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『読みやすい』という褒め言葉を不快に思う作者がいる理由を考えてみた

作者: みももも
掲載日:2026/02/08

 小説を読んだ人が「これ、すごく()()()()()()面白いよ!」と褒める。


 読者からすると純粋な褒め言葉なのだろう。

 だけど作者側はなぜかしかめっ面をする。

 刻には苦言を呈する作者を見て、読者は「なんじゃこいつ」と不思議がる。


 そんな悲しいすれ違いが起こるのはなぜなのか。

 とくに意味不明なのは読者側だろう。なぜ褒めたのに、文句を言われなくてはいけないのか。

 おそらく理解できていないと思うので、一応小説を投稿している身として『読みやすい』という感想に対してどう思うのか、考え直してみることにした。


 そもそもの話、作者は「読みやすいと思って欲しい」などと考えたことはない。

 むしろ「読みやすさなど意識する間もなく」気づいたら読み終えている。というのが理想なのだ。

 だからある意味において「読者に『読みやすさ』を意識させてしまった」時点で、負けとも言える。

 読者側からしたら純粋に『面白かった』と伝えるつもりだったのが、作者からすると『読みやすさ』を意識した上で良かった。と、なんだか皮肉を言われているような気持ちになってしまう。

 作者は「読みやすい作品」ではなく「面白い作品」を書きたいのだ。読みやすさというのはそのためのファクターでしかない。もしもこれが編集者に「読みやすいよ」と言われたのなら、それはいい。だがどうだ、君は編集者なのか? そうではない。君はただの読者なのだ。読者の分際で読みやすさを褒めるなど、それは越権行為も良いところだ。


 というのは極端な考え方だとして……そもそも『読みやすい』というの感想はいかにも安っぽい。

 よくワインで『飲みやすい』などと馬鹿っぽい感想を言う大人なりたての若者を見ることがあるが、それと似ている。ちなみにワインの場合『飲みやすさ』にはいろいろあるが、初心者にとって飲みやすいワインは基本的に安ワインであることが多い。少なくとも高級ワインを口にしたときに『飲みやすい』という褒め言葉は出てこない。もちろん『初心者の飲みやすさ』を重視したワインというのもあり、それに対して「(確かに)飲みやすい」と言うのは良い。だがもしも高級路線を目指そうとしているワインにそんなことを言ったら……生産者がどう思うのか、想像したくもない。


 そもそも『読みやすい』などと言ってジャンク的に読んでいる読者が、本当にこの作品を味わっているのだろうか。という疑問もある。

 子供がジュースを飲むようにグビグビと、味や香りの複雑さを味わうこともなく、表面上の味と喉越しだけしか読まず、その結果として『読みやすい』という感想が出たのだとしたら、それは作者に対する侮辱と思われても仕方ない。

 またその『読みやすい』というのは、読者からするとただの感想なのかもしれないが、同時に一定の評価でもあることを忘れてはいけない。

 あなたの一言の『読みやすい』という言葉に、他の読者が『読みやすい作品なのか』と釣られてしまうと、彼らも深いところまで読もう。考察しようとしなくなる。

 その『読みやすい』という感想は『浅く読めば十分な作品だ』という評価であると、そのことを忘れてはいけない。

 むろん、たとえばギャグ風な小説などで「手軽に読んでほしい」と考えている作者には追い風だ。だがそうではなく、むしろ深く深く読んでほしいと考えている作者からすると……ふざけるなと言いたくもなる。


 作者ごときが『読み方』にまで意見をするな。という気持ちも分かる。

 だから別に、このように読め。などとマナー講師をするつもりもない。

 だけど『感想』という形であれ『意思表示』をするのなら、その向く先である作者がどう感じようと自由なはずだ。だからSNSにそういうことを投稿している人を見ても『馬鹿だな』と思うぐらいで反応してはいけない。と思うのだけど、どうせこの声は届かない。届けるつもりもない。どうでも良い。


 個人的には『読みやすい』意外に感想がないなら、余計なことは言わない方が良い。とは思う。

 あるいはせめて『こうこう、こういう理由で読みやすくて素晴らしい』と書いてあれば……いや、それはそれで厄介な感想か。私がそんな感想を書かれたら「うっせえ書評家気取りが」と呟きながら『読んでいただきありがとうございます』とだけ返すか、あるいは無視するかもしれない。

 じゃあ単に「面白かったです」ぐらいが? いや、それならそれでSo what?(だから?)と思ってしまう。わざわざ面白かった報告をして、だからなんなの? と。


 そもそも「作者に喜んでほしい」という理由で感想を書くこと自体が、不純なのだ。

 いつから読者は、作者に餌を与えて優越感に浸れるほど偉くなったのかと。いやそこまで言うつもりはないのだけれど……でも、だとしたら感想ってなんなんだ?


 エッセイとかで読者の意見を求める場なら、感想に意味はあるのかもしれない。

 賛成です。とか、私はこう思います。みたいな。なるほどと思える意見なら、ありがたいとは思う。

 だけど小説につく感想って……意味、なくない?


 ああなるほど。

 だから私の小説には感想がつかないのか。

【あとがき。というか愚痴】

 ここからは作者自身の話になるのだけど……

 とある、小さな(総作品数77程度の)コンテストに作品を出したりしてみたのです。

 運良くなのか、よくわかりませんが『入選』という結果になって、それはまあ良かったのですが……

 その時書かれた書評が『設定だけでなく、文章力が素晴らしい作品』とのこと。


 うーん……これは素直に喜んで良いのか?

 いやもちろん『文章力が素晴らしい』というのが褒め言葉であることは知っている。

 いや、確かに結構推敲を重ねたりはしたから、文章力というか、文章構成は結構練ったつもりだよ?

 だけど、なんていうか、違うじゃん。もっとない? こう……なんか、もっと他にないの?

 少なくとも私は「あー、文章力高いねー」と言われたくて書いたわけじゃなくて!


 まあ入選してくれた時点で悪意がないのは分かっているので、文句を届けるつもりはないです。

 でも貯め込むのもストレスが溜まるので、この場でちょっと毒を吐かせてもらいました。

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― 新着の感想 ―
作者の気持ちも読者の気持ちも共感できます。 読みやすいって、きっと世の中には読みにくい作品(途中で意味が分からず迷子になる、理解がおいつかない、イメージしづらい、途中で離脱してしまう)が多々あるから…
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