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私達は強制転生した  作者: 睡眠大事
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この国、この世界について*

 どれぐらい眠っていたのだろうか。外を見るともう暗くなっており、部屋にある備え付けの時計を見ると21時を刺していた。背伸びをしながら欠伸をして、少しポキポキっと肩を鳴らし体を動かす。琉奈・・・いやルアはまだ疲れて眠りについているようだ。


 このホテルに来た時に時間を見たら確か14時ぐらいだったと思うから7時間も眠りについていたことになる。


 ベッド横の小さいランプを着けて買ってきた本を読み漁る。この国と基本知識を。有難いことにフロントの人も言っていたが難民が来る街という事もあり、そういう本が普通に売られていたので助かった。


 まず調べたのはお金の知識について。お金の読み方以外は私達が元々住んでいた日本と歳差はない。円から$(ビン)に変わったぐらいだ。後はお札とコインがあり、1000000$・50000$・10000$・5000$・1000$その他・・・という感じでお札が十万まで一枚のお札で出るぐらいだ。相場も日本と全体的に変わらない。


 この買ってきた本も一冊1000$だったしホテル代も2人一週間で約80000$で一人当たり4万円ぐらいと少し安めになっている。ただ売ったピアスが100万$だったのは驚いた。加工技術がこの世界はそこまで進歩していないのだろうか?


 色々と気になることはあるが取り合えず本を読んでいき・・・・一通り読み終わった後私は天を仰ぐ。


 どうやらとんでもない世界に来てしまったようだ。



「う・・・・ん・・・・?」



 丁度本を読み終わったぐらいにルアを眼を覚ます。



「今何時・・・・?」


「今・・・・23時ぐらい・・・やな。」


「めちゃ寝てた・・・・・あぁ・・・やっぱり夢じゃないんだなぁ・・・」



 寂し気に目を伏せたルアは口を紡ぐ。どう声をかけたものかと思っていたが



「お腹空いた・・・・」


「そういや昼から何も食べてないな。なんか買いに行くか・・・コンビニとかあるんかな?」


「さぁ・・・・」


「ちょっとフロントの人に聞いてみるか」



 電話の内線を繋げて電話をし、聞いてみるとホテルの近くに夜遅くまでしているサンドイッチのお店があると教えてくれた。テイクアウトも出来るらしい。ホテルを出て徒歩2.3分の所にあるらしい。デリバリーも可能とのことなので電話番号を教えて貰いそこに電話をしておススメのサンドイッチと飲み物をデリバリーしてもらうことにした。


 待つこと30分。無事届けられ支払いを済ませて部屋に戻る。見る限り普通のサンドイッチっぽい。飲み物はレモンサワーとオレンジジュースとお茶が無いので紅茶を頼んでいた。


 2人食事をしながら私は本で分かった事を伝えることに。



「この世界・・・私達が昔好きで呼んでいた小説の世界・・らしい。」


「小説・・・」

 


 言葉を考えながら話していく。タイトルは【黒の主と選ばれし幹部】という話で当時女性たちの間でとても人気になったものだ。アニメ化もされ舞台化もされるほど人気なものなのだが・・・・



「戦争国・・・って・・・こと・・・」



 私は静かに頷いた。


 この小説、読む分には激しいバトルに幹部達の悲惨な過去に立ち向かう姿など巡るめく性癖に刺さる話になっているのだが読む分にはいい・・・読む分には。だが。


 だがリアルはどうだ?戦争の知らない私達がこの世界に来てどうすればいいと思う。経験のない恐怖と不安に体が飲まれていく気がしてやまない。


 怖い。


 ただ怖い。


 だが唯一良いことはこの国は確かに戦争国ではあるが治安はすこぶる良いと考えられる。その治安の良さは日本に似た所があるし、ただ夜に女性や子供の一人歩きは危険だが昼間は企画的に問題はない。特に今いるこの街はこの国を治める軍事基地が近くにある為安全ともいえるだろう。今のところは。



