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0018 クエストクリア

『クエスト失敗しました。』

『クエスト失敗しました。』

『クエスト失敗しました。』

『クエスト失敗しました。』

『クエスト失敗しました。』

『クエスト失敗しました。』

『クエスト失敗しました。』


     ・

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斬撃は再びベッドから起き上がり、深く息をつきながら両手で顔を覆った。失敗の連続のせいだ。「あんなの、クリアできんのかよ!」と心の中で呟く。彼が呟くのも、無理はないのだ。

普通、こういったアクションゲームは攻撃の前に何かしらのフォームがあるが、このゲームに関してはない。さらに、毎回、攻撃パターンも変わるし、竜自体も強くなっている。

斬撃はため息と共に再びギルド支部へと向かった。


ギルド支部に到着すると、カリンが彼を待っていた。カリンは彼を見て微笑みながら言った。「斬撃さん、また挑戦をされるのですね。」

「そうだ、カリン。今度こそ成功させる」と斬撃は力強く答えた。


カリンは新たな護衛依頼を手渡した。「今回は特別な護衛対象者を追加しました。彼女は新天地での重要な役割を担う牧師です。彼女の名前はエルナ、きっとあなたの冒険に役立つでしょう。」


斬撃は懐かしい名前を聞いて少し驚いたが、同時に心強さも感じた。「エルナか…彼女がいればきっと大丈夫だ。」

馬車には、エルナ、リディア、フィリップ、イアン、そしてバルトが再び乗り込んでいた。斬撃は彼らと再会の挨拶を交わし、護衛の準備を整えた。


「斬撃さん、また会えて嬉しいです」とエルナが微笑んで言った。「今回もお手伝いさせていただきます。」

斬撃は頷き、「君がいると心強い。今回は絶対に成功させる」と言った。


いつもの地点に差し掛かった時、斬撃はふと視界の隅に光るものを見つけた。

それは何度も見た青い光で、森の中に誘うように漂っていた。

「エルナ、覚えているかい?」斬撃が言った。

「ええ、もちろんよ。あの赤いドレスの女の子でしょ?」

「今度こそ、クリアしてみせる!」と斬撃は光と共に森の中へいこうとすると、「私も行く」とエルナが付いてきた。


光を追っていくと、やがて石碑の前に赤いドレスを着た少女が立って・・・・・。

いや、今回は違った。白いドレスに白髪の老婆が立っていた。

老婆は斬撃を見つけるや否や、「あなたが弱いせいで、お母さんが死んじゃったじゃない!お姉ちゃんも、病気になってしまったわ!全部、あなたのせいよ!」と泣き出した。


その光景を見て、斬撃は驚いた。NPCに時間経過がある事に驚いたのだ!


『クエスト 竜の涙 受諾しますか? YES/NO』


斬撃は驚きつつも、これが隠しクエストかと、すぐに応じた。「もちろん『YES』だ」と言い、同時にシステムメッセージが表示された。


『護衛対象者と別行動が可能になりました。』


斬撃は今度こそと、老婆を連れて洞窟に行こうとすると、「私も一緒に行きます!」とエルナが言って来た。


「エルナ、君では無理だよ!」


老婆は泣きじゃくりながら、「時間が今日までしかないの!お願い!」と訴えた。その切迫感に斬撃は驚き、決断を急いだ。


「エルナ、君は本当に行くのか?」と斬撃が再度確認した。

エルナはしっかりと頷き、「私は牧師です。癒しと防御の力があります。あなた一人では心配です」と力強く答えた。


斬撃は一瞬迷ったが、エルナの意志の強さと、彼女の力が今回のクエストにどれだけ有用かを考え、結局同意した。「わかった、でも無理はしないでくれ。」


老婆は泣きじゃくりながらも、斬撃とエルナの決意に少しだけ安心した様子を見せた。「お願い、助けてちょうだい…」


三人は洞窟へと向かった。洞窟の入口は暗く、冷たい風が吹き出している。斬撃は先頭に立ち、慎重に進んでいく。エルナは後方から光の魔法で足元を照らし、老婆を支えながら進んだ。


洞窟の奥に進むと、空間が広がり、巨大な竜がその中央に横たわっていた。竜の鱗は光を反射し、虹色に輝いていた。その美しさに見とれながらも、斬撃は警戒を怠らなかった。


エルナは竜の存在に気づくと、壁に向かって静かに祈り始めた。「聖なる光よ、我らに道を示してください…」彼女の祈りに応じるかのように、壁がゆっくりと割れ始めた。割れた壁の向こうには、神の偶像が現れた。


偶像は荘厳で、その姿はまるで守護者のようだった。エルナはその偶像に近づき、手に持っていた松明を慎重に偶像の手に持たせた。すると、偶像の目が輝き始め、松明の炎が一層強く輝いた。


その光は洞窟全体を照らし、奥へと続く道筋が明らかになった。偶像の持つ松明の光は、まるで彼らを導くかのように、地下湖までの道を照らしていた。斬撃とエルナ、そして老婆はその光を頼りに進んでいった。


「エルナ、これは…?」斬撃が驚きの声を上げた。


エルナは微笑んで答えた。「神の加護です。私たちを守り、導いてくれる光です。この道を進めば、竜の元へ安全にたどり着けます。」


三人は光の道を進み、やがて巨大な地下湖に辿り着いた。湖の中心には、先ほど見た竜が静かに横たわっていた。竜は彼らの接近に気づき、目を開けた。その目には深い悲しみが宿っていた。


