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理不尽な世界で長生きしたい。  作者: おむまめ
幼少時代
2/9

君メロはこんな乙女ゲーム

乙女ゲームの記憶を取り戻したのが遅すぎたせいで、ヴィンセントが悪に染まっていく切っ掛けとなる事件はすでに実際に起こってしまっている。


その証拠に顔の右側は火傷を体も火傷を負ったがそれは軽いもので、背は切りつけられたが右足を貫いた傷よりはマシと言えよう。


王宮で治療した医者は生きてるのが奇跡的な事だといい、予断を許さぬ状態が何日も続き高熱で生死をさ迷ったりもした。


だが本人は記憶を思い出し死なない事は充分に理解していたし、喋れ無いながら記憶を思い出してゲームでの自分の立ち位置そしてこの先について思案し行き当たる結果に愕然してから意識を失いかけ…そして絶望した。


『メロディ~君と紡ぐ物語~』

ヒロインは攻略キャラクターと協力しあい苦難を乗り越えて絆を深めていく。

さまざまな苦難という名のイベントを乗り越えた先には、攻略キャラクターにもよるがこれが護衛騎士ドイルを選択すると国を滅亡へと導く最悪にして最大の敵が待ち受けている。


ヒロインはドイルに守られながら玉座に座る国王を涙ながらに説得するもそれは叶わない。

国を滅亡へと導く悪を倒し国を救うとヒロインが言葉を紡げば、護衛騎士ドイルは握りしめた剣を凶悪の王へ向けた。


国王の側近がドイルと激しく攻防し一人また一人倒されていき、最後の一人が討ち取られれば国王はクスクスと笑いだすと呪詛を吐き捨てるように言って、隠し持っていたナイフを自分の胸に突き刺すのだ。


自ら死を選び凶悪の王 ヴィンセントは死ぬ。

そうヴィンセントこと私は物語通りに事が進んでしまうとこうして死ぬ運命なのである。


攻略キャラクターによって最後に迎える死に方は違うものの、晩餐会で味方に毒を盛られ毒殺されたり国をクーデターで失うと先導する主導者に捕まり裁判にかけられた上での公開処刑。

東国の英雄から復讐という形で殺されたり、隣国と戦争を起こしその戦場で暗殺されたり。

悪役ヴィンセントは必ず殺されてしまう。


多くのユニーク(泣)な殺され方をされる中に、何の情報も知らない攻略キャラクターが居る。

レアキャラクターはあまりにも出現させる条件が難しく、巷では出現は不可と噂され珍獣扱いをされていた。

確かに乙女ゲームの記憶を思い出したが、珍獣扱いされるレアキャラクターについて本当に残念な事だが記憶にない。


だが凶悪の王が倒さなくてはゲームはクリアにならずバッドエンドを迎えてしまう。

この乙女ゲームが高い評価をされたのは、ゲームの結末が両極端っだったのも人気があった大きな理由と言える。

ノーマルエンドが存在しない乙女ゲーム。

キャラクターの攻略を間違えてしまえばハッピーエンドを迎えるのが急に難しくなり、その間違えを穴埋めする為に存在するミニゲームもネットでの評価は良かった。


内政しかり戦闘があり。

はたまた資金集めをしたり、作物を育てたり等してユーザー達は必死に攻略本片手にバッドエンド阻止をするだ。


先も言ったようにこの乙女ゲームはノーマルエンドが存在しないからか結末が本当に両極端なのだ。


ヒロインがキャラクターを攻略出来ればハッピーエンド、言葉通り二人は結ばれ幸せになりゲームは終わる。

けれどもバッドエンドになってしまえば、護衛騎士を選んでいた場合二人は国家転覆を計画した主導者として国の法律で裁かれる。

ヒロインは一応王族の血を引くので処刑されず幽閉された地で護衛騎士ドイルの処刑が行われた事を知ると、心を痛め悲しむヒロインに国王から手紙と贈り物が届く。

『親愛なる妹』へと書かれた手紙を読んでいれば、ヒロインが命じて贈り物を開いたメイドが悲鳴を上げた所で画面が真っ暗になり『Bad end 』の赤い文字が浮かぶ


これの結末にネットでユーザー達が議論した。

結果ヒロインの元にドイルの首が届いたで答えは落ち着いたが、ユーザー達は皆が皆が口を揃えて言った。


『バッドエンドなんて可愛いもんじゃない!これは絶対に超鬱エンドだろう!!』


超鬱エンドという新しいジャンルを作り上げた『メロディ~君と紡ぐ物語』の制作会社は何を思ってこの乙女ゲームを作り出したのかは謎であるが、世にはそう言った鬱エンドを好むユーザーも確かいる。

