24:魂に残るほどの
もうすぐ冬休みv( ̄Д ̄)v イエイ
読んでくれて(*ゝω・)ノ アリガ㌧♪
「ばれたか…ヒヒッ」
アリシアが倒れた時、どこか聞いたことのある声が仕立て屋に響いた。
そして心のどこかに、強い嫌悪を感じた。
「お前だったんですね!」
ウンディーネが腰にさしてある剣を抜き取り、服と服の間を睨む。それにつられて、俺もそこを見た。
「感情増幅魔法と瞬間的記憶操作魔法…!それでこの人を支配したのですね!」
「ああ、そうだよ。こいつはシノちゃんを捕まえるのに厄介だから、先に処分しておいたのさ。お前の魔法のことだから、十五分は起きないだろうねぇ」
睨んでいた所の空間がぐにゃりと歪んで、あいつが姿を現した。
…クーシェイルだ。
店内の所々で短い悲鳴が聞こえる。
「そこにいるハムちゃんは動けないだろうし、お前はどうせ、あたしに太刀打ちできないだろう?」
「ぐっ…! 私は、あの時の私じゃないんです! もう、変わったんです!」
どうやら、クーシェイルとウンディーネは面識があるみたいだ。
でも、それよりも。
やっぱり、体が動かない。体が一ミリも動こうとしない。足は根付いてしまったみたいだし、手も言う事を聞かない。
体がカタカタ揺れるのを感じ、はたと思う。
…トラウマ?
でも、でも。
俺はあいつと、あの、シノが連れ去られた時に初めて会ったわけだし、シノは助かったわけだから、そんなに恐怖することはないはずだ。
なのに――、俺は扉越しにクーシェイルの声を聴いたとき、寒気がした。
今、思い出した。クーシェイルは、「何故レベルが高いとわかるの?」と言っていた気がする。まるで、もともとレベルが高いことを知っていたという記憶を消しさったかのように。
いや。実際消し去ったのだろう。俺がクーシェイルとあったこともろとも。
それで、俺はあいつに何かされた。だから恐怖している。記憶は消されても、魂に残るほどのトラウマ。
「私はもう、同じ過ちを繰り返したりしないです。お前に勝てるように努力したんです!」
「さて、それはどうかな? お前の足はガクガクと頼りなく震えているのに?」
どうすれば動けるのか。動けないままではまずい。
ウンディーネがこちらに目配せをした。その瞳の奥には、後悔がにじみ出ている。
俺はウンディーネが答えを握っていると直感で思った。
***
真っ黒い闇に、いつまでも、いつまでも、堕ちていく…。
あ…、僕は、何を。
暗くて、何も感じない。
ざわめきかけた脳を落ち着かせ、冷静を取り戻す。
ゆっくりと記憶をたどって、ファズに話しかけたことを思い出した。
だけど――彼女に近づいた後の記憶が、ない。
時間は進んでいるけど、記憶だけが飛び去っていった感覚。
そして、ひどく心が痛む。
こんな痛み、あの時以来だ。
はやく、消えて、無くなって―――。
僕の意識が闇に溶けた。
***
天気のいい昼下がり。ちょっとした丘の上で男の子と女の子が座っていた。
二人はこの丘で起こる、ちょっと不思議な出来事を待っていた。
「ねえ、アリシア。おやつは何がいい? クッキー?ケーキ?」
突然、女の子が肩で二つ結びの灰色の髪を揺らしながら、隣にいる男の子に尋ねる。
男の子は、女の子の質問が唐突だったので、言葉に詰まりながら返事を返す。
「えっと…今日はクッキーがいい。ユーリの手作りがいい」
この光景は、とても、とても平和だった。
次はアリシアの過去かな?どうかな?
ファズはクーシェからハムちゃんと呼ばれているみたい…。
最後の子、おさげにするか、そのままか迷った。
ではまた!




