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最強のハッピースター  作者: 遠野雨弓
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あたしは不幸体質!!

「いまのところは」

 椅子に変わったところはないか、テーブル周りは大丈夫か確認してから腰をおろす。

 ドリンクのフタを開けて沈んでいるものがないか確かめ、テリヤキバーガーも包みを開いてぐるっと三六〇度観察する。手がベタベタになるけどしかたない。

 「そこまでしなくても」と沙夜ちんは苦笑いを誤魔化すようにシェイクを吸った。

 これでも沙夜ちんの前だから遠慮してる。本当ならバーガーをめくって、間になにか挟まっていないか確かめたい。ドリンクだってシェイクにしたかったけど、凍ったクリームにストローを何度も突き刺したりグルグルと探ったりするのは気が引けた。

 あたしの気持ちをわかってくれているのか、沙夜ちんは「ちょっと飲む?」とバナナシェイクを差し出した。

 断ったのはバナナよりストロベリーが飲みたかったこともあるけど、あたしが口をつけることで沙夜ちんにまで不幸が伝わってしまうような気がしたからだ。

 どんなに慎重に行動しても、あたしの身にはしょっちゅうアクシデントが巻き起こり、選択したことはたいてい裏目に出る。

 バスと自転車でどっちが早いか迷ったら、だいたい選んだ方が遅くなるし、ならばと逆を選べばやっぱりそっちが遅くなる。ぜったいに余裕のある早いバスに乗ったのに車両故障で足止めをくらったし、はやく着いたと安心してコンビニに寄ったときは直後に土砂降りになって出られなくなった。仲の良いみんなでおそろいのボールペンを買ったら、あたしのだけびよよーんってなったし、コンビニスイーツをひとつずつ買って味見しあったら「美月のだけ微妙だね」とか言われるし、一緒に写真を撮ればみんなが最高の笑顔の瞬間に自分だけ目をつむっていたりする。今日は絶対あのスイーツを食べていくんだって一日じゅう楽しみにしてたのに臨時休業だったり、限定品は自分の前で売り切れたり、通販の商品は色違いが届いたり、その交換を頼んだら『申し訳ありませんでした』と送り返されてきたのもやっぱり違う色だったりする。新学期に配られた数学の教科書が前半分まっ白だったときは唖然とした。ちゃんとしたのが届くまで毎日隣りの人に見せてもらわなきゃならなかったし、宿題のところを写させてもらわなきゃ帰れなかった。一日で自転車が三回パンクしたときは本気でイジメのターゲットにされたんだと思った。

 ひとつひとつはちいさなことでも、普通じゃありえない頻度であたしには不幸が降りかかってくる。


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