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俺の股間にあるブツが聖剣って、こんなので倒される魔王が悲惨すぎるだろ

掲載日:2026/02/25

「駄目ですよこんなの」


「なんでですか!? 読者の興味をそそる、いいタイトルじゃないですか。もうね、このタイトル考えついたとき、僕はビビッときたんですよ、こう、脳にビビッと!」


「悪い電波でも受信したんじゃないですか?」


「酷い」


「まあ、星崎先生の仰ることもわかりますよ。笑いを誘うタイトルだし、好奇心を刺激するのもわかります。そこは否定しません」


「でしょ~?」


「ですがね」


「何ですか」


「結局のところこれは出オチというか、このタイトルが作品の最大風速にしかならないんじゃないかと、そう怪しむわけですよ私としては」


「そんなことないですよ。ちゃんと壮大なストーリーを……」


「この設定でどうやればそんな壮大にできるんですか」


「実は、主人公を含め、聖なる武器の使い手が七人いまして」


「地獄ですか」


「地獄編も一応考えてはいますが、プロットもまだですね。今のところ、地上編と魔界編に全力を入れていきたいなと」


「皮肉が通じない」


「で、主人公の聖剣が、長い冒険を経て成長して、真の聖剣になると。一皮剥けるわけですね」


「最低の下ネタじゃないですか。女性読者全部ドブに捨てるおつもりで?」


「でも子供ウケは良さそうですよ」


「そこはまあ否定しませんが。あのコ□コ□コミックも、うんこちんこネタは鉄板らしいですからね」


「うんこって、そういう下品なのはちょっと」


「どの口で」


「でもおしっこなら出そうとは思ってましたよ。聖剣の奥の手で。ほら、おしっこのことを聖水って言うじゃないですか」


「言うじゃないですかって、一般常識みたいに言わないでくれません? 先生、それは常識ではなく性癖ですよ?」


「聖剣から聖水が出る。そこに何の違和感もないでしょう?」


「違和感がなくても絵面が最悪なんですよ。どう美化しようとしてもただの立ち小便にしかなりませんよそれ」


「そこはイラストレーターさんの底力に頼るとして」


「レオナルドダヴィンチでも無理でしょうね……って、そんな汚い挿絵をイラストレーターさんに描いてもらおうと思ってたんですか!?」


「駄目なんですか!? 主人公の見せ場なんですよ!?」


「駄目に決まってるじゃないですか! そんな見せ場エロ小説でも滅多にありませんよ!」


「滅多にってことはたまにあるってことですよね!」


「言葉尻捕まえて無茶通そうとしても駄目です! だいたいうちのレーベルは十八禁じゃないんですから、エロ小説でそのシチュがあろうとなかろうと、うちで出せるかどうかとは関係ありませんよ!」


「ううむ、ああ言えばこう言う」


「自己紹介ですか?」


「池端さん、いったいあなたは編集者としてこの作品の何をそんなに認めたくないんですか」


「有り体に言えば全部です」


「またまた」


「残念ながら赤心です」


「では、そちらのレーベルの新境地を切り開くつもりはないと、そう仰りたいんですね」


「新境地というか死の大地ですね」


「だけどね池端さん。私はこう思うんですよ。今のご時世、守りに入ってもジリ貧で衰えていくだけではないですか?」


「その意見には賛同します」


「おお、やっと意見が合いましたな」


「しかしね先生、それはそれ、これはこれです。少なくとも、これを攻めの作風ととらえるほど私は酔狂ではありませんよ」


「聖水以外にも、聖女の力を借りて聖剣を一時的にパワーアップさせる展開もあるんですがね」


「もはや高校生のスケベ妄想ですな。露骨すぎて引きますよ」


「失礼な。私はこれでも立派な大人ですし、真剣に面白さを追求していますよ」


「その真剣さのベクトルをまともな方向に向けてくれたらいいのに……」


「まともな思考からはまともな作品しか生まれませんよ。それでもいいと?」


「それでいいんですよ」


「情けないなあ。もっと冒険しましょうよ」


「自滅の間違いでは?」


「当たって砕けろですよ。そのくらいの覚悟でやらないとヒット作は生まれませんってば」


「砕けるのがわかりきってるから二の足を踏んでるんですがね。私としても会社としても、この出版業界の不景気に危ない橋は渡れませんよ。トレジャーハンターじゃあるまいし」


「聖剣って受ける要素だと思うのになぁ……」


「そこはいいんですよ。それを性器に重ね合わせるのが駄目なだけで。徹夜明けで冷静な判断力を無くした人間の発想ですよこんなの」


「なるほど、ギリギリの精神が生み出した発想に近いと」


「ギリギリではありますね」


「そこがいいと思いません?」


「酒の席の馬鹿話ならアリですが、商売としては良くないですね」


「いっそ、○剣みたいに伏せ字にするのは」


「いやそういう問題じゃないんで」


「じゃあ聖○で」


「伏せる言葉を逆にしろってことじゃないんですよ。単語じゃなくて設定が問題なんであって」


「しかしね、言わせてもらいますけど池端さん。この作品はその設定こそが持ち味なんですってば。そこをいじくったら作品そのものが瓦解しちゃいますよ」


「だからお蔵入りにすべきだと私は言ってるわけです」


「意固地ですね」


「私の台詞ですよ」



(この後二時間ほどファミレスの一番奥のテーブル挟んで話し合いという名の泥仕合が続いたが割愛)

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