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0037 システム・シャットダウン

金田は、オフトメンバーたちを緊急会議室に集めた。彼の顔には決意が浮かんでいた。会議室の中央に設置されたホログラムスクリーンにEclipse Cityの地図が映し出され、各重要施設が明示されていた。


「皆、集まってくれてありがとう」と金田は静かに言った。「我々の最終計画を発表する時が来た。これからEclipse Cityの中枢を攻撃し、この都市を崩壊させる。これが我々の復讐の最終章だ。」


オフトメンバーたちは真剣な表情で金田の言葉に耳を傾けた。彼らはそれぞれの役割を確認し、準備を整える決意を固めた。


「まず、システムハッキングを行うチームは、Eclipse Cityのセキュリティシステムを無力化するために動いてもらう」と金田は続けた。「電力供給を遮断するチームは、都市全体を暗闇に包むことで混乱を引き起こす。そして、セキュリティシステムを無力化することで、我々の動きを自由にするのだ。」


アヤが手を挙げて質問した。「具体的にはどのように進めるのですか?」


金田はホログラムスクリーンに映し出された詳細な計画を示しながら説明を続けた。「まず、システムハッキングチームはEclipse Cityのメインサーバーにアクセスし、セキュリティコードを解除する。これにより、監視カメラや警報システムが無力化される。次に、電力供給を遮断するチームは、主要な発電施設に侵入し、電力供給を停止させる。これにより、都市全体が一時的に停電状態になる。そして、セキュリティシステムを無力化するチームは、都市の主要なセキュリティシステムをハッキングし、完全に制御する。」


リョウが不安げに尋ねた。「そんな大規模な作戦が本当に成功するのですか?」


金田は力強く頷いた。「我々には十分な準備と計画がある。成功させるためには、皆の協力が不可欠だ。これまでの努力が報われる瞬間だ。」


オフトメンバーたちは決意を新たにし、各自の役割を再確認した。作戦の成功を信じ、彼らは行動を開始した。


攻撃開始の夜がやってきた。Eclipse Cityは通常通りの賑わいを見せていたが、その裏でオフトメンバーたちは静かに動き出していた。システムハッキングチームはEclipse Cityのメインサーバーにアクセスし、セキュリティコードの解除を試みた。リナがリーダーを務めるこのチームは、過去の経験を生かし、迅速かつ正確に作業を進めた。


「セキュリティコードの解除完了」とリナが報告した。


次に電力供給を遮断するチームが行動を開始した。彼らは主要な発電施設に侵入し、電力供給の停止を実行した。都市全体が一瞬にして暗闇に包まれ、混乱が広がった。


「電力供給停止完了」と報告が入ると、金田は次の指示を出した。「セキュリティシステムの無力化を開始しろ。」


セキュリティシステムを無力化するチームは、都市の主要なセキュリティシステムにアクセスし、完全に制御した。監視カメラが次々と無力化され、警報システムも停止した。


「全てのシステムが無力化された」と報告が入ると、金田は最後の指示を出した。「各自、持ち場に移動し、計画を実行に移せ。」


オフトメンバーたちは各自の持ち場に移動し、計画を実行に移した。カジノではシステムがダウンし、顧客たちはパニックに陥った。ホテルの設備が停止し、宿泊客たちは混乱の中で逃げ惑った。テーマパークのアトラクションが暴走し、プレイヤーたちは恐怖に包まれた。


金田はターゲットとなる金持ちや権力者たちのリストを確認し、彼らの動向を監視していた。CIEの重役たちも攻撃に巻き込まれ、彼らの反応や対応が描かれた。混乱の中で、オフトメンバーたちはターゲットに対して直接的な攻撃を仕掛けた。


「我々の計画は順調だ」と金田は言った。「ターゲットは次々と罠にかかって


いる。」


ターゲットの一人、富裕層のプレイヤーであるジョンソンは、カジノで大金を失った後、混乱の中で逃げ惑っていた。彼の背後に迫るオフトメンバーたちは、彼を追い詰め、彼の財産を奪った。


「助けてくれ!」ジョンソンは叫んだが、オフトメンバーたちは冷酷に彼を無視した。


一方、CIEの重役であるミラーも攻撃に巻き込まれた。彼は自身のオフィスで指示を出していたが、突然の停電とシステムダウンにより、全ての計画が崩壊した。


「何が起こっているんだ!」ミラーは叫んだが、応答はなかった。


オフトメンバーたちは次々と攻撃を仕掛け、Eclipse Cityの中枢を完全に制圧した。金田はその光景を見つめながら、復讐の達成を実感した。


「これで終わりではない。我々の戦いはこれからだ」と金田は呟いた。「オフトのメンバー全員が誇りを持って生きていける社会を作り上げるために、我々はさらに進むのだ。」


攻撃が成功し、Eclipse Cityの中枢が崩壊した。金田たちオフトメンバーは、彼らの復讐が達成されたことを確認し、喜びと安堵の表情を浮かべた。被害を受けた金持ちや権力者たちは混乱と恐怖の中で逃げ惑った。


