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26:属性の調和

遅くなったああ

読んでくれて(*ゝω・)ノ アリガ㌧♪

「え、お菓子なんて作ってきたの?」


「もちろん!ピクニックの定番お菓子、カップケーキよ!」


カップケーキがピクニックの定番かはさておいて――、ユーリがお菓子を作ってくるなんて正直びっくりだった。あれ?ユーリって料理できたっけ?遠い昔になんか嫌な記憶があって、不安を感じているのは僕だけ?

僕のそんな思考はお構いなしに、ユーリは持ってきたかごから、カップケーキ(っぽいもの)を取り出した。

…影も形も無いように見えるのはやっぱり僕だけ?


「頑張ったんだよ。もちろん、食べてくれるよね?」


上目遣いでこっちを見てくるのは十分可愛いんだけど、隣にいるカップケーキからの異様な雰囲気が邪魔しまくってて、とても残念だった。

とにかく、こう言われてしまっては食べないといけない。他人からの厚意を無下にするのは、いけないことだと教わったから。

ユーリからカップケーキ(っぽいもの)を受け取り、その異形を眺めていると、その形が何かに似てることに気が付いた。


「これ、お化け?」


「お、よく気づいたね! そう、お化けのクッキーを上に乗せてから焼いたんだ♪」


普通、カップケーキ焼いた後にクッキー乗せることね?と、思いつつ、変な形の謎は解けたのであった。

それでも、この異様な雰囲気の謎は解けていない。なんか呪いかけられたみたいに変なオーラが漂ってきている気がする。気のせいだと思いたい。


「アリシア、食べないの? 私から食べちゃうよ?」


僕があまりにも食べないので、しびれを切らしたようにユーリが言った。

なんて答えるかよくわかんなかったので、


「どうぞ?」


と疑問形で言ってみた。だけどなんかユーリは怒った顔をしている。


「何その最初から食べるつもりなんてなかった~みたいな言い方!もうあげないよ? とりあえず私は食べるからね。…はむっ。むしゃむしゃ。」


ユーリが美味しそうにむしゃむしゃ食べてるのを見て、安全そうだな、僕も食べようと思い、口に入れた瞬間。


「むしゃむしゃ……。ウッ…」


ユーリの方を見ると、苦しそうに必死に何かを吐き出そうとしていた。

それを見て、嫌な予感しかしなかったが、僕はもう、飲み込んだ後で…。後に、もうちょっと食べるのが遅ければ!と滅茶苦茶後悔した。

吐き気がこみ上げながら、僕は、自分が料理上手くなって、ユーリはもう何も作らないよう言うべきだな、と思った。


***


僕の異常状態回復魔法で事なきを得たユーリは、かごの中から、おかし第二群(こちらの方がさらにやばかった)を出して安全だー!と言いながら食べようとしたので、止めるのが大変だった。

それにしても、いったい何故、あんな呪われた状態になっていたのか。

簡単な毒の呪いだったから、僕でも解毒できたけど、もしあれが強力だったら命にかかわっていたかもしれない。


「呪い…。あ、もしかして…」


僕は、ここに来る前のユーリとの会話を思い出した。


「ユーリ、相当僕の事恨んでる…?」


「んなわけないでしょ」


「え、声に出てた?」


気が付かないうちに声に出ていたらしい。これも妄想癖の一種か…と、うんざりしてしまう。


「ばっちり。はっきり。ズドドドド――――ン」


最後の効果音はよくわからないが、ユーリが僕を恨んでいない事だけありありと伝わった。


「でもおかしいなあ。来る前に食べた時は吐き気なんてしなかったのに」


「え、そうなの?」


「そりゃそうよ。つまみ食いくらいするでしょ?」


「いやそっちじゃなくて」


「ならどっち?」


「吐き気の方だよ。作り立てはまずくなかったんだよね?」


「うん」


なら、道中で呪いをかけられたのかな…って…うそ。ユーリって料理できるの!?

そっちの方が気になるので、呪いの犯人捜しは後にして、とりあえず質問をする。


「ユーリって料理できるの?」


「もちろん!お母さんに認められるくらいの実力者よ!」


まじか。いままで料理出来ないと思っていたのですが。

呪いの件も、ユーリの料理の腕前がやばいから呪いかかったのかなって、微妙に思っていたので、そこは素直に反省した。


「ねえ、アリシア」


突然、ユーリが口を開いた。

まだ三時くらいなのに、もう日が傾き始めてきて、二人をオレンジ色に染め上げる。


「今日は失敗しちゃったからさ、帰っておやつを作るとしたら、なにがいい? クッキー?ケーキ?」


あまりにも突然の事だったので、僕は喉に何かがつっかえたような感じがして、うまくしゃべれなくなっていた。


「えっと…。今日作ってきてくれた、クッキーがいい。ユーリの手作りがいい」


そんな僕の答えを聞いたユーリは満足そうに夕日を眺めた。

なぜだろう、僕もなんか、誇らしげな気分になった。


「ほら見て。今日はすごいのが見れるかもしれないよ」


ユーリは夕日を指さして、僕の方を見た。

その顔はとてもワクワクしている様子で、きっとこれからすごいことが行われるんだろうと胸を高鳴らせた。


………………


その瞬間、心の中で水と火がはじけた。

僕の目は、はっきりと目の前の現象をとらえていた。

青色と赤色の光の帯が、どこからともなく幾重にも表れて、重なり、折れて、混ざり合った。そして、混ざり合った帯は、色をどんどん紫に変え、結ばれていく。

そんな幻想的な景色の中、澄んだ声が響いた。


「これが見せたかった現象。属性が対のアリシアにぴったりでしょ?」


ユーリが僕の方を見て、柔らかく笑った。

笑顔の隣で、赤い光がはじけた。

その瞬間、ユーリが僕の属性の反発を知っていることに気が付いた。

属性が対になっている僕は、たまに属性同士の反発が起こって、病気に似た症状が出る。だから、今まで必死に属性を制御する訓練ばかリしていた、が―――。

これは。もし、色が属性を表しているとしたら、この現象は水と火の調和、という事になる。気が付かなかった。属性たちを調和させるなんて。でも、元をたどれば、属性が対になる条件は属性同士の調和だった気がする。


「どう?綺麗?」


「…とっても、綺麗。ユーリ、ありがとう」


帯の一つが、僕の体に巻き付き、ゆっくりと消えた。

いまだに、光の帯たちは、はじけては混ざり、折り重なっている。

そして、帯たちの中央から金色の帯が姿を現した。

その帯は、見物客の僕たちに気づくと、猛スピードで近寄ってきた。

真っ直ぐ飛んだ帯は、無防備なユーリのおなかに向かっていき―――、


「危ない!!」


金色の光をまき散らしながら、ユーリを、深々と突き刺した。


「うあぁ…ッ!」


頭がぼーっとして、もやがかかったように何も考えられなくなる。


……何が起こってるんだ――?


目の前の光景が、ユーリが、帯に、つら、貫かれて――?


…どう、して、そんなことになっている?


ああ、そうか、僕の、僕のせいだったんだ。

アリシアの過去編一応終了。

冬休み更新頻度下がるかもだけど、気にしないでくださいね!


ではまた!₍˄·͈༝·͈˄₎ฅ˒˒

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― 新着の感想 ―
[一言] アリシアにこんな過去があったなんて・・・・・・ 邪険に扱ってごめんよ。 こうしてアリシアが料理が上手くなったと。 あー、幼なじみの女の子がいるとか羨ましい。 べ、別に欲しいだなんて思わな…
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