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25/42

25:僕の属性

2000字こえたー!

一日で200pv超えた!嬉しい!ありがとうございます!

読んでくれて(*ゝω・)ノ アリガ㌧♪

もう戻れないことを知っている。

だから、怖かった。


***


―――シノ…。


浅いまどろみの中、ゆらゆらと声が響きました。


―――起きて…。


どこかとても悲しそうなその声は、シノの心にまっすぐ入ってきます。


―――ファズが…アリシアが…ウォールが…あなたの助けを待っています…。


そして、シノを優しく包み込みます。


***


「うあぁ…ッ!」


悲痛な声が、僕を貫いた。

僕のせいだ、僕のせいだ。僕のせいでこうなったんだ。

あの時、僕が、君とここに来なければ。


……………


僕は狙われている。

物心ついたときから、誰かから見られているような感覚がずっとあった。

何故ならば。

僕は、対の属性を持つものだから。


属性の基本は、火、水、風、土の四種類だ。これを四大属性と呼ぶ。ごく稀に光や闇があるがなかなか無い。

属性は産まれたときに決まって、全ての人間が持っている。

それによって基本的な性格やら体質やら決まるのだ。(つまり血液型みたいなもの)

ただ、全ての人間が魔法を使えるわけではない。

僕の属性は、「火」と「水」だ。

普通、属性を二つ持つにしても、こんなことはめったに起こらない。

理由は、属性同士が打ち消し合うからだ。火に水を掛けると火が消えるように、属性も相性がある。

でも、うまい具合に属性同士が調和して、対の属性を持った子が生まれる時がある。

それが僕だったのだ。


勉強机に座り、日記を読んでいた僕は、ぱたんと日記を閉じた。

机に肘を立てて、目の前にある窓を見つめる。

柵に小鳥が止まっているな、珍しいな、なんて考えながら窓枠にツーっと指を滑らせた。

そして、そのずっと奥に走ってくる人影を見つけた。

ジッと見つめているとその人影はどんどん大きくなり、少し大きめのかごを持った、ピンク色のワンピースと、低めの位置で二つに結んだ灰色の髪が揺れているのが見えて――、僕は今日一番大事な予定を思い出した。


「そうだった!今日見に行くんだった!準備してないや!やば…」


さっき走ってきた少女…ユーリと、リュスカの丘で不思議な現象を見に行くと約束していたのだ。

何の現象かと言うと…まあ、見てのお楽しみよ!と、ユーリは言った。

加えて、絶対アリシア喜ぶから!とも言っていた。


「アリシアー!迎えに来たよ!約束の時間、あってるっけ?」


思い出していたら、ユーリが来てしまった…。昔から妄想癖があるから、早く治したい。


「ユーリ!ちょっと待ってて!」


「三分だけ待ってやろう!」


「わかった!」


「数えるよー! いーち!にーい!さーん!…まだ?」


「早いって!」


急いで身支度をする。


えーと、いるものいるもの…鞄もってけばなんとかなるだろ。あ、あと水筒。

上に羽織るものを…。よし。準備終わり!


靴を履いて、扉を勢いよく開けると、


「うわあ!イッ!」


ゴスッという、結構聞きたくない音が響いた。

そこには頭をさすっているユーリがいて、僕のことをめっちゃにらんでいた。


***


「いたい」


「ごめん」


「いたい」


「ごめん」


一歩、歩くごとにテンポよく、片方にとっては非常に気まずい掛け合いを、家を出てもうかれこれ十分ほど続けている。

ユーリは最初の方は結構怖い感じで「いたい」と言っていたけれど、今はもう完全にからかっている口調であった。そろそろ喉も乾いてきたので、この辺で許してほしいが、銀髪の二つ結びの女子は、目的地に着くまで多分やめないだろう。


「いたい」


「ごめん」


なんかこう、彼女を見てると、幸せそうだなあ、ってよく感じる。

僕は結構、両親から期待を掛けられまくっている方だから、ちゃんとしっかりしなきゃと思うし、いつも堅苦しくしてて、自分が窮屈してしまうことがある。

でも、彼女はいつでも笑顔で、明るい。だから僕は、そんな彼女に少し癒されている。

彼女も彼女なりの苦労があるはずだから、僕もなるべく明るくいようと努力はしているつもりだ。


「いたい」


「ごめん」


「あきた」


「ごめん…え?」


いきなり何を言い出すのか。この調子で目的地まで続けそうだったのに、どうやら僕の予想は外れたらしい。残念。


「飽きたって言ってるの。さっきからうわの空で、適当にごめんって言ってたでしょ?」


「うッ…」


その通りです!さっきからなんかいろいろ考えてました!すいません!


「はあ…。リュスカの丘までもうちょっとかかるから、何か楽しい話しましょうよ」


「というと?」


「うーん、そうねぇ。じゃあ、リュスカの丘に出る、お化けの話でもしよっか?」


「…遠慮しときます」


「その日は、雨が降っていました…。たまたまリュスカの丘に通りがかった旅人がいて、そして、見てしまったのです…。そこには、体が半分透けている…」


「わあ!やめて!」


「あはは!アリシアはほんとこの手の話弱いね」


そう!僕は怖い話が大っ嫌いなのだ!幼い時に保育園で、怖い話の読み聞かせがあったんだけど、ぎゃあぎゃあ言っていたのをユーリに見られて、それをいまだにユーリは覚えているのだ!ユーリはこういう事だけ覚えているからなあ!もう!


「お、ついたよ! リュスカの丘!」


リュスカの丘――別名、戯れ丘とも呼ばれる――は、高さ一メートルくらいの緩やかな丘で、よく子どもたちが遊んでいる。

今は三時くらいだから、よく人がいた。


「さてと。じゃあ、おやつにしよっか」


芝生に、大きめのシートを手際よく広げながら、ユーリが言った。

アリシア回でしたね!

キリがいいのでここで切りました!下手したら4000行きそう。

もうなんか、物語が暴走列車みたいになって勝手に進んでるのですが…。一応、早すぎる第三章のテーマは決めてるのですが、予定通りになるのかは誰も知らない…。

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― 新着の感想 ―
[一言] アリシア回でしたね。 なおにゃるさん、人の細かい感情の変化とか書くの上手いですね。 会話のテンポも良いですし。 キャラが生き生きしてます。 たぶん、最初の頃からだいぶ成長してると思います。…
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