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最強のハッピースター  作者: 遠野雨弓
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あたしは不幸体質!!

 沙夜ちんは呆れ気味に笑う。口を尖らせて言い返す。

「だから念には念をいれてるの」

「無駄だって。あんたの不幸体質は筋金入りだもん。うまく避けたと思っても後ろからしがみつかれるだけだって」

 言われ放題だけれど、沙夜ちんの言うとおりあたしは本当に運が悪い。なにもないところでつまづくとか、そんなかわいいものじゃない。足を着いてみたらそこは何十匹もとぐろを巻く蛇の巣穴、みたいなレベルだ。そんな不幸はひとつでも回避したい。

 あたしは机のなかをのぞき、カバンのなかを確かめ、周りの床に落ちてるものがないかあちらこちらへ指を差して何度も確かめる。

「ねぇ、はやくってば」

 沙夜ちんの口調に苛立ちが混ざりだし、さすがにまずいとカバンを取り上げる。先に廊下へ出た沙夜ちんを追いかけて教室を出ようとしたとき、黒板の横に貼られた教材ポスターが目に入った。月の表と裏のイラストが並んでいる。

 月の表──雪乃先生が言っていた常に地球のほうを向いている側には、海と呼ばれる黒い平面と陸地のような白い隆起、そしてたくさんのクレーターがあって、そのいくつかは明るく輝いている。

 地球から見ることのできない裏側は、表側とは比べものにならないほどザラザラに荒れている。一面を覆う無数のクレーターは禍々しいと言いたいくらいで、じっと見ているとなんだか不安な気持ちになってくる。

 沙夜ちんが廊下から不満そうな顔をのぞかせ、あたしは急いで教室を出た。



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