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第6話 始まる二度目の大仕事


無事に出席を取り終わり、一時限目、二時限目と、時間はスムーズに過ぎていく。


俺はいつまたグリコの悪ノリが飛び出してくるか分からないため、内心ヒヤヒヤしていたが、当のグリコはただただ普通に授業を受けている状態だ。


どうやら純粋に俺を助けてくれているようだ。

…俺はグリコをちょっと誤解していたのかもな…。


その後も何事もなく昼食の時間がやってきた。


「メイ。今日も一緒に食べない?」


天野よ。お前はなぜ俺なんかと飯が食いたいんだ。

昨日の俺も今日の俺も実際は俺の見た目をしただけの別人なのだが…。


「う~ん…。」


グリコは何やら気難しい顔をしている。


「どうしたのメイ?気難しそうな顔して。」


それはもう説明したから。


「なぁ春花…?」


そう言ってグリコは天野の顔をじっと見つめながら距離を縮めていく。


「ちょ…メイ!こ、こんなところで…。」


天野は何やらブツブツと呟いているが、最後は何かしらの覚悟を決めたように目を瞑った。


一体何がしたいんだかさっぱりだ…。


「………トリャァ!」


グリコは天野とあともう少しで密着するほどの距離に来たところで、右アッパーを手加減抜きで放つ。


…じゃねーだろ!何してんだホントに!


「まぁまぁ冥君。落ち着いて。ホラ、見てごらんよ!」


そう言いながらグリコが指差す方向を見ると、気を失った天野の身体から青白い炎が出てくるのが確認できた。


…これはまさか。


青白い炎は次第に少し目付きの悪い20代ぐらいの青年の姿に変わっていった。


「いってーな!たく、なんつうガキだ!」


青年の姿をした霊魂は、パタパタとズボンについた汚れをはたきながら立ち上がる。


…霊魂にも汚れとかつくんだな。


「あ!このお兄さんは見覚えあるぞぉ!」


その言葉を放ったグリコは、俺の身体から出て来ていつもの死神スタイルに戻っていく。

それを見た青年の霊魂の顔がみるみる険しくなっていった。


「げげ!死神ジジイの孫娘か!」


ジジイ?孫娘?

困惑する俺にはお構い無しにグリコと霊魂は話を続ける。


「この変態霊魂が!まさか女子高生に取り憑いて、あんなことやこんなことを…」


色々と気になることはあるのだが、俺の入り込む余地は今の所なさそうだ。


「なっ!?するわけねーだろ!!相変わらずムカつく死神だ!」


こいつとグリコは一体どうゆう関係なのだろうか。


「嘘つけこの変態!女子高生の霊魂が冥界へやってくる度に、ジロジロと眺めていたくせに!冥土へ送られるのを頑なに拒んでいたのは、女子高生に取り憑いて死ぬ間際に溜まっていた性欲を発散するためだったんでしょ!?…うぅ…考えるだけでおぞましい…。」


どうやらグリコの中でこの霊魂は変態として認識されているらしい。


「おぞましいのはお前の発想だ!たく…俺はただな…」


…ん?


「俺はただ、なんなのだよ!言ってみたまえ!さぁ!」


グリコが険しい表情で詰め寄る。


「…ちっ、お前には関係ない。頼むから放っておいてくれ。用が済めば俺は自分で冥土へ向かう。」


…わけありってところか。

もしくは本当にただの変態か。


「冥君!こいつは変態に決まっているよ!死神の力を甘く見たな変態め!一瞬で冥土へ送ってやる!覚悟せい!」


何か変なキャラになってるぞ。

てゆうか死神の力を使ったらまずいんじゃなかったのか?


「…くっ、ここまで計算して…。恐るべき変態…。」


いやそれは計算してないだろ。

もとはと言えば霊魂を冥界から逃がしたのはグリコの失態なんだろうに…。


「うるさい、うるさい!冥君のバァーカ!無理矢理冥土へ送るのは勘弁してあげるけど、ここで君を見つけた以上、死神として放っておくことは出来ないからね!君が何をしようとしてるのかは知らないけど、側でずっと見張ってるから!あんまり変なことしたら、分かってるよね?」


…そうか。

今ので改めて実感した。

こいつはやはり死神なのだ。

最後のグリコの言葉。

側で聞いているだけの俺も、一瞬で背筋が凍る感覚が身体をよぎった。


「…ちっ、勝手にしろ。」


そう言うと霊魂は、青白い炎の形に戻り、気を失った天野の中へと入っていった。


「絶対に春花は私が守ってみせるんだ!うぉりゃー!」


続いてグリコが俺の中へと入ってくる。 



こうして俺たちの2度目の仕事が始まるのだった。


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