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私達は強制転生した  作者: 睡眠大事
1/3

目覚め

 ズキズキと頭が痛む。目の前が霞んでおり前が良く見えない。眼鏡が何処かにいってしまったのだろうか?頭を抑えながら体を起こす。どうやら私は倒れていたらしい。少しづつ目の前がクリアになっていくと視界に広がるのは青々とした木が何本もあり風が吹いては心地よさそうに葉を揺らしている。


 当たりをキョロキョロと見渡してみて分かるのが、今私は森か森林にいるという事だ。


 何故?という考えと共に視界の端に誰かが倒れているのが分かる。急いで駆け寄り軽く揺さぶると、その女性はゆっくり瞼を開けた。



「あ・・・・れ・・・・・・ここ・・・は・・・」



 何処か聞いたことのある声に親近感を覚えながらも、取り敢えず支えるようにして身体を起こしてあげる。



「それが・・・ここが何処かというのも私にも分からないんです。目が覚めたらこの森?の中にいて・・」


「そうなんですね・・・。起こして?くれてありがとう。私は紫崎(しざき) (せい)って言うの。貴方は?」


「ん・・・?へ・・・?誓???」


「はい?」


「え?私!琉奈だよ!!北乃(きたの) 琉奈(るな)!!」



 お互いに顔を見合って・・・立ち上がって・・・・約10秒ほどの沈黙の後・・・



「「えぇぇぇえーーーーーーーーー!!!!!/はぁぁぁぁああああ???????!!!!!」」



 森?森林全体に響き渡るぐらいの大声で叫んでしまった。


 

「待て待て待て!!!姿形がまるで違うやん!!!」


「そんなこと言われたって誓こそ違うじゃん!!!本当に誓なの!!!????」



 じりじりと互いに疑いあう様な視線で見つめ合った後・・・・誓?が何かを思い出したような顔をした。近くに小川が流れていたのでそれで自分の姿を確認した後こちらを見直して




「自分の容姿に琉奈の姿・・・これゲームで作る容姿じゃね???」



 そう言われ、自分も小川に駆け寄り鏡代わりに姿を確認すると・・・・



「あ・・・・ほんと・・・だ・・・」



 深い群青色の髪にアクアマリンの様な瞳。誓はバイオレットの様な鮮やかな髪に紅色の瞳。互いの身長もあがり元々の身長が160㎝の私が165㎝ほどに。誓は155㎝ほどだったのに私の前の視線と大差がないから160㎝ぐらいになっているだろう。


 お互いにじっ・・・と見つめ合った後私はその場に座り込む。



「これ・・・夢・・・?それにしてはリアルすぎる・・・」



 肌に触れる風や水の音、森が揺れ光がきらめく世界。



「夢・・・・ではなさそう・・・やな」


「何で・・・・・」


「覚えていないんか?」


「何を?」


「・・・・・・・・」



 誓は何かを知っている。私はその手がかりを知りたい。



「何があったの?」



 そう問いかけるが返事はない。何処か気まずそうに・・・視線を逸らし拳を握りしめている。嫌な予感が脳裏を過る。でも聞かないと・・・・・知らないと・・・



「教えて・・・誓・・・何があったの・・・・?」


「・・・・・・・った・・・・」


「え・・・?」


「私達は・・・・トラックに突っ込まれて・・・事故にあったんだ」



 その言葉が鋭い牙のように頭に突き刺さる。理解が出来ない。いやしたくないと拒否反応を激しく起こし次の言葉を否定したい。



「赤信号で止まっていた時・・・・助手席側方面から信号無視したトラックが走ってきて」


「いや・・・・いや・・・・」


「そのまま・・・」


「あ・・・いや・・・・いやぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁあああああああああああああ!!!!!!」



 受け入れられない言葉に言葉が震え否定する。信じたくない。受け入れたくない。お願いだから嘘だと言ってと縋る様に誓の両肩を掴む。



「嘘じゃない!!!私は覚えてる!!!!」



 涙を流し叫ぶようにいう彼女の瞳から目が逸らせない。



「とっさの事で曖昧だけど琉奈を守らないとって思って庇ったんだ!!!衝撃も何もかも嫌なぐらい新鮮に思い出せる!!!強い衝撃で気を失った琉奈を見て・・でも私・・・私は・・・・」



 トラックが誓の方から来たという事は・・・・・



「私は・・・・確かに死んだんだ・・・」



 助からないと、自ら察してしまったのだ。事故は唐突で一周のうちに私達の命を奪った。


 それだけ・・・それだけが・・・・・



「あ・・・ぁ・・・・」



 どう考えても受け入れがたい出来事だった。



 ・


 ・


 ・



 どれくらいの沈黙だっただろう。


 何も考えたくない・・・という思考の中誓が立ち上がり辺りを見渡して何かを探す。何をしているのだろうとぼーっと見ていると何かを見つけたのかそこに駆け足で向かい直ぐに戻ってくると手に持っていたのは二つのバックとキャリーケース。



