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最強のハッピースター  作者: 遠野雨弓
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子ウサギは魔法体質!?


 沙夜ちんとわかれ、家にたどり着いたころには汗だくのヘロヘロになっていた。

 火傷しそうなくらい熱くなった門扉を開け、逃げ込むように玄関ポーチの影へ入る。ハァハァと、犬のように口から息を吐きながらカバンから鍵を取り出す。

「ん?」

 視界の隅に、なにか灰色のものが入った。玄関わきの植え込みにふわふわとしたものがある。近づいてかがみ込む。

「うさぎ?」

 見るからに小さい。両手に乗るほどの、まだほんの子ウサギだ。

 こんな住宅地のなかに野生のうさぎがいるわけない。きっと近所のペットが逃げ出しちゃったんだ。でも、うさぎを飼ってる家なんてわからない。

 灰色の子ウサギは庭木の影にぐったりとうずくまっている。このままじゃ危ない。他人のペットを家に連れ込んでいいのか迷ったけれど、このままほうっておいたら、きっと死んでしまう。

 怖がらせないよう、そろそろと手を伸ばす。子ウサギが目を開けた。金色の瞳だ。毛並みに触れてみても、ぴくりともしない。そっと抱きかかえて家にはいり、大急ぎでエアコンをつける。濡れタオルでくるみ、お皿に水をいれてそばに置く。スマホで「ペット 熱中症 対処」と検索。うん、このやり方で大丈夫みたい。

 子ウサギは意識はあるようで、鼻をヒクヒクさせながら小さく首を振って辺りをうかがっている。知らない場所だから心配なんだろう。

 それでもしばらくすると、のそのそとタオルから這い出してお皿の水を飲みだした。どうやら体温が下がったみたいだ。すこし安心して手を伸ばす。さっき抱き上げたときに黒い首輪をしていたから、そこに連絡先が書いてあれば──

(あれ?)

 首輪に名前や連絡先のようなものはなかった。その代わり、金色のいびつなアクセサリーがついている。あたしの頭に落ちてきたものによく似ている。

 まさかね、と思いながらポケットから三日月の横顔をつまみ出す。指先に乗せて近づける。


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