表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

プールのアサコちゃん

閲覧ありがとうございます。

「……先輩、怖い話って得意ですか?」

「な、なんだお前そんな急に。お、俺が、この俺が、こ、こここ怖い話? っが、得意なワケ……いや、苦手なワケがないだろうっ!」

「そうですよね。『ポセイドン番長』と名高い先輩に怖いモノなんて無いですよね。今朝のたくましい消火っぷり、同じ消防士として尊敬します!」

「あ、あぁあぁあ当たり前だろっ! ど、どんな話でもどんと来い!」

「では、さっそく。……先輩は『トイレの花子さん』って知ってますか?」

「ひ、ひえぇぇぇ…………」

「『ひえぇ』?」

「ひ……『比叡山』が発祥の話だろ!?」

「え、そうなんですか? さっすが先輩、博識ですねー」

「お、おう……」

「それに似た名前の話が、最近若者の間で流行っているんですよ」

「そ、そうなのか」

「その名も『プールのアサコちゃん』。なんでも、何年か前に家が火事になった「アサコちゃん」っていうお嬢様が、家の窓からプライベートプールに落ちたあと行方不明になったらしくて、それでいつの間にか『夜中にプールに入ると、幽霊としてこの世をさまよっているアサコちゃんが水中へ引きずり込んでくる』っていう怪談になったらしいんですよ」

「……もう、プール入れねぇ…………」

「……でも「実は生きていて、家に放火した犯人に復讐する機会をうかがっている」なんて説もあるみたいで、謎が多いんですよね。ホントに放火だったかどうかどころか、実際にあった火事なのかどうかもわかりませんし。……あれ、先輩どうかしましたか? 難しい表情をしていますけど」

「……いや、前にそんなことがあったような気がしてな……。そのお嬢様、なんて名前だった?」

「『アサコちゃん』です。『アサコちゃん』」

「『アサコちゃん』? ……そうか。あのときの女の子か」

「知っているんですか?」

「……ああ。俺の記憶が間違っていなければ、その子は倉田くらたもとかん……」



『○○丁目の住宅街で、火災発生』



 先輩の言葉は、出動命令のアナウンスで掻き消されてしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