「何者だ…なぜここに来た…」


斬撃は竜に向かって一歩前に進み出た。「俺たちは、あなたの涙を求めてきた。あなたの悲しみを解放するために。」


竜は深くため息をつき、その吐息が洞窟全体に響いた。「私の涙は悲しみそのものだ。それを手に入れるには、私の苦しみを理解しなければならない。」


エルナは竜に近づき、静かに問いかけた。「あなたの苦しみは何ですか?私たちに話してくれませんか?」


竜はしばらく黙っていたが、やがて口を開いた。「かつて、私はこの地の守護者だった。しかし、人間たちがこの地を汚し、私の愛する者たちを傷つけた。その怒りと悲しみが私をこの姿に変えたのだ。」


斬撃は竜の話に耳を傾けながら、彼の言葉の重みを感じ取った。「俺たちは、その過ちを償うために来た。あなたの悲しみを解放し、この地を癒すために。」


エルナは竜に手を差し伸べ、その手のひらに光の魔法を宿らせた。「私たちはあなたを傷つけません。共に歩み、共に癒しましょう。」


竜はしばらくエルナの手を見つめた後、ゆっくりとその手に触れた。その瞬間、洞窟内が輝き始め、竜の涙が一滴、エルナの手のひらに落ちた。


『クエストクリア 竜の涙を獲得しました』


斬撃は深く息をつき、エルナと老婆に感謝の意を込めて頷いた。「ありがとう、エルナ。君の力がなければ、このクエストはクリアできなかった。」


エルナは微笑んで答えた。「一人ではできないことも、共に力を合わせればできるんです。」


「ありがとうございます、騎士様!」とやって来たのは、赤いドレスを着た少女だった。彼女の瞳には感謝の光が宿り、その姿はかつて斬撃が何度も見た光景と重なった。


「これで、お母様の病もきっと治るでしょう」と少女は微笑みながら言った。その言葉には希望と安堵が感じられた。


斬撃は少女を見て、驚きと共に呆れかえった。「全く、ゲームってやつは、クリアしたら、何もなかったかのようなハッピーエンドにしやがって。」


エルナも微笑みながら少女に近づいた。「あなたのお母様の病が癒えることを願っています。」


斬撃は少女の手を優しく握りしめた。「これで全てが終わったわけではないが、一歩前進だ。君のお母様が元気になることを祈っている。」


少女は再び深く感謝の意を示し、その瞳には決意の光が宿っていた。「本当にありがとうございます。これからも、お母様と共に生きていくために頑張ります。」


斬撃、エルナ、そして少女はその場を後にし、洞窟の外へと戻った。光の道を辿りながら、彼らの心にはそれぞれの思いが渦巻いていた。


洞窟を出ると、青空が広がっていた。斬撃は深く息を吸い込み、新たな冒険への決意を新たにした。「エルナ、これからも共に歩んでくれるか?」


エルナは微笑んで頷いた。「もちろんです、斬撃さん。私たちの旅はまだ続きます。」


斬撃はその言葉に力を得て、新たな冒険の始まりを感じた。「よし、次の目的地へ向かおう。」


次なる冒険へと歩み出した。彼らは共に力を合わせ、前進し続ける決意を胸に秘めていた。




***




CIE(キュービック・アイランド・エレクトロニクス)の会議室。


モニター越しに、ついにクエストをクリアした斬撃の姿が映し出されていた。彼の顔には達成感と疲労が混ざった表情が浮かんでいた。会議室内は、プロジェクトメンバーたちの歓声と拍手で満ちていた。


「やっと、クリアしてくれた~!」若い女性スタッフが歓喜の声を上げる。「99回も失敗してたから、くじけるんじゃないかと心配になってたわ!」


彼女の隣に座っていた中年のプロジェクトリーダーと金田は微笑んで同意した。「そうだな。こんなに難易度が高いとは思わなかったが、やっと報われた気がする。」


別のスタッフがモニターに映る斬撃を指さして言った。「どうでしたか?金田さんも、クリアできてよかったと思いますよね?」


金田は深く頷きながら答えた。「もちろんだ。今日、ダメなら攻略法を教えに行こうかと思ってたんですよ。まさか、こんなに失敗するとは思ってませんでしたからね。」


会議室の後方に立っていた若いエンジニアが興奮気味に話しかけた。「それにしても、竜一匹にスパコン一台投入って、頭がおかしいですよ!」


金田は微笑みながら返答した。「え?だから、楽しめたんでしょう?普通のゲームとは違って、リアルタイムで変化するAIの攻撃パターンと進化する敵。これこそが、私たちの技術の結晶だ。」


別のエンジニアも加わって話を続けた。「しかも、プレイヤーの行動をリアルタイムで学習して、次の挑戦時にはより強化された敵が現れるなんて…想像以上の難易度でしたよね。でも、その分、クリアした時の達成感は計り知れない。」


金田はモニターを見つめながらしみじみと語った。「確かに、プレイヤーにとっては厳しい戦いだったが、その中で成長し、最後には勝利を収めた。これが本物のゲーム体験だ。我々が目指したものは、ただのエンターテイメントではない。人間の限界を試し、超えることができる、そんな挑戦の場を提供することだ。」


スタッフたちは感動と誇りを胸に抱きながら、互いに励ましの言葉を交わした。CIEの会議室には、成功を祝う笑顔が溢れていた。


モニター越しの斬撃も、彼自身の冒険の終わりに微笑んでいた。「このゲーム、やっとクリアできたんだ」と心の中でつぶやきながら、次の挑戦へと気持ちを新たにしていた。



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