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ワイ転生者、異世界でスローライフが送れるとか本気で思ってんの!?

作者: 保育園生の絵日記

久々即興。

 目を覚ませば、かつての栄光のように光り輝く我が屋敷は赤く燃え盛っていた。


 「やられた・・・」


 最近の巷でのトピックではヒューロ活火山に生息するヒューロドラゴンがなんでも永い眠りから目覚め、子供を作る準備を始めたとか、過去100年の歴史の中にそのドラゴンは災厄としてその名を刻み、当たりを火の海に変え、人や家畜を餌としてこの大陸を縦横無尽に駆け回り、破壊の限りを尽くしたのだとか、そこから100年人々は再び文明を取り戻し、親の代で気づいた富や地位や名誉を転生者のとして我が物顔で謳歌していた俺こと転生者のワス・ジンセンは昔書物で読んだ上記の話を思い出し、今目の前で燦燦と光り輝き、儚くも散っていく屋敷をただただ呆然と眺めていた。


 「ジンセンさん! 生きておいでになられたのですね!」


 俺は町に唯一残った、酒屋に足を運んだ、この店には酒や飲食物をよく買いに来ていたので馴染み深い。


 「ああ、しかしやられたよ、父様、母様、妹のディッカを一度に無くしてしまった。」


 「そ、そんな・・・」


 「これから俺はこの町の領主として、働かなければならない、だから悲しんでなどいられないのだ、それにここ、カナンの酒場が無事で何よりだ、デロ・カナン」


 「私では何もお役に立たないかもしれませんが、なにか困ったことがあれば何なりと、いつも贔屓にしてくださったのは何を隠そう、ジンセンさんの計らいあってのものでしたから」


 「それではお言葉に甘えて、人員3人とその人数分の馬を貸してもらえないだろうか? 俺は王都まで出向き現状の報告を、他の三人にも、列島諸国に足を囲んでこのことを広めてもらわなければ」


 「はい、では早急に用意いたします、とりあえず、今晩は一度お休みください、身体は疲れていなくても心労は侮れないものでございますから」


 そういうとカナンは二階にある宿屋に通してくれた、だが町で唯一残った酒場は今や怪我人の宝庫と化し、到底休めるものではなかった。


 「どこから間違ったんだ」


 俺は自問自答に耐えきれずに思わず口にしていた。


 異世界において領主の息子に生まれ変わり、【今までにない順風満帆で楽しいスローライフを!】と命打たれた転生とかどこぞの女神はのたうち回っていたような気がするのだが・・・一歩間違えれば転生人生弱い20年にして危うく死んでいた!


 領主の息子と言うことに胡坐をかいて通っていた魔法学校で女性をえりごのんでいたのが悪かったのか!? きっとそれだ・・・本当はもっと勉強して魔法を学び、魔法結界なるものを習得せねばならなかったのだろう、魔法使いの需要は高い、だから俺も魔法学校へと通わされていたのだが、俺はスローライフのことしか頭にはなく、勉強には精を出していたが実技はてんで頭になかった、ここの学校は筆記にしか重点を置いておらず実地をあまりさせないだめな学校だったってのもあるんだろうが、それは今更後の祭りだ。


 まぁいい、明日王宮に出向き考えるとしよう。


 早朝に出発して、途中馬を休ませながらも俺は何とか王都の王宮へとついていたがそれは世界が星々に抱かれて間もなくのことだった。


 「こんなやぶ遅くに失礼します王よ!」


 「うむ、よい話はもう聞き及んでおる、災厄が再びと・・・で、被害状況は?」


 「はい、町1つがまるまる消滅いたしました、今町にあるのは酒場だけとなっております」


 「それで、貴様はワス・ロイデの息子のジンセンだな? ロイデは今復興に向けてどんな策を講じておる?」


 「父上は亡くなりました」


 「なんとっ!?」


 辺りにいた家来が一斉に声を上げた無理もなかろう、この国1の大戦のデロリ平野大戦の功労者なのだから。


 「それゆえ一刻も早くこの危機的状況を伝えようと我が身を参上させました、諸外国におきましても、早馬を走らせている次第でございます」


 「うむ、迅速な対応ご苦労、そして今日からそなたが領地の主としよう、その方がそなたの父も喜ぶであろう」


 「その命頂戴いたします」


 「これからは領地の復興に尽力してもらい・・・のもやまやまなのだが、復興するにも、先のドラゴンを討伐せねば、二の舞になってしまうのは火を見るより明らかだ、わかるな?」


 「はい?」


 「聞けばそなた、魔法に置けば最たる実力を有したと聞いておる違うか?」


 なんだこの話の流れ、まるで・・・まるで・・・


 「おお、勇者がここに世界を守るために馳せ参じたというわけですな!」


 また辺りの家来たちから声が上がった。


 「いや、しかし、それは!」


 俺が声よ挙げようとも家来たちの歓声の中に霧散した。


 王の咳払いにより一喝される歓声。


 「そなたが討伐隊を編成し、今こそあのヒューロドラゴンを討伐せしめてくれ! こうとなってはおちおち眠ってもいられぬ、こちらからも諸外国に書状を出し、腕利きの者たちを集めさせなければ、これは国の問題ではなくこの世界の問題だ!」


 そう高らかに宣言した王はすぐさま玉座の脇の扉から退出してしまった。

 

 その時の俺の無様な格好と言ったら・・・まるで復縁を迫る、なよった男のようだった。


 果たして今後のドラゴン討伐は・・・この世界をかけた運命は!?

 

読んでいただきありがとうございました!

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