超鬱エンドが話題になり賛否両論合ったものの、君メロの話題は尽きることは無かった。


そんな話題の超鬱エンドの中でヒロインは死ぬ事は無いものの、ヒロインに待ち受ける運命は過酷と言うより地獄である。

幽閉された先に届く贈り物はヒロインの心を病ませ。

国王の命じられ隣国に嫁ぐも結婚する相手は加虐性愛者でヒロインは腹に宿ったばかりの命を失う事になったりと、行く先々でヒロインは幸せとは程遠い生活を強いられる。


『メロディ~君と紡ぐ物語~』はヒロインまたは攻略キャラクターそして悪役に待ち受ける運命は選択を間違えてしまえば、ハッピーエンドかバッドエンドどちらに転ぶか分からない。


それを改めて念頭に置いてこれからどうすべきで、この先どう動いて死亡フラグを回避するか考えよう。


実はまだ妹はこの世界で誕生しておらず、妹は今側妃の腹の中ですくすく成長していて産まれるのは半年ほど先の事だろう。

因みにヴィンセントが悪に染まっていく切っ掛けになる事件を計画し実行した首謀者は側妃の身内だ。

父王はそれを知ると子ごと側妃を処刑しようとしたが、この頃ヴィンセントの容態が安定しない日々が続いていて、王は側妃の処刑について一度考えを改めた。

王の子供を産むその日まで側妃は処刑されず生かされた。

出産すれば処刑される変えることの出来ない現実に恐怖が心を支配する。

日に日に腹は膨らみ臨月になると側妃はついに心は壊われてしまった。

心を壊した側妃は赤子が元気な産声を上げたその日処刑されてしまう。

この頃になるとヴィンセントの容態は安定しており、側妃が産んだ赤子が女児と分かると王は憤ったという。


この国は男尊女卑の傾向が強く、女性は酷く蔑視された存在だ。

男は女は子を産み出す道具として扱う者が多い中で、父王はヴィンセントの母を愛して居た。

だからだろ側妃本人が関係ないとしても、身内が計画し実行した事件の罪に対する罰を側妃にも下したのだろう。


事件の顛末を聞いたヴィンセントは最初の頃はこんな酷い目に合わせた犯人だけを恨んでいた。

側妃はもうこの世に存在しない、その娘も顔を合わせる機会もないのに、恨んでも仕方のない事だ。


まだこの時悪に染まらず体は不自由ながらも悪意ある噂が聞こえても、後遺症に苦しみもしたがヴィンセントは前を見て生きていた。


『ツギハギ王子』『化け物王子』『醜い王族』民や貴族はヴィンセントを嘲笑い、知らないからこそ有ること無いこと面白可笑しく噂した。


各地を旅する吟遊詩人が噂をアレンジして楽器を奏で歌を歌う。

有ること無いこと面白可笑しくされた噂は、吟遊詩人が楽器を奏で美しい声で歌うと真実味が増した。


歌の中に登場する悪役は名は伏せてあったがその悪役がヴィンセントである事に間違いはなく、一度も会った事のない妹は悲劇のヒロイン役に使われていた。


物語はよくある陳腐な話。

悪い醜い王子は倒されて美しい悲劇のヒロインは助けてくれたヒーローと恋仲になり話は終わる。

湯水のように金を使う醜い王子。

我が儘で傲慢な醜い王子は美しい妹姫に嫉妬して執拗に苛めるらしい。

だが悲劇のヒロインはヒーローに助け出され、醜い王子は呆気なく倒されてしまうと、鼻や眼から汁を出して尿を漏らし命乞いする。

優しく美しい妹姫は命乞いする醜い王子を許し話は終わる。


吟遊詩人が歌う陳腐な話は有ヴィンセントの耳にも届いていた。

最初はただ茫然として聞き、全てを話を聞き終わる頃には怒りで体を震わせ憤っていた。


こんな醜い姿にしたのは悲劇のヒロインとされる妹の母親の身内であり、悲劇の主人公とまで言う気はないが被害者は自分だ。

醜い姿にされたうえ世間は何も知らずヴィンセントを悪役に仕立てた。


怒りは治まらずヴィンセントは吟遊詩人の捕縛を命じていた。

吟遊詩人が捕縛され処刑されたと噂が立てば、市井の民はヴィンセントをより悪者にし、会った事もない腹違いの妹が悲劇のヒロインになった。


この事によりヴィンセントは妹という存在を日に日に恨みを積もらせてしまう。


『メロディ~君と紡ぐ物語~』

この乙女ゲームはヴィンセントが天寿を全うするには厳しい世界だと分かってもらえただろう。

それはヒロインにも言える話だと思うが今は自分の事だけを考えさせて欲しい。


記憶を思い出したからには私は絶対に死なないし、悪役になる気は更々ないので逆に善き王子ゆくゆくは国王になってやる。


死亡フラグを回避するにはまず国の根本を変えることが必要だし、とりあえず体を動けるまでに回復したら勉強して体力作りをしよう。


あっ、その前に側妃どうするか…だよね。

動けるようになるの何時位かな?

さすがに今日明日と回復しそうにないから、父王の考えを変えるしかないのかも。

本当にやる事が多すぎるな、前途多難だやれやれダゼ………。














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