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装飾・後
知ってしまった、憧れの人の憧れの人。
「あなたのことが好きなのに、あなたのことが好きだったのに」
「お前が私の好きな人を変えてしまったんだ……! 私だけのものだったのに……!」
私は、だって知らなかった――いいえ、本当はうっすら気付いていた。あなたがあいつのことを好きなんだろうって。あなたはずっと見ていた。ずっと、ずっと、ずっとあいつのことを。
あいつのことは私だって嫌いじゃない。結果として私より美しくなっても、私より輝いても、私は全然気にしない。あなたの目に映らなくなるなら、どれだけでも美しくしてやると思った。
けれど、それでもあの人はあいつのことを好きなままでいる。距離が離れて、遠くなって、それで私を恨むだけで、あいつのことを好きで居続ける。
憎い。素材が良いだけに過ぎなかったあの女が憎い。