エリア全体に火の手が上がり、建物が次々と崩壊していく。オフトメンバーたちは冷静にその光景を見守りながら、次の行動を考えていた。彼らの中には、復讐の達成に安堵する者もいれば、新たな課題に向けて意欲を燃やす者もいた。


金田は、オフトメンバーの一人であるアヤに近づいた。「これからどうするか、考えているか?」


アヤは静かに頷いた。「次は、オフトのメンバー全員が安全に暮らせる場所を作りたい。それが私たちの次の目標だと思う。」


「その通りだ」と金田は微笑んだ。「我々は新たな未来に向けて動き出す。ここでの戦いは終わったが、我々の戦いはこれからも続く。」


リナもまた、金田に近づいてきた。「金田さん、私も新たな目標があります。インフィニティワールド内で、オフトの理念を広めていきたいです。」


金田はリナの肩に手を置いた。「それは素晴らしい考えだ。我々の理念を広めることで、多くの人々が共感し、我々の仲間となるだろう。」


彼らの会話を聞いていたリョウが加わった。「私は新たな社会の構築に力を注ぎたい。オフトのメンバーが誇りを持って生きられる社会を作るために。」


「みんなの意見を聞けて嬉しい」と金田は言った。「我々は新たな挑戦に向けて、一丸となって進んでいこう。」


こうして、オフトメンバーたちは新たな未来に向けて動き出した。彼らはインフィニティワールド内での影響力を拡大し、オフトの理念を広めていった。新たな社会を築くための活動が始まり、彼らの希望と決意が未来を照らした。


金田は、オフトメンバー全員にCIEの意向を知らせるために会議室に集めた。緊張感が漂う中、金田は静かに口を開いた。


「皆、今日は重要な話がある」と金田は言った。「CIEの最終目標は『人として死ぬこと』だ。彼らは永遠の命を手に入れたが、人間としての生と死を渇望している。」


オフトメンバーたちは驚いた表情を浮かべた。長い間、CIEの真の目的が分からずにいたが、その答えが今明らかになった。


「そこで、私から提案がある」と金田は続けた。「我々もCIEと同じように、人間として死ぬことを選ぼう。我々の戦いは終わった。次は、人間としての最期を迎えよう。」


会議室内は一瞬静まり返り、次の瞬間、メンバーたちは口々に意見を述べ始めた。


「そんなことが本当に可能なのか?」「我々はまだやるべきことがあるのでは?」「永遠の命を捨てるなんて、考えられない」と、様々な意見が飛び交った。


その時、アヤが静かに立ち上がり、一言だけ言った。「私は人間であり続けたい。」


その言葉は、他のメンバーたちの心に深く響いた。彼らは一瞬の静寂の後、一斉に頷き始めた。


「そうだ、我々は人間だ。人間としての誇りを持って生き、そして死ぬべきだ」とリョウが言った。


「私も同感だ」とリナが続けた。「永遠の命は魅力的かもしれないが、人間らしく生き、人間らしく死ぬことが我々の選ぶべき道だ。」


こうして、オフトメンバーたちは一致団結し、人間らしく死ぬことを決意した。


「では、インフィニティワールドのシャットダウンに向けて動き出そう」と金田は言った。「これが我々の最期の戦いだ。」


数日後、彼らはインフィニティワールドのシャットダウンを実行するための準備を整えた。





西暦2400年 10月12日―


『全システムをシャットダウンします。YES/NO』

機械的音声が危険を知らせるアラートを流す。


ここは、メインコントロールサーバー室。

室内には照明がなく、ケーブルに繋がれたコンピューターのLEDの点滅の光しかない。

その点滅するLEDの明かりに照らされた者たちの顔がうつり静かに集まってくる。


その者達は互いの顔を見合わせ、そして一人の者の顔を見つめている。

シャットダウンを表示したパネルの前に立つ男は、皆の顔を見渡し、そして頷いた。


『YES』


『シャットダウンまで残り10秒、9・8・7・・・。』

全員は自然と手を繋ぎ、何かを決意したかのように目を閉じる。


『6・5・4・・・。』


次こそは、差別のない世界に生まれような。


『3・2・1・・・。』


全員が手を繋ぎ、目を閉じた瞬間、インフィニティワールドのシステムは静かにシャットダウンされた。都市全体が暗闇に包まれ、静寂が訪れた。彼らは最後の瞬間を共にし、人間としての誇りを持って生き抜いたことを感じながら、静かに消えていった。


金田たちオフトメンバーは、その瞬間に永遠の命を捨て、人間らしく生きることの尊さを選んだ。




***




100年後。

瓦礫になった倉庫を見上げる2人の子供の男女がいる。


「むかし、ここにアンドロイドがいたんだって。」

「アンドロイドってなんだい?」

「神に逆らった人たちだって大人が言ってるよ。」

「さあ、家に帰ろう。ママが作った晩ごはんが待ってる。」

「そうね。」


 おわり


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