「ねぇ・・・」


「ん・・?」


「私達・・・この先どうなるのかな・・・・」


「ルア・・・・・・」


「・・・・・・ごめん・・・頭が・・・考えがまとまらないや・・。一足先にお風呂に入って寝るね・・・」



 彼女はそう言うと椅子から立ちあがりお風呂場に向かった。少し経つとお風呂場からすすり泣く様な声が少しだけ聞こえる。



「私も泣きたいよ・・・」



 でも泣くわけにいかない。弱くなるから。



「取り合えず明日することをまとめよう。」



 本と一緒に買ってきたノートとボールペンを取り出して考えたこと思いついたことを書きだしていった。




 ・



 ・



 ・



 その日はルアが一足先に眠りにつき、自分もお風呂に入った後眠りについた。お風呂に入っていた時、鏡で改めて自分の姿を見て胸が苦しくなった。


 本当の自分の姿じゃないんだな・・・と。


 そして次の日起きた私は服を着替えて外に出かける準備をする。ルアは・・・何も考えたくないとのことで不安だが一人で出かけることに。フロントの人に銀行と市役所のある場所を教えて貰い歩き出した。


 調べた所、この国に在住するのであれば市役所で仮身分証が作れるらしい。そして仕事に就いてこの国に約5年住めば永住権が作れるらしい。そしてその時に正式な身分証も発行できるとか。


 2人分の仮身分証を発行した時役所の方に血を使えば仮身分証よりも信頼度の高い身分証明書が作れることを教えて貰った。今は私一人だけなので後日ルアも連れてくると伝え市役所をでて次に銀行に。大金があるので取り合えずお金が預けられる口座を作ってそのままカードも発行したい。


 仮身分証を提出して口座を2人分作ってもらいATMに似た機械にお金を振り込む。カードの発行は2日後になるとのことなので通帳だけ2人分受け取りその場を後にした。


 街中を一人散策しながら歩き、お店によっては必要な物を購入する。


 

「ルア・・・大丈夫かな・・・」



 自分と比べてこういうのに敏感な親友に対して心配する。私はある意味切り替えが早くどうにかしないとという考えになるに普段のルアも似たタイプなのだがやはり死んだという事実を受け入れるには時間がかかる。もう二度と戻ることのできない世界に・・・会えることが出来ない家族・・・。



「お母さん・・・」



 私は涙を我慢する様に瞼を強く閉じで・・・・前を見据えた。


 まだ泣くわけにいかないから。



 ・


 ・


 ・


 

 ホテルに戻ってきて部屋に入ると何処か覚悟を決めた様子のルアがそこにいた。



「心配かけてごめん。もう大丈夫」



 沢山泣いたのだろう、目が赤くなり擦ったのが分かる。



「私も頑張るから色々と・・・せ・・・じゃない、フラメン教えて」


「分かった」



 私は街中での事、市役所や銀行でのことを彼女に伝えていく。そして買い物した中からこれから先生きていくうえで大切なものを渡した。



「な・・・・いふ・・・」


「念のため・・・にね。」



 買い物をしていた時に、当たり前のようにナイフとピストルが売られていた。仮身分証ではピストルは変えないらしくただナイフは購入できた。店主曰く、治安のいい街でも皆ナイフは持ち歩かなくても持っているとのこと。一応此処は戦争国だし難民の人でも買えるようになっていると聞いた。まぁ購入できるのも市役所できちんと仮身分証を作った人になるが。後購入履歴も残る様になっておりそれを定期的に国に提出するらしい。


 購入したナイフにはチップが埋め込まれている為この国からの持ち出しも禁止されている。


 ナイフを持ち歩けるようにとケースも買ってきた。これを腰に巻いておけばいいだろう。今日街を歩いててチラホラそのような格好の人を見かけたので違和感はないはずだ。


 

「・・・・・使うことが・・・・なければいいのに」


「そう・・・・だね・・・」


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