25:僕の属性
2000字こえたー!
一日で200pv超えた!嬉しい!ありがとうございます!
読んでくれて(*ゝω・)ノ アリガ㌧♪
もう戻れないことを知っている。
だから、怖かった。
***
―――シノ…。
浅いまどろみの中、ゆらゆらと声が響きました。
―――起きて…。
どこかとても悲しそうなその声は、シノの心にまっすぐ入ってきます。
―――ファズが…アリシアが…ウォールが…あなたの助けを待っています…。
そして、シノを優しく包み込みます。
***
「うあぁ…ッ!」
悲痛な声が、僕を貫いた。
僕のせいだ、僕のせいだ。僕のせいでこうなったんだ。
あの時、僕が、君とここに来なければ。
……………
僕は狙われている。
物心ついたときから、誰かから見られているような感覚がずっとあった。
何故ならば。
僕は、対の属性を持つものだから。
属性の基本は、火、水、風、土の四種類だ。これを四大属性と呼ぶ。ごく稀に光や闇があるがなかなか無い。
属性は産まれたときに決まって、全ての人間が持っている。
それによって基本的な性格やら体質やら決まるのだ。(つまり血液型みたいなもの)
ただ、全ての人間が魔法を使えるわけではない。
僕の属性は、「火」と「水」だ。
普通、属性を二つ持つにしても、こんなことはめったに起こらない。
理由は、属性同士が打ち消し合うからだ。火に水を掛けると火が消えるように、属性も相性がある。
でも、うまい具合に属性同士が調和して、対の属性を持った子が生まれる時がある。
それが僕だったのだ。
勉強机に座り、日記を読んでいた僕は、ぱたんと日記を閉じた。
机に肘を立てて、目の前にある窓を見つめる。
柵に小鳥が止まっているな、珍しいな、なんて考えながら窓枠にツーっと指を滑らせた。
そして、そのずっと奥に走ってくる人影を見つけた。
ジッと見つめているとその人影はどんどん大きくなり、少し大きめのかごを持った、ピンク色のワンピースと、低めの位置で二つに結んだ灰色の髪が揺れているのが見えて――、僕は今日一番大事な予定を思い出した。
「そうだった!今日見に行くんだった!準備してないや!やば…」
さっき走ってきた少女…ユーリと、リュスカの丘で不思議な現象を見に行くと約束していたのだ。
何の現象かと言うと…まあ、見てのお楽しみよ!と、ユーリは言った。
加えて、絶対アリシア喜ぶから!とも言っていた。
「アリシアー!迎えに来たよ!約束の時間、あってるっけ?」
思い出していたら、ユーリが来てしまった…。昔から妄想癖があるから、早く治したい。
「ユーリ!ちょっと待ってて!」
「三分だけ待ってやろう!」
「わかった!」
「数えるよー! いーち!にーい!さーん!…まだ?」
「早いって!」
急いで身支度をする。
えーと、いるものいるもの…鞄もってけばなんとかなるだろ。あ、あと水筒。
上に羽織るものを…。よし。準備終わり!
靴を履いて、扉を勢いよく開けると、
「うわあ!イッ!」
ゴスッという、結構聞きたくない音が響いた。
そこには頭をさすっているユーリがいて、僕のことをめっちゃにらんでいた。
***
「いたい」
「ごめん」
「いたい」
「ごめん」
一歩、歩くごとにテンポよく、片方にとっては非常に気まずい掛け合いを、家を出てもうかれこれ十分ほど続けている。
ユーリは最初の方は結構怖い感じで「いたい」と言っていたけれど、今はもう完全にからかっている口調であった。そろそろ喉も乾いてきたので、この辺で許してほしいが、銀髪の二つ結びの女子は、目的地に着くまで多分やめないだろう。
「いたい」
「ごめん」
なんかこう、彼女を見てると、幸せそうだなあ、ってよく感じる。
僕は結構、両親から期待を掛けられまくっている方だから、ちゃんとしっかりしなきゃと思うし、いつも堅苦しくしてて、自分が窮屈してしまうことがある。
でも、彼女はいつでも笑顔で、明るい。だから僕は、そんな彼女に少し癒されている。
彼女も彼女なりの苦労があるはずだから、僕もなるべく明るくいようと努力はしているつもりだ。
「いたい」
「ごめん」
「あきた」
「ごめん…え?」
いきなり何を言い出すのか。この調子で目的地まで続けそうだったのに、どうやら僕の予想は外れたらしい。残念。
「飽きたって言ってるの。さっきからうわの空で、適当にごめんって言ってたでしょ?」
「うッ…」
その通りです!さっきからなんかいろいろ考えてました!すいません!
「はあ…。リュスカの丘までもうちょっとかかるから、何か楽しい話しましょうよ」
「というと?」
「うーん、そうねぇ。じゃあ、リュスカの丘に出る、お化けの話でもしよっか?」
「…遠慮しときます」
「その日は、雨が降っていました…。たまたまリュスカの丘に通りがかった旅人がいて、そして、見てしまったのです…。そこには、体が半分透けている…」
「わあ!やめて!」
「あはは!アリシアはほんとこの手の話弱いね」
そう!僕は怖い話が大っ嫌いなのだ!幼い時に保育園で、怖い話の読み聞かせがあったんだけど、ぎゃあぎゃあ言っていたのをユーリに見られて、それをいまだにユーリは覚えているのだ!ユーリはこういう事だけ覚えているからなあ!もう!
「お、ついたよ! リュスカの丘!」
リュスカの丘――別名、戯れ丘とも呼ばれる――は、高さ一メートルくらいの緩やかな丘で、よく子どもたちが遊んでいる。
今は三時くらいだから、よく人がいた。
「さてと。じゃあ、おやつにしよっか」
芝生に、大きめのシートを手際よく広げながら、ユーリが言った。
アリシア回でしたね!
キリがいいのでここで切りました!下手したら4000行きそう。
もうなんか、物語が暴走列車みたいになって勝手に進んでるのですが…。一応、早すぎる第三章のテーマは決めてるのですが、予定通りになるのかは誰も知らない…。




