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【完結】鮮血の妖精姫は、幼馴染の恋情に気がつかない ~魔法特待の貧乏娘、公爵家嫡男に求婚されつつ、学園生活を謳歌します~  作者: はづも@『婚約13年目』コミカライズ連載中!
1章 プロポーズまでの道のり

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8 妖精姫の再来

 ドレスは既に仕立て始めている。

 髪や肌の手入れを担当する者は、近々マニフィカ家に送る。

 パーティー当日は、アークライト家で送迎を行う。

 当日の準備から、解散までのスケジュール。


 そんなことを、アーロンと共に確認していく。

 貴族のお嬢さんらしいことなどしてこなかったマリアベル。

 ドレスの好みを聞かれてもちんぷんかんぷんだったため、デザインはアーロンとアークライト家にお任せしてある。


 先に行われたドレスの打ち合わせと採寸の際、マリアベルがおずおずと


「あのう……。まっっったく、それはもうびっくりするほど、今の流行も、なにが似合うのかもわからないので、お任せしてもよろしいでしょうか……?」


 と言ってきた際には、アーロンは天にも昇る気持ちになったものだ。

 自分好みの、彼女に似合うと思ったドレスを着せていい。

 大事な晴れ舞台で身に着けるものを、自分が選んでいい。

 好きな子が、自分という男の選んだドレスを身に着ける――!

 そういうことだからだ。

 申し訳なさそうにする彼女への、アーロンの答えは。


「もちろん! 任せて!」


 だった。




 ほどなくして、アークライト家の使用人が、マニフィカ家に出入りするようになった。

 普段は、アーロンの姉妹の身の回りの世話を担当しているメイドだそうだ。

 そんな人を私につけていいの!? と思ったものだったが、メイド――ディーナは、なんの不満も疑問もなさそうだ。


「マリアベル様は、アーロン様の大切な人ですから」


 そんなことを言いながら、彼女はマリアベルの世話をする。

 朝と夜の手入れが大事だとかで、ディーナはパーティーの日までマニフィカ家に泊まり込むことになっている。

 入浴中も肌を磨かれ、そのあとは髪にオイルを揉みこまれ、丁寧に乾かされて……。

 同性とはいえ、他者に裸を見せる機会などほとんどなかったマリアベルは、「ひゃー!」と恥ずかしい気持ちになったものだった。


 手入れの効果は、徐々に現れ始めた。

 長さはそれなりだったものの、ぱさぱさのもさもさで、おろして人前に出ることはほとんどなかった髪は、ふわふわのつやつやに。

 かさつき、日に焼けた肌も白く透き通り始めた。

 ふと鏡を見たときに、これは本当に自分なのかと疑ってしまうほどの変わりようだった。


「……お嬢さんっぽい!」


 美しきご令嬢へと変わりつつある本人の感想は、これだったが。




 アーロンとの打ち合わせも重ね、髪や肌の手入れをされ。

 そんな風に過ごしているうちに、あっという間に入学を迎えた。

 入学式の朝。

 制服に着替えたマリアベルは、鏡の前でくるっと一回転する。


 美より修業と戦いよ! だった彼女だが、見た目がきれいになれば、やはり嬉しくはなるもので。

 ふわふわの銀髪に自分で触れて、えへへと笑った。

 こうなるよう手配してくれたアーロンには、大大大感謝である。


 自宅から通学するか、学院内の寮で暮らすか。

 通学に使える馬車などないマリアベルは、迷った。迷ったというか、通学手段がないのだから通常なら寮一択である。

 そんなマリアベルが自宅から学校へ迎える理由。それは――


「お嬢様、アーロン様がお迎えにいらっしゃいましたよ」

「今行くわ!」


 執事の言葉に、マリアベルは元気に返事をした。

 ついでだからと、アーロンが送迎をしてくれることになったからである。

 流石に甘えすぎではと思ったが、学園生活と寮暮らしが同時に始まるのは大変だろう、せめて慣れるまでは送らせて欲しい、と言ってくれたので、彼の優しさを素直に受け取ることにした。

 後々、寮暮らしに移行するつもりだ。


「お待たせしました!」

「……!」


 髪をおろし、制服に身を包んだマリアベルを見て、アーロンが息をのむ。

 マリアベルは、過去、その見目のよさを称賛されていた。

 その頃の輝きが、戻ってきていた。


「……妖精姫」

「アーロン様?」


 アーロンが、ぽつりとなにか呟いた。

 その声はとても小さくて、目の前のマリアベルでも聞きとることができなかった。

 どうかしましたか、というマリアベルの言葉にはっとしたアーロンは、柔和な笑みを浮かべる。


「なんでもないよ。さあ、出発しようか」


 こうして、マリアベルの学園生活が始まる。


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― 新着の感想 ―
読みやすい文体で楽しく読ませていただいています ただ、各地の距離感が気になりまして… マリアベルの自宅とアーロンの自宅、そして学院はそれぞれとても近いということですよね? でも、マリアベルの自宅は少な…
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