「私の・・・・鞄・・・」


「ポケットの中にスマートフォンがあったからダメもとで辺りを見渡してみたんよ。そしたらあったからね。」



 私達は死ぬ前に二泊三日の旅行をする予定だった。確かコンビニで飲み物を買ってこれから駅に向かう所だった・・・のだろう。


 荷物を受け取り呆然とする私を横目に誓は自分の荷物を確認した後ノートパソコンやスマートフォンを確認している。



「電源はつくし操作は出来るけど連絡は・・・・無理か。ネットにも繋がってない。」


「私の方にも・・・連絡は無理?」


「確認する」



 すると私のスマートフォンに通知が届く。どうやら私にだけ連絡が出来るようだ。



「取り合えずこの二つはしまって・・・この世界がどんな世界なのか分からんし・・・何時なのかも分からない。スマホの時間と同じなのかも不明だし・・・。このまま森にいるのは危険だから一先ず人里には降りよう。」


「わかっ・・・た」



 こういう時に誓の冷静な判断が羨ましい。何処かドライな感じも切り替えが早いのも。


 キャリケースを引いて取り合えず川沿いを歩いて進むこと約30分。人里というよりかは大きな街が見えて来た。とても大きく発展した街で現代風に近しいし自分達の着ている服にも似ているしキャリーケースと似たものを持ってる人もちらほら遠目にだが見える。髪色も・・・そんなに違和感はないだろう。多分。



「取り合えず質屋を探すか・・・」


「質屋?」


「私等お金がないやん?だから持ってる宝石売るしかないかなと。」



 そう言って鞄から取り出したのは手のひらサイズのアクセサリーケース。中にはピアスが数点とネックレスが二つに重ね付けなどが出来る指輪が数個入っていた。


 これはいつも旅行の時に誓が持ち歩く一部のアクセサリーだった。



「一応安物でも全部本物だし安くても1.2万にでもなればいいかなと・・・。」


「でもこれ誓のお気に入りばかりじゃない?」


「生きるためには仕方ない・・・よ。」



 何処か寂し気にそう呟くもので私はそれ以上言葉がでなかった。人々に紛れて街中を進む。街中の看板などに目をしてみたら何故が知らない文字なのに読める。そして人々の話も声もわかる。時々分からないものもあるが殆どのものもわかる。



「あれが質屋か・・・」



 多分名前的にもそうだろう。誓は一人で中に入り外で待つこと15分以上・・だったかな?無表情で出て来た誓にどうだったと話しかける前に手を引かれスタスタと歩き出される。そして歩くこと五分後ぐらいに立ち止まり人気のない路地裏に少しだけ入った。



「やばい・・・かも・・・」


「え?」


「ピアス・・・一個だけ売ったのに100万ぐらいの価値だった・・・。」



 売ったのはシンプルなダイヤのピアス。大きさもそこまで大きくはないが少し揺れる様な仕組みになっていた。確かジュエリーショップでセールになってたやつで・・それでも確かそこそこ値段はしたけど。でも10万にも満たなかったはず・・・だけど・・・。



「え?ん・・・ひゃ・・?」


「ととととt・・・・取り合えず・・・・知識が欲しい。本屋に行こう」


「あ、はい」



 その後本屋を探し、数冊本を購入した後取り合えず泊まれる場所を探してホテルに。


 今更だけど住所もない私達がホテルに泊まれるのだろうか・・・と思っていたのだが・・・



フロント「お客様他国から来られた方でしょうか?」


「そうです。」


フロント「でしたらあちらの受付でお願い致します。」



 話を聞くとこの国には戦争から逃げて来た難民を受け入れたりしているらしく住所が無い人も多いらしい。その話を着て無法地帯にならないのかと思いきや受け入れの際に契約書を書かされるらしくそれに違反したものは即追い出されるとのこと。これはこの国に入る人全てなので違反した時点で終わりらしい。後この国は警察官に似た役割の軍人が警備しているようだ。


 私達も契約した人達という事なので案内された受付に名前と生年月日と性別を記入。名前は・・・何となく来てる限り違和感のないような名前を考えた結果。お互いにゲームで使う名前を記入した。苗字は無しだ。



「えっと・・・・ルア(ポルトガル語で月)で・・・フラメン(スペイン語で誓い 正確にはフラメント)・・・っと」



 記入を終えた一週間分の宿泊費を払い渡された鍵受け取りエレベーターで上に向かう。番号の部屋に入れば荷物を置いて2人は脱力したようにベットに寝転がり二人気を失うように眠りについた。

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