4:蘇るハムスターの過去
遅れたー遅れたーガチですみません…勉強が山積みだったもので…
読んでくれて(人´∀`)アリガトー♪
「名前ないの?」
その瞬間、3200年前の忘れたかった出来事が鮮明に、はっきりと思い出された。
* * *
「お前は、生きろ!」
「ルーズ――――!!」
次の瞬間、俺は光に包まれた。
俺の前の主はとってもいい奴だった。
いつも一緒に居たし、かなり長い付き合いだった。
そして、初めて俺が感情というものを理解した時にはもう、帰らぬ人となっていた。
「おはようございます、ルーズ」
「おはよう…。お前眠くないのか…?なんでそんなにシャキッとしてられるんだ…?」
そうだ、あの時の俺は人形だった。
命令されたことを実行して主のもとへ帰ってくる。
そのことに何の感情も抱かない、ただの使役獣だった俺に前の主人、ルーズは何かあるたびに俺に話しかけてきた。
――ほら、あそこ行ってみようよ。――見て、あれ美味しそう。一緒に食べよ?
そう言ってくる主人に俺はずっとこう答えていた。
――できません。
と。
なぜなら、主人の口から出てくる言葉は全て自分の行動パターンにないものだったし、どう行動すればいいのかもわからなかったから、断ることしかできなかった。
それでも無理やり手を引いて、いろんな所へ連れていかれて。
そんな俺はきっと幸せ者だったのだろう。
ルーズは町の中でも特に変わり者だった。普通、魔法使いや、魔導士は使役獣などは外に連れて一緒に歩かないことが一般的だったのに、ルーズは常に俺をそばにいさせていたから、ほかの人から変な目で見られることが多かった。
そしてルーズ自身、すごい魔法使いだったのに、それを表に出さずかなり隠して生きていた。
だから町の人たちには
「あんまり魔法が使えないのに使役獣をいつも連れ歩かせてる変な奴」
と思われていた。
ルーズと出会ったその日。
その日は、結構いい天気だったと思う。
前のその前の主人が死んで、一週間ほどたった日。
かなり丈夫だった本が間違えて崖から落としてしまって壊れてしまったその日。
俺は森の中をさまよっていた。
なにせ本がぶっ壊れたせいで中に入って休むこともできないしな。
それから一時間ぐらい経った頃だろうか。
気が向いたので、大きな切り株の真ん中で立っていた時。
木の陰から出てきたルーズと出会った、というより、目が合った、といった方が正しいか。
「迷子、なの?」
七~八歳ぐらいの子どもだった。
「僕ね、ルーズって言うんだ。ルーズ・ファスト」
切り株の前にしゃがんで、何もしゃべらず、動かない俺に話しかけてきた。
「僕も迷子なんだよ。かくれんぼしてたらみんなとはぐれちゃった」
恥ずかしそうに笑いながら。
「もふもふしてるね。ハムスターかな。可愛いなぁ」
そう言い、俺のことを撫でた。
その瞬間、俺とルーズの周りがピカッと光って大量の光の粒ができた。
俺は思った。新しい主人だ、と。
大量の光は俺とルーズの間に集まっていき――本になった。
この日壊れた、あの本だった。
そして、中央にあるクリスタルは真っ赤に染まっていた。
適合者、だった。
1754年 7の月
第七適合者 ルーズ・ファスト。 八歳。 属性 火。
そう、脳内の奥底に刻み込まれた。
新たな適合者誕生の瞬間だった。
ルーズは目の前に現れた本を見て、
「あ…なんか僕、まずいことしちゃった?」
めちゃくちゃ不安そうに言った。
それに対して俺は、
「いえ、ご主人様。私は今日からあなた様にお仕えいたします。どうぞ何なりとお申し付けください。」
と、マニュアル通りに答えた。
「…えーと、うーんと、ちょ、ちょっと待ってね」
今思えばこれは正常な反応だと思う。
なんもしゃべらんかった動物がいきなりペラペラとしゃべりだして、しかもいきなり自分のことをご主人様とか言い出したらそりゃ混乱するわな…。
「うん、わかんないな。聞き間違いかな。夢かな」
必死に今起こった出来事を夢にしようとする、ルーズ。
「いいえ、夢ではありません。あなた様はこの本の適合者であり、私のご主人です。何かお困りでしょうか?」
至極あっさりと答えたハムスター。
そして、長く、重い沈黙の時間。
「…あのさ…その、ご主人様っていうの嫌だな」
やっと口を開いたルーズは、率直に思った感想をこぼすように言った。
「では、なんとお呼びすればよろしいでしょうか」
特に迷ってもないはずなのに、なぜか迷った素振りを見せるルーズ。
「よし、ルーズでいいよ。じゃあ、君は何て呼べばいい?」
「私に名はありません。私はただの使役獣です」
即答だった。
ハムちゃんの名前実は決まってるんですよね…次でルーズが名付けてくれます!ひゃっほーい!
え?ヒントがほしいって?しょうがないなあ、最初の文字だけ教えてあげよう(謎の上から目線)。
最初の文字は、「フ」だよ!みんなどんな名前か予想してみてね!
独り言
ああ―――!!
この話でフラグ回収するつもりだったのに!無理だったああぁ
よし、次話に持ち越しだ!