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掴んだもの  作者: いくみ
新たな生活
1/1

嘲笑う

 私は我儘な女だ。そして、我慢強い。

 不満があってもあまり顔にも出さない、と思う。だから我儘だと知っているのは、私だけ。


 そのどうしようもない悦に浸りながら、自分を慰める。

 自分はもう頑張っている。周りは気付いてないけれど。

 その言葉を繰り返し唱え一ヶ月をやり過ごした。



「……お母さん…」



 中学生の頃あんなに嫌いだった母も、今となっては懐かしむべき対象だ。むしろ中学生時代の全てが懐かしい。

 失ってからその大切さに気付くとはよく言うけれど、案外間違っていないと思う。三年間通ったあの校舎に足を踏み入れることはもうないだろうし、住んでいた家だって二度と目にしないだろう。

 もっと、一日を大切にすれば良かったなんて今更思ったりして。


 あの時の私は恵まれていた。


 そして小さく自嘲する。




「……羨んだところで、もう戻ってこない……か」



 私はきっと、数ヶ月前の私を羨み、嫉妬し、今の私を貶し、嘲笑っている。

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