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えぶりでい!  作者: あさの音琴
日常編
32/44

不安6

 連休に入り3日が過ぎた。遊園地に行くのは今日で楽しみだったのからか、少し早めに目覚めた俺はリビングでコーヒーを飲んでいた。

 

 「楽しみだな」

 

 待ち合わせ場所は駅で、目的の遊園地まで電車で1時間くらいかかる場所にある。少し遠い場所にあるが、友達とみんなで遊園地に行った事の無かった俺はソワソワとしていた。

 

 時計を見るも進まない。いつもより時間の流れが遅く感じた。予定では駅まで1番近い俺の家に同じ学校のメンバーが集合して、その後、環と駅で合流する事になっている。

 

 コーヒーを啜りながら待つ。少ししてから家のチャイムが鳴った。すぐに玄関に行き、扉を開ける。

 

「おはよっス。あれ? まだ誰も来てないんスか?」

 

「あ、竜二か。おはよう」

 

 予想外にも俺の家から1番遠いであろう、竜二が最初に着いた。竜二を家に上げ、竜二に麦茶を渡す。

 

「ありがたいっス。少し寝坊して焦ってたんで走って来たんスよ。ひゃー。喉がカラカラだ」

 

「集合時間まで後15分くらいあるからな。委員長も奏も近所に住んでるから余裕持ってるんだろ」

 

 俺と竜二が談笑していると、再びチャイムが鳴る。玄関に行き、扉を開けると委員長と奏が立っていた。二人で来たのだろうか。

 

「おはよー!」

 

「おはよう。もう天野君も来ていたのね」

 

 後ろを振り返ると、リビングからひょっこりと顔を出した竜二が笑っていた。

 

「二人とも上がって。お茶でも飲んでから出よう」

 

 俺は委員長と奏を家に上げる。竜二に渡したコップは空になっている。本当に喉が渇いていたのだろう。

 

「二人とも麦茶でいいか? あと、竜二ももう一杯飲む?」

 

「私は麦茶でいいわ」

 

「私はココアね!」

 

「ありがたいっス。もう一杯頂いていいスか」

 

 コップに麦茶を注ぎ、俺はそれを委員長に渡した。ついでに竜二の使っていたコップに麦茶を注ぐ。

 

「今からココア作るからちょっと待ってな」

 

「待ってるよ!」

 

 冷蔵庫に麦茶を入れて、ココアを作る。もちろん氷を入れるのは忘れない。

 

「お待たせ」

 

「ありがたとう!」

 

 それぞれが飲み終わり、少し談笑をした。内容はやはり遊園地についてだったが。

 

「それじゃ、そろそろ行くか」

 

 俺達4人は家を出て、駅へと向かう。駅へ向かう間、4人で話ながら歩いていた為あっという間に駅へと着いたように感じたのは楽しいからだろう。

 

 駅に着いて、環を探すとすぐに見付ける事が出来た。ベンチに一人で座りニヤニヤしている。傍から見れば近寄りがたい雰囲気だ。

 

「環ちゃんおはよ!」

 

 奏は環を見付けるとすぐに走って駆け寄っていく。それを見た環も立ち上がり自然な流れだったのか、遠く離れた友人と久しぶりに会うように抱き合っている。厳密に言えば、奏が抱き着きにに行って、環がそれを迎え入れた感じだが。

 

「おはよう。待ち遠しくてウズウズしてしまって2時間は待っていたぞ」

 

 俺達も環の元へ行くと、環は2時間待っていたと言う。いくらウズウズしていたからと行っても待ち合わせ時間の2時間前に待ち合わせ場所で待つなんてどれだけ今日を楽しみにしたのだろう。

 

「え? そんなに待っていたの?」

 

「そうだな。家で待っているのが堪えられなくなったのだ」

 

 それぞれが挨拶をして、駅の中へと進む。美鈴さんはいないのだろうか。

 

「美鈴さんはいないのか?」

 

「美鈴はいないぞ。美鈴はこう言う時には姿を見せないからな」

 

 美鈴さんは環が存分に楽しめるように配慮しているのだろう。

 

 切符を買って構内に入る。切符を買う時、環が切符の買い方が分からずに右往左往している姿を見てみんなで笑った。目的の遊園地までは何度か乗り換えがあるが分かりやすい道のりだ。

 

「これが駅か。すごいな!」

 

「環は駅にも来た事が無かったんスか?」

 

「遠出する時は自家用ジェットを使うしな」

 

「環ちゃんすごい!」

 

 環の話を聞いた俺達は唖然としていた。自家用ジェットなんて持っている家庭は殆ど無いはずだ。世界が違い過ぎると言った感じだろうか。

 

「ハハハ。そんな事は無いさ」

 

 環は笑いながら奏に言葉を返す。環自身は今までからの言動からも分かるように庶民的な暮らしがしたいのだろうと思う。

 

 構内アナウンスが俺達の乗る電車が到着するのを知らせ、少ししてから電車が到着した。俺達は電車に乗り、環と奏が隅の方に座った。俺と委員長と竜二が座った二人を囲む形で陣取る。

 

「これが電車か! すごいな!」

 

 初めて電車に乗ったであろう環は興奮しながらキョロキョロとしている。環以外の俺達にとっては当たり前の電車に乗るという行動も環にとっては新鮮で楽しいのだろう。そんな環を見ていると自然と笑みがこぼれてくるような。そんな気がした。

 

 電車を乗り換える度にはしゃぐ環。

 

「電車とは走っている線でデザインが異なるのだな」

 

「そうだな。どうして違うんだろう」

 

 環の疑問もよく分かる。普段は気になどしていなかったのだが、言われて見れば確かにデザインと言わず、種類まで違うのだろうか。考えても仕方の無い事なのだが気になってしまう。

 

「委員長は知ってるんスか?」


 竜二の中では委員長は何でも知っていると思っているのだろう。確かに委員長は物知りだ。

 

「私は詳しく無いけれど、メーカーとの兼ね合いもあるんじゃないかしら。環の家の三住財閥も関係と思うわよ?」

 

「そうなのか! 今度調査してみるとしよう」

 

 こんな会話をしながら俺達は遊園地のある街まで到着した。遊園地へは歩いて行くには遠い為、シャトルバスも運行している。少し混み合っていたが、なんとかシャトルバスに乗る事ができた。バスが出発してすぐに山道に入る。自然に囲まれた道路を見ていると遠くにジェットコースターのレールが目に入り、遊園地への期待感が膨らんでいく。

 

 そして、バスが遊園地に到着し、俺達はバスを降りた。自然に囲まれた大きな遊園地に俺達は到着したのだ。

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