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其の163 講じた対応策

 学園は街一つ分ある程の広大な敷地にありますが昔しからそうだった訳ではなく、最初はこぢんまりとしたものだったそうで、時代と共に拡大していきました。当時から変わらずそこにある建物は食堂位だともいわれています。

  

 改修を重ねかなり古くなってしまっている食堂の立て直しの案件は常に上がっていました。


 しかし学園内の建物が新築される時期は決まって冬から春。終業式が終わって新学期が始まる間に行われていましたが、食堂はその時期忙しくしている教師等が使用することが多く、中々計画が進みません。


 それに今年は先に元魔工学の建物があった場所に新たな建物を建てる必要がありましたので、食堂の件は先延ばしになっていました。


 最近では学生も教師も増え手狭になって来ています。この際ですから新たに建て直してしまいましょう。予算は……マダリンの顔色からしてまあ大丈夫そうです。食堂の調理の者達に話しを聞いた所、この時期にしては忙しくして大変だったそうで、丁度良い骨休めが出来ると喜ばれました。


 ……これは他にもセドラみたいな者がいるのですかね?


「急ぎ調査をお願いします」

「はい」


 さて、次は寮の調理人達。


「し、失礼致します!」

「みなさん、忙しい所を呼び出して申し訳ないですね」

「い、いえ! 陛下のご要望とあらば!」


 恐らく主任か何かなのでしょう。集まってもらった調理人達の中で一番年配の男性が代表して対応しています。


「どの様な御用命でも!」

「そんなに畏まらないで結構ですよ。それにこれは命令ではなく提案というかお願いです」

「は、はぁ……」








 セドラから、彼女が受けた数々の所業を聞くにつけ、これは益々やらねばならないと決心した次第です。


 要は命を落とす可能性が低いまでも、全員で協力し合い必死になって挑まなければならない状況を作り上げれば良いのです。更にわたしの溜飲が下がるのであればいうこと無し。


 エルフルーナは特別寮から移動させました。セドラの心の傷は思ったよりも酷く、今すぐにでも出たがっていた彼女と入れ替わり。


 ……既に、セドラからは魔力が立ち上っているのが見えましたからね……。


 ならば彼女はわたしの国民です。最後まで面倒見ましょう。


 彼女の行く先は、色々と問題はありますが、ある意味一番平和な寮。収容人数的にもまだ余裕があり、メイもいますし一番安牌だと思われる青藍寮へと移します。


 ……セドラはそこで心を癒して下さい。メイ、後は頼みましたよ。年上ですが面倒を見てあげて下さい。エルフルーナはみなさんと親睦を深める様に。一人特別寮にいるから変なことに巻き込まれるのです。いずれは貴女がみなさんをより良い道へと率いて下さいね。


 さて、これで準備が整いましたので実行に移します。




『通告 


 全渋紙寮生に告げる。


 昨今の渋紙寮生による寮内食堂の利用状況に於いて看過出来ない事態が続いていたことから、その反省を促す為に、暫くの間寮内食堂の調理人を全て撤収させることとする。期間は凡そ一月程の予定であるが、反省の態度が見られなければ延長となる。またその期間は寮生同士で班を作り輪番制とし、同寮生の食事を用意することを命ず。

 

                                        ラミ王国女王』

 



 その間の学園内の食堂はもちろん閉鎖中。他寮の食堂を使うにしても、学生が他寮に入るには事前に申請が必要になりますが、それも根回し済み。学園外に出るにも申請が必要ですが、三度その都度外出するのは大変でしょうし、それをやるならば反省の色無しとみて当然延長です。結果寮の調理人達の休暇が増えるだけ。


 ───さあ、みなさん後がないですよ! 頑張って料理をして下さいね!


 これで食事を作る、摂ることの大変さがよくわかることでしょう。それに慣れてくると楽しいですよ?


 この国は良いことなのですが、食に関して恵まれています。ただ、恵まれ過ぎていて、漫然とその恩恵を受け取りその重要性を理解していない者が多過ぎます。若い内からそんなことではいけません。


 特に上級貴族出の者達は包丁すら握ったことがないでしょう。心無い笑顔を振り撒いているだけでは駄目ですよ。それだけでは世の中を渡っていけません。自分のことは自分で出来る様になりましょう。


 一応、流石に学生達に全て任せるのは不安で危険ですから、料理講義の教師からも応援を頼んで監督をお願いしています。訳を話して協力を仰いだ所、「食育を広めることは賛成です」と快く引き受けてくれました。ただし余程の時以外は手出し無用。相談には是非とも乗ってあげて下さい。


(アタシも子供の頃、学校の家庭科で調理実習ってやってたなー。ここまで大変じゃなかったけどね)


 前代未聞だと一部教師陣から否定的な意見も上がりましたが、料理講義の教師達は良い機会になると肯定的で、学園長もこの問題をわたしに振った手前、何もいえません。何より調理人達からは休みが取れると歓迎されました。


 ただ一つ誤算が……。


「……そりゃ確かに頼んだのはわたしだけども……」

「文句をいわないで下さい! わたしもやるのですからね!」


 他にもセドラの様な者がいないか調査をさせた所、これがいました。ならば仕方がありません。渋紙寮と同じ処置を取ります。みなさん仲良く協力し合い料理に奮闘し、そんなことを考える余裕など無くして下さい。


 今回わたしは指示をするだけですから気軽に承認の判を押していたのですが、ここで問題が発生。


「え? 監督役が足りないですって?」


 いくら専門課程の講義が暇な時期とはいえ、料理講義の教師の数にも限りがあります。


「ベルナ、早速助手としての仕事ですよ」


 他にも声を掛けて急ぎ増員を図るのでしたがそれでも足りず、結局いい出したわたしも参加する羽目になってしまいました。


 ……マダリンの顔が怖くて見れません……。

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