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最強のハッピースター  作者: 遠野雨弓
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いきなり?!

「馬鹿を言わないでください。プシビリの修理なんてできないでしょう」

「修理は無理でも、荷物を運んだりお茶を淹れたりならできるもの」

 まだなにか言いたげなアーキスをあとに、いちばん近いプシビリの荷台をのぞきこむ。急停車したせいで積荷が崩れている。横倒しになった樽からリンゴのような果物が転がり、散らばっている。拾い集めていると後ろから声がかけられた。

「救世主様、そんなことしないで休んでください」

 振り向くと、あたしより年下に思える少年兵がいた。アーキスとおなじ軽鎧をまとっているけどサイズがぜんぜんあっていない。

「ううん、やらせて。みんなでやったほうが楽でしょ」

「そんな。休んでてください」

「もうこれで最後だよ。はい、お願い」

 両腕に抱えたリンゴもどきを少年に手渡す。

 あれこれ言われるまえに「向こうも見てくるね」と荷台から飛び降りる。王宮から手伝いがきて、プシビリに餌を与えたり桶に入れた水を飲ませたりしている。あたしも真似をして水桶を運ぶ。聞かなくてもわかるところを片付けていく。みんなへお茶を配ってまわると、先々で「救世主様は座っていてください」と言われ、「いいから」と言い返す。

 人目のないところで一度だけ目元をぬぐった。

 このアクシデントは、きっとあたしの不幸の発動だ。あたしに責任がある。自分に降りかかるだけならともかく、こんなにたくさんの人に迷惑をかけるなんて。

 だけど決めたんだ。不幸なんて振り払うって。これはその始まりだ。アーキスに二度もけなされた。さやちんにも宣言した。不幸なんか振り落として、置き去りにしてあたしは進むんだ。動きを止めたら弱い気持ちが出てきそうな気がして手と足を動かし続けた。


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