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嘲笑う
私は我儘な女だ。そして、我慢強い。
不満があってもあまり顔にも出さない、と思う。だから我儘だと知っているのは、私だけ。
そのどうしようもない悦に浸りながら、自分を慰める。
自分はもう頑張っている。周りは気付いてないけれど。
その言葉を繰り返し唱え一ヶ月をやり過ごした。
「……お母さん…」
中学生の頃あんなに嫌いだった母も、今となっては懐かしむべき対象だ。むしろ中学生時代の全てが懐かしい。
失ってからその大切さに気付くとはよく言うけれど、案外間違っていないと思う。三年間通ったあの校舎に足を踏み入れることはもうないだろうし、住んでいた家だって二度と目にしないだろう。
もっと、一日を大切にすれば良かったなんて今更思ったりして。
あの時の私は恵まれていた。
そして小さく自嘲する。
「……羨んだところで、もう戻ってこない……か」
私はきっと、数ヶ月前の私を羨み、嫉妬し、今の私を貶し、嘲笑っている。