道をしへ
鬼さんこちら
手の鳴るほうへ
鬼さんこちら
手の鳴るほうへ
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山道など
歩いていると
赤紅の斑点のある
虫が
草の中から
飛び立ち
四、五歩
先へ下りる
ことがある。
そうして
ちょっと
振り向くような
恰好をする。
人が歩く先へ
先々へ飛び
まるで誘うような
その様子を
昔人は
「道をしえ」
と、名づけた。
美しい模様に
騙されることなかれ
うかつに手を出せば
人を刺し痛い目に合う
劇毒な虫
さぁてな、
わたしはだあれ?
だぁれだ?
この虫は、群れをなして飛ぶこともあるそうだが
作者はまだ見たことはない。