#06 美沙子2
作家の美沙子です。
閉じ込められたエレベーターでの話を続けますね。
怪しいと思っていたニット帽に花粉対策のメガネにマスクの女性がいましたよね。
その女性は私の友人でした。
友人はコンタクトレンズを落としたみたいでメガネを借りてました。
メガネのおかげで私だとわかったみたいです。
ペンネームしか言っていないのに美沙子という本名を言ってきた時は驚きました。
顔が見えないので帽子とマスクをはずしてもらうと確かに友人でした。
ペンネームが友人にわかってしまったので本を読まれる可能性が出てきて少し不安になりました。
もうひとりの怪しい人である筋骨隆々でワンピースを来た女性が誰なのかをずっと思い出そうとしていました。
そしてなんとか思い出しました。
それは喫茶店の人だったんです。
筋骨隆々の女性ではなくて女装をした男性でした。
経営者と言っていたので喫茶店の経営者だと思います。
もしかしてストーカーで後をついて来たのではないかと思いました。
そして私にわからないようにするために女装してきたのではないかと思いました。
でもストーカーではない場合もありますよね。
なので由紀子と名乗る男性になかなかストーカーかどうかを聞けないでいました。
ですが私は意を決してストーカーかどうかを聞きました。
すると案の定ストーカーではないと言い出しました。
そして私がよく行く喫茶店の関係者ではないかと指摘すると人違いだと言ってきました。
女装していたことについても言い訳していました。
ムカついたので男性のカツラを手で無理やり取りました。
すると友人の紗理奈さんと主婦の綾香さんがカツラが取れた男性の顔を見て驚いていました。
紗理奈さんは「由紀夫さん?」と言っていました。
どうやら二人は知り合いだったみたいでした。
綾香さんも「由紀夫くん?」と言っていました。
名前を知っていたので知り合いだと思います。
由紀夫という名前だから偽名が由紀子とは単純すぎますよね。
その後、主婦の綾香さんが由紀夫という男性を問い詰めていました。
私のファンということで余計に熱が入っているように感じました。
由紀夫という男性はとうとう白状をして謝ってくれました。
時間は結構過ぎましたがなかなかエレベーターに助けは来ませんでした。