから自爆してまでご自分たちで生産設備に身を変えたのです。尊い犠牲でした。子孫代表として有効に利用するのが務めと言うもの!


 ですので労働力が必要なんです!死体、、、、いえ彫像を壊さない様に松明で溶かして塊を掘り出し、赤くなるまで熱した金属を使って加工するんですから重労働かつ繊細な作業が必要とされます。


 両方できるエルフは幾ら居ても足りませんし、片方だけでも出来るオーク君の需要もうなぎ上り。なにせ霧の森では狩りの道具に永氷製品は大人気なもので、数千名からなる森の需要を満たす為にも大車輪での生産が望まれております。貴重な鉄製品もこれで生活用品に回せますので、QOL爆上がりなんです。


 と言う訳で、この里のメイン産業は採掘加工と奴隷狩り。安心してください奴隷と言っても、どこぞのカルタゴ滅ぼすべしさんに売り飛ばされた、塩山奴隷の様な扱いはしてません。すこーし昼の労働と夜の大運動会に協力して貰うだけです。オーク君!明日の労働英雄は君だ!


 人間さんの利用ですか?お馬鹿ですねぇ、彼らがここで暮らせる訳ないでしょう?温度計が無いのでわかりませんが、この都市、毎日マイナス二十は行ってますよ?ひ弱な彼らが此処に居たら風邪引いちゃいます。


 地球のヤクーツクに住んでいる人間さんでも毎日冬では嫌がるに違いありません。所で、、、こうして私とお話している貴方、、、貴方は随分と頑強なご様子、、、どうです?この村の住人になってみては。

 


  

 

 